＜出典＞１４１　　　国定読本　１期４－１
＜Ｐ－０００＞
もくろく。　　＃
第一　　春の遊。………一　　第十三　　鳥ノ巣［ス］。………四十三　＃
第二　　四［シ］季［キ］。………二　　第十四　　停［てい］車［しゃ］場［ば］。………四十五　＃
第三　　なまけもの。………四　　第十五　　貿［ボー］易［エキ］。………五十　＃
第四　　三つのちょーちょ。………八　　第十六　　開［カイ］港［コー］場［バ］。………五十二　＃
第五　　茶。………十三　　第十七　　神［かう］戸［べ］からの電［でん］報［ぽー］。………五十五　＃
第六　　日本の景［け］色［しき］。（一）………十五　　第十八　　航［こー］海［かい］の話。（一）………六十一　＃
第七　　日本の景［け］色［しき］。（二）………十八　　第十九　　航［こー］海［かい］の話。（二）………六十七　＃
第八　　公［こー］園［えん］。………二十四　　第二十　　燈［とー］臺［だい］。………七十三　＃
第九　　かはいさうな女の子。………二十八　　第二十一　　琉［リュー］球［キュー］。………七十四　＃
第十　　人ノカラダ。………三十一　　第二十二　　寒［カン］暖［ダン］計［ケイ］。………七十六　＃
第十一　　煙［たば］草［こ］と酒［さけ］。………三十五　　第二十三　　小太郎の日［にっ］記［き］。………八十二　＃
第十二　　石と豆［まめ］。………三十八　＃
＜Ｐ－００１＞
第一　　春の遊。　　＃
お庭［には］に、桃がさいてゐる。　　＃
お庭［には］のさきで、　　＃
女の子どもがまりつきあそび。　　＃
まりをつく音、ぽん、ぽん、ぽん。　　＃
かずをよむこゑ、ひー、ふー、みー。」　　＃
小山に、櫻がさいてゐる。　　＃
小山の上で、　　＃
男の子どもがへいたいあそび。　　＃
＜Ｐ－００２＞
らっぱふく音、とて、ちて、たー。　　＃
かけるごーれい、一、二、三。」　　＃
野原に、すみれがさいてゐる。　　＃
野原の中で、　　＃
みんなが、いっしょに、おにごとあそび。　　＃
おにをきめるよ。「じゃん、けん、ぽん。」　　＃
せなかたたくよ。とん、とん、とん。」　　＃
第二　　四［シ］季［キ］。　　＃
日、カサナリテ、月トナリ、月、カサナリテ、年トナ＃
＜Ｐ－００３＞
ル。一年ハ十二箇［カ］月ナリ。一年ヲ、春、夏、秋［アキ］、冬ノ四［シ］＃
季［キ］ニ、分ツ。＃
三月ノハジメヨリ五月ノヲハリマデヲ春ト＃
イヒ、六月ノハジメヨリ八月ノヲハリマデヲ＃
夏トイフ。九月ノハジメヨリ十一月ノヲハリ＃
マデヲ秋トイヒ、十二月ノハジメヨリアクル＃
年ノ二月ノヲハリマデヲ冬トイフ。＃
春ハ、暖ニシテ、花サキ、夏ハ、暑クシテ、草木シ＃
ゲル。秋ハ、凉シクシテ、稻ミノリ、冬ハ、寒クシテ、＃
＜Ｐ－００４＞
雪フル。＃
カクテ、冬ヲハレバ、マタ、春トナル。春ハ、四［シ］季［キ］ノ＃
ウチ、モットモ、タノシキトキナリ。　　＃
第三　　なまけもの。　　＃
二［ふた］人［り］の子どもが、通の四つかどで、であった。それ＃
は、學校へ、行く通と、野原へ、行く通との四つか＃
どであった。＃
秋山「春野君。おはやう。」＃
春野「秋山君。おはやう。」＃
＜Ｐ－００５＞
秋山「君。どこへ、行くのか。」＃
春野「學校へ、行くのだ。」＃
秋山「學校へ、行くのか。あの、お＃
もしろくない學校へ、行く＃
のか。來たまへ。野原へ、行＃
かう。野原には、ちょーちょ＃
がまってゐて、すみれやたんぽぽがさいてゐ＃
て、それはおもしろいよ。來たまへ。いっしょに、＃
行かう。」＃
＜Ｐ－００６＞
春野「學校がひけてからなら、いっしょに、行かう。」＃
秋山「君は、どうしても、學校へ、行くのか。それでは、＃
行きたまへ。ぼくは、野原へ、行くから。」＃
こんなことがあってから、もう、二十年ほど、たった。＃
二［ふた］人［り］の子どもは、もう、おとなになった。＃
ある、寒い日のことであった、顏［かほ］色［いろ］のわるい、きた＃
ない着物を着た男が、りっぱな家の戸口に、立って＃
ゐた。そして、しきりに、「どうぞ、お助けください。＃
寒くてなりません。ひもじくてなりません。ど＃
＜Ｐ－００７＞
うぞ、お助けください。」といってゐた。＃
すると、うちから、顏［かほ］色［いろ］のよい、きれいな着物を＃
きた主人が出て來た。そして、たいそー、ふしぎ＃
さうな顏［かほ］をして、穴のあくほど、その男の顏［かほ］を＃
見た。＃
主人「君は、秋山君ではないか。」＃
男「さよーでございます。秋山でございます。」＃
主人「やー。秋山君でしたか。さぞ、寒いでせう。さー。＃
はいりたまへ。」＃
＜Ｐ－００８＞
ふたりは、うちに、はいった。男は、まだ、主人がたれ＃
であるか知らなかった。みなさんは知ってゐます＃
か。　　＃
第四　　三つのちょーちょ。　　＃
赤、白、きいろの三つのちょーちょがありました。＃
ある、暖い日に、野原で、おもしろく、遊んでゐまし＃
た。花から花へ、ひらひらと、まってゐました。と＃
ころへ、にはかに、雨がふってきました。ちょーちょ＃
は、うろたへて、うちに、歸りました。歸りました＃
＜Ｐ－００９＞
が、戸がしまってゐました。かぎもみつかりませ＃
んでした。羽は、だんだん、ぬれてきます。＃
ちょーちょは、こまって、赤いばらのうちをたづね＃
ました。そして、いひました。＃
「もし。ばらさん。しばらく、お宿をかしてくだ＃
さい。この雨で、こまってゐます。」＃
赤いばらはいひました。＃
「白いかたと、きいろいかたとには、かされま＃
せん。しかし、赤いかたはわたくしと同じ色＃
＜Ｐ－０１０＞
ですから、かしてあげませ＃
う。」＃
赤いちょーちょはいひました。＃
「いえ。いえ。弟をぬれさせて＃
おいて、どうして、わたくし＃
ばかり、らくができませう。＃
しかたがありません。ほかのお花にたのん＃
でみます。」＃
雨は、だんだん、ひどくなってきました。ちょーちょ＃
＜Ｐ－０１１＞
は、また、つれだって、白いばらのうちをたづねま＃
した。そして、いひました。＃
「もし。ばらさん。しばらく、お宿を貸してくだ＃
さい。この雨で、こまってゐます。」＃
白いばらはいひました。＃
「赤いかたと、きいろいかたとには、貸されま＃
せん。しかし、白いかたはわたくしと同じ色＃
ですから、貸してあげませう。」＃
白いちょーちょはいひました。＃
＜Ｐ－０１２＞
「いえ。いえ。にいさんや弟をぬれさせておい＃
て、どうして、わたくしばかり、らくができま＃
せう。ぬれさせるくらゐなら、いっしょに、ぬれ＃
ます。」＃
かう、いって、また、とんで行きました。＃
お日樣は、これをお聞きになって、「さて。さて。か＃
んしんなきょーだいだ。なかのよいきょーだいだ。」＃
とおっしゃって、にはかに、雨をはらしてください＃
ました。そして、もとのよーに、よい天氣にしてく＃
＜Ｐ－０１３＞
ださいました。＃
ちょーちょは、喜んで、おもしろく、遊びました。花＃
から花へ、ひらひらと、まひました。　　＃
第五　　茶。　　＃
茶ハ、茶ノ木ノ葉ヨリ、製［セイ］ス。茶ノ木ハ、多ク、暖ナ＃
ル國ニ成長シ、ソノ高サ五六尺ニスギズ。葉ハ、＃
年中、青ク、秋ニナリテ、白キ花ヲヒラク。＃
茶ヲ製［セイ］スルニハ、五月ゴロ、新［シン］芽［メ］ヲツミトリテ、＃
セイロートイフモノニテ、ムシ、次ニ、ホイロト＃
＜Ｐ－０１４＞
イフモノニカケテ、モミナ＃
ガラ、カワカスナリ。カクテ、＃
ソノ葉ノ、ジューブン、カワキ＃
タルトキ、取リ出シテ、カメ、＃
マタハ、カンニ入レ、空［クー］氣［キ］ノ＃
カヨハヌヨーニシテ、タク＃
ハヘオク。コレ、ワレラガ用＃
フル茶ナリ。＃
茶ハ、ヨキホドニ、用フレバ、氣ヲハラシ、ツカレ＃
＜Ｐ－０１５＞
ヲナホスモノニテ、ワレラガ、シゴトニ、アキ、旅＃
ニ、ツカレタル時ナドニハ、用ヒテ、コーノーア＃
ルモノナリ。　　＃
第六　　日本の景［け］色［しき］。（一）　　＃
おはなの母が、おくのまで、縫物をしてゐまし＃
た。おはなは、お茶を出して、「おかあさん。お茶を＃
おあがりなさいませ。」といひました。母は、「あり＃
がたう。」といって、飲みました。そして、「もう、縫物＃
もすみましたから、何か、お話をしてあげませう。」＃
＜Ｐ－０１６＞
といひました。おはなは、きのふ、父に買ってもらっ＃
た本をもって來て、「おかあさん。それでは、この本＃
のゑのお話をしてくださいませ。」といひまし＃
た。＃
「おまへはこの山の名を知ってゐますか。」＃
「それは富［ふ］士［じ］山［さん］です。讀［とく］本［ほん］で、讀んだことがあ＃
ります。」＃
「それでは、この橋の名は。」＃
「それは知りません。」＃
＜Ｐ－０１７＞
「これは瀬［せ］田［た］の唐［から］橋［はし］です。昔、たはらと＃
ーだといふ人がむかでをいたとい＃
ふお話のある橋です。橋のむ＃
かふに、帆［ほ］掛［かけ］船［ぶね］が通ってゐるで＃
せう。あれが、琵［び］琶［は］湖［こ］といって、日＃
本で、いちばん、大きな湖［みづうみ］です。＃
琵［び］琶［は］湖［こ］のまはりには、このほかに、いろいろ、＃
景［け］色［しき］のよい所があります。」＃
「おかあさん。琵［び］琶［は］湖［こ］といふのは、どこに、あり＃
＜Ｐ－０１８＞
ますか。」＃
「近［あふ］江［み］の國に、あります。」　　＃
第七　　日本の景［け］色［しき］。（二）　　＃
母が、一枚、あけると、こんどは、ゑが、三つ、ならべ＃
て、書いてあります。＃
「この、三つのゑは、どこのゑだか、知ってゐます＃
か。」＃
「知りません。」＃
「右の方にあるのは松島のゑです。松島は、陸［りく］＃
＜Ｐ－０１９＞
前［ぜん］の國の入海に、あります。枝＃
ぶりのよい松のはえた島が、＃
何百といふほど、ちらばってゐ＃
て、たいそー、みごとだといふ＃
ことです。＃
まんなかにあるのは天［あま］の橋［はし］立［だて］＃
のゑです。天［あま］の橋［はし］立［だて］は、丹［たん］後［ご］の國＃
の入海に、あります。松のはえた、＃
白い砂地が、海の中に、つき出て＃
＜Ｐ－０２０＞
ゐて、遠方から、見ると、まるで、海＃
に、橋をかけたよーだといふこ＃
とです。＃
左の方にあるのは嚴［いつく］島［しま］のゑで＃
す。嚴［いつく］島［しま］は、宮［みや］島［じま］ともいって、安［あ］藝［き］の＃
國の、西南の海に、あります。嚴［いつく］島［しま］神［じん］社［じゃ］といふ＃
お宮が、その島の、北［ほく］部［ぶ］の岸に、あります。しほ＃
がみちると、お宮のろーかが、海にういてゐ＃
るよーに見えて、ちょーど、お話にあるりゅーぐ＃
＜Ｐ－０２１＞
ーのよーだといふことです。＃
この松島と天［あま］の橋［はし］立［だて］と嚴［いつく］島［しま］とを日本の三［さん］＃
景［けい］といひます。」＃
「おかあさん。日本には、もう、景［け］色［しき］のよい所は＃
ありませんか。」＃
「ありますとも。海では、瀬［せ］戸［と］内［ない］海［かい］、山の中では、＃
日［にっ］光［こー］などもよい所です。とりわけ、日［にっ］光［こー］は、湖［みづうみ］＃
があったり、瀧［たき］があったりして、景［け］色［しき］のよい所で＃
す。そのうへ、東［とー］照［しょー］宮［ぐー］といって、日本で、いちばん、＃
＜Ｐ－０２２＞
りっぱなお宮もあります。それですから、人が＃
『日［にっ］光［こー］を見んうちは、けっこーといふな。』といって＃
ゐます。＃
日本には、まだ、たくさん、よい所があります。＃
西［せい］洋［よー］人［じん］が、『日本は世［せ］界［かい］の公［こー］園［えん］だ。』といって、ほめ＃
るのもむりはありません。」＃
母は、かう、話をして、次の歌をもをしへてやり＃
ました。　　＃
日本の國は海の國。　　＃
＜Ｐ－０２３＞
大島、小島、その中を　　＃
通ふ白［しら］帆［ほ］のおもしろや。　　＃
岬［みさき］、入海、そのふちに、　　＃
ならぶ松の木おもしろや。」　　＃
日本の國は山の國。　　＃
大［おほ］瀧［たき］、小川、谷あひに、　　＃
おちて、流れて、おもしろや。　　＃
お寺、お社、木のあひに　　＃
見えて、かくれて、おもしろや。」　　＃
＜Ｐ－０２４＞
第八　　公［こー］園［えん］。　　＃
公［こー］園［えん］とは、いろいろの草木を植ゑなどして、人＃
人をして、じゆーに、遊びたのしましむる所を＃
いふ。わが國の都［と］會［かい］には、たいてい、公［こー］園［えん］あり。そ＃
のうち、東［とー］京［きょー］の上［うへ］野［の］公［こー］園［えん］、淺［あさ］草［くさ］公［こー］園［えん］、日［ひ］比［び］谷［や］公［こー］園［えん］、＃
もっとも、名高し。そのほか、水［み］戸［と］の公［こー］園［えん］、金［かな］澤［ざは］の公［こー］＃
園［えん］、岡［をか］山［やま］の公［こー］園［えん］なども、また、名高し。＃
おつるの住める町にも、公［こー］園［えん］あり。このゑはそ＃
の入口なり。おつるとおふみとは、今、立［たて］札［ふだ］の前＃
＜Ｐ－０２５＞
にて、話しをれり。これ、立［たて］札［ふだ］に、＃
「草木を折り取るべからず。」と＃
書きてあれば、そのわけにつ＃
いて、話しをれるなり。＃
この公［こー］園［えん］の中には、松、杉、梅、櫻＃
など植ゑてあり。また、つきや＃
まもきづきてあり。梅と櫻とは、すでに、若［わか］葉［ば］と＃
なりたれども、つきやまのつつじの花は、今、盛＃
なれば、二［ふた］人［り］は、これより、中に、入りて、たのしく、＃
＜Ｐ－０２６＞
おもしろく、遊ぶなるべし。＃
あしたは、にちよーびでござい＃
ますから、お晝から、こーえんに、＃
まゐりたいとぞんじます。あな＃
たもいらっしゃいませんか。このま＃
へ、あなたとごいっしょに、まゐりま＃
したときには、櫻が、きれいに、さ＃
いてをりましたが、このごろは、＃
つつじが盛ださうでございま＃
＜Ｐ－０２７＞
すから、それを見たいと思ふの＃
でございます。どうぞ、おへんじ＃
をくださいませ。＃
五月十三日　　　　つる　　＃
おふみ樣　　＃
おさそひくださいまして、まこ＃
とに、ありがたうございます。わ＃
たくしも行って見たいと思ってを＃
りましたところでございます。＃
＜Ｐ－０２８＞
母にききましたら、行ってもよい＃
と申しましたから、おともをい＃
たします。＃
五月十三日　　　　ふみ　　＃
おつる樣　　＃
第九　　かはいさうな女の子。　　＃
おつるとおふみとが、公［こー］園［えん］から、歸って來ますと、＃
みちに、とをばかりの女の子が泣いてゐまし＃
た。＃
＜Ｐ－０２９＞
おつる「あなた。なぜ、泣いてゐますか。どうしたの＃
ですか。」＃
女の子「ありがたうございます。わたくしが、今、こ＃
こを通りますと、子どもが來て、わたくしの＃
杖を取ってしまひました。わたくしは目が見＃
えません。さがしても、わかりません。」＃
二［ふた］人［り］が、よく、見ますと、いかにも、めくらの子で＃
した。＃
おふみ「まー。なんといふ、わるい子どもでせう。」＃
＜Ｐ－０３０＞
女の子「こんなことは、たびたび、ございます。私は、＃
目が見えんのが、かなしうございます。私は、＃
學校に、行って、字を讀むこともできません。花＃
がさいても、見ることもできません。」＃
二［ふた］人［り］は、たいそー、かはいさうに、思ひました。ま＃
た、じぶんたちが、まんぞくなからだをもってゐ＃
て、學校に行ったり、公［こー］園［えん］に行って、遊んだりするこ＃
とができるのを、しあはせに、思ひました。二［ふた］人［り］＃
は、杖をさがしてやって、うちまで、おくりとどけ＃
＜Ｐ－０３１＞
てやりました。この子の父や母は、たいそー、喜＃
んで、いろいろ、お礼をいひました。　　＃
第十　　人ノカラダ。　　＃
人ノカラダノソトヲ包ンデヰルモノハ皮［カハ］デ＃
アル。皮ハ、チョード、家ノカベノヨーナモノデ、ウ＃
チニアル、イロイロナ道［ドー］具［グ］ヲ守ルモノデアル。＃
皮ノ下ニハ、筋［キン］肉［ニク］ガアル。筋［キン］肉［ニク］ハ骨［ホネ］ニツイテヰ＃
テ、ソノノビチヂミデ、カラダノ、イロイロナウ＃
ンドーガデキルモノデアル。＃
＜Ｐ－０３２＞
カラダノ胴［ドー］ノ＃
シンニハ、脊［セ］骨［ボネ］＃
ガトホッテヰ＃
ル。マタ、手ト足＃
トノシンニモ、ソレゾレ、骨ガトホッテヰル。骨＃
ハ、家ノ柱ガ家ノカタチヲタモツヨーニ、カラ＃
ダノカタチヲタモツモノデアル。＃
カラダノ内ニハ、三ツノヘヤガアル。第一ノヘ＃
ヤハ頭［アタマ］デ、中ニハ、腦［ノー］髓［ズイ］トイフモノガハイッテヰ＃
＜Ｐ－０３３＞
ル。腦［ノー］髓［ズイ］ハモノヲオ＃
ボエタリ、モノノワケ＃
ヲカンガヘタリスル＃
モノデアル。コレハ、＃
ヨホド、ダイジナモノ＃
デアルカラ、頭［ズ］蓋［ガイ］骨［コツ］トイフ骨ガ、ヘヤノカベニナッ＃
テヰテ、ダイジニ、ソレヲ守ッテヰル。＃
第二ノヘヤハ胸［ムネ］デ、胸［ムネ］ノ内ノ右ト左トニハ、肺［ハイ］＃
臟［ゾー］、肺［ハイ］臟［ゾー］ノ間ニハ、心［シン］臟［ゾー］ガハイッテヰル。肺［ハイ］臟［ゾー］ハ、口＃
＜Ｐ－０３４＞
ヤ鼻［ハナ］カラ、スヒ入レタ空氣デ、血［チ］ヲキレイニシ、＃
心［シン］臟［ゾー］ハ、肺［ハイ］臟［ゾー］カラクル、キレイナ血ヲ、カラダジュ＃
ーニ、メグラセル。コノ心［シン］臟［ゾー］ト肺［ハイ］臟［ゾー］トハ、マタ、ヨ＃
ホド、ダイジナモノデアルカラ、ヘヤノカベハ、＃
タクサンノ、肋［ロッ］骨［コツ］トイフ骨デ、デキテヰル。＃
第三ノヘヤハ腹［ハラ］デ、マク一枚デ、胸［ムネ］ト、シキッテア＃
ル。腹［ハラ］ノ中ニハ、胃［イ］ガハイッテヰテ、ソノ下ニハ、腸［チョー］＃
トイフ、長イモノガ、マガッテ、カサナリアッテ、ハイッ＃
テヰル。胃［イ］ハ、口デ、タベタモノヲコナシテ、腸［チョー］ニ、＃
＜Ｐ－０３５＞
オクル。腸［チョー］ハ、胃［イ］デ、コナレンモノヲコナシ、コレ＃
ヲ胃［イ］デ、コナレタモノトマゼテ、ソレカラ、養ニ＃
ナルモノヲ取ッテ、ソノヘンヲメグッテヰル血ニ＃
マゼル。＃
人ノカラダハ、マヅ、コンナシカケデアル。コレ＃
ヲジョーブニスルニハ、養ニナルモノヲタベル＃
コトト、運動スルコトトガ、イチバン、ダイジデ＃
アル。　　＃
第十一　　煙［たば］草［こ］と酒［さけ］。　　＃
＜Ｐ－０３６＞
ある日［にち］曜［よー］日［び］、次郎が、父につれられて、町を通り＃
たるに、顏［かほ］の赤き人、大聲に、歌を歌ひ、右へ、左へ、＃
よろめきながら、そばをすぎたり。＃
次郎は父の袂［たもと］をひきて、＃
「おとうさん。今の人はきちがひでせうか。」＃
と問ひたり。＃
父は、＃
「いーえ。きちがひではありません。酒を飲ん＃
だのです。酒には、あるこーるといって、人をゑ＃
＜Ｐ－０３７＞
はせるものがはいってゐますから、よけいに、＃
飲むと、今の人のよーになります。また、から＃
だも弱くなります。」＃
とこたへたり。＃
かくて、一町ばかり、行きたるに、交［こー］番［ばん］所［しょ］の前に＃
て、ひとりの子ども、巡［じゅん］査［さ］に、しかられゐたり。＃
次郎は、また、父の袂［たもと］をひきて、＃
「あの人は、なぜ、しかられてゐるのでせうか。」＃
と問ひたり。＃
＜Ｐ－０３８＞
父は、＃
「煙［たば］草［こ］をすったから、しかられてゐるのです。煙［たば］＃
草［こ］には、どくなものがはいってゐますから、す＃
ふと、からだがわるくなります。とりわけ、年＃
のわかいものには、たいそー、がいがありま＃
すから、『はたちまへのものはすってはならん。』＃
と、法［ほー］律［りつ］で、とめてあるのです。」＃
と答へたり。　　＃
第十二　　石と豆［まめ］。　　＃
＜Ｐ－０３９＞
畑のすみに、一つの石と一つぶの豆とがなら＃
んでゐた。＃
豆は、小さな聲で、＃
「どれ。これから、そだつよーいをしよう。」＃
といった。石は、ふしぎに思って、＃
「そだつとは、いったい、なんのことだ。」＃
といった。＃
豆は、＃
「おや。君は、まだ、そだつといふことを知らん＃
＜Ｐ－０４０＞
のか。いまに、ぼくがそだつから、見てゐたま＃
へ。根は、『しめりをとらう。』と思って、土にはいる＃
よ。葉や莖［くき］は『空氣をすったり、日の光にあたった＃
りしよう。』と思って、上に、のびるよ。しめり、空氣、＃
日の光はぼくのたべものさ。ぼくは、しめり、＃
空氣、日の光をたべて、だんだん、だんだん、ま＃
んぞくな植物になるよ。根はひろがる。莖［くき］か＃
らは、枝が出て、花がさく。おしまひには、今の＃
ぼくのよーなみがはいってゐる莢［さや］がなる。＃
＜Ｐ－０４１＞
あー。早く、その時が來ればよ＃
いなー。」＃
といった。＃
そこで、石はふしぎに思って、＃
「君は、じつに、ふしぎなことを＃
いふねー。ぼくは、もう、何十年も、ここに、ゐる＃
よ。しかし、ぼくは、ちっとも、そだったことはな＃
い。また、ぼくには、根もない。莖［くき］もない。あるの＃
かも知らんが、土にもはいらんし、上にも、のび＃
＜Ｐ－０４２＞
ん。君。それはうそではないか。」＃
といった。＃
こんな話をしてゐるうちに、豆は、まんなかか＃
ら、二つに、われた。根が出た。芽［め］が出た。芽［め］は、のび＃
て、莖［くき］となった。そして、だんだんと、豆がいったと＃
ほりになった。＃
石は、はじめて、そだつといふことを知った。また、＃
「じぶんはそだつものでない。」といふことをも＃
知った。　　＃
＜Ｐ－０４３＞
第十三　　鳥ノ巣［ス］。　　＃
アル所ニ、多クノ木ニテトリマカレタル小サ＃
キ村アリケリ。ソノ木ノ中ニハ、春、キレイナル＃
花ノサクモアリ、秋、味ヨキミノナルモアリケ＃
リ。マタ、アル木ニハ、美シキ多クノ鳥、巣［ス］ヲカケ＃
テ、サモ、タノシゲニ、ナキケリ。＃
コノ村ノ人ハ、ツネニ、子ドモラニ、＃
「オマヘタチハ、鳥ヲイヂメテハナリマセン。＃
巣［ス］ヲ取ッテモナリマセン。イヂメタリ、取ッタリ＃
＜Ｐー０４４＞
スルト、春ニナッテモ、花ガサキマセン。秋ニナッ＃
テモ、ミガナリマセン。」＃
トイヒキカセタリ。＃
シカルニ、一人ノ、アシキ子ドモアリテ、木ニ、ノ＃
ボリテ、コトゴトク、ソノ巣［ス］ヲトリタリ。鳥ハ、大＃
イニ、オソレテ、ミナ、ウチツレテ、ニゲサレリ。コ＃
レヨリ、庭ニモ、野ニモ、鳥ナカズシテ、村ハ、ハナ＃
ハダ、サビシキ所トナレリ。＃
ソレノミナラズ。鳥ノニゲサリタルヨリ、木ニ、＃
＜Ｐ－０４５＞
毛虫、シダイニ、フエキテ、芽［メ］ヲ食ヒ、葉ヲ食ヒ、ツ＃
ヒニハ、枯木ノゴトクニ、ナセリ。＃
カノ、アシキ子ドモハ、「コノ秋ハ、ジューブンニ、ミ＃
ヲ食ハン。」ト思ヒタリシガ、カカルアリサマニ＃
ナリタレバ、ソレモ食フコトアタハザルニイ＃
タレリ。　　＃
第十四　　停［てい］車［しゃ］場［ば］。　　＃
人が、おほぜい、停［てい］車［しゃ］場［ば］の方へ、行きます。あれは＃
八時の汽車に乘るのでせう。汽車は、きまった＃
＜Ｐ－０４６＞
時間が來ると、すぐ、出ます。一分でも、まつこと＃
はありません。＃
停［てい］車［しゃ］場［ば］の中では、人が切［きっ］符［ぷ］を買ってゐます。後か＃
ら、來た人は、さきに、來た人の後について、じゅん＃
じゅんに、買ってゐます。また、荷物をあづけてゐる＃
人もあります。あれは、えんぽーへ、行く人でせ＃
う。＃
驛［えき］夫［ふ］がべるをならしました。人が、切［きっ］符［ぷ］をきって＃
もらって、乘［のり］場［ば］に出ました。まもなく、汽車が見え＃
＜Ｐ－０４７＞
てきました。まっさきに、煙をは＃
いて、來るのは機［き］關［かん］車［しゃ］です。機［き］＃
關［かん］車［しゃ］は、蒸［じょー］氣［き］の力で、後の車をひ＃
くものです。機［き］關［かん］車［しゃ］の次に、た＃
くさん、ついてゐるのは客［きゃく］車［しゃ］で＃
す。客［きゃく］車［しゃ］は人を乘せるものです。＃
客［きゃく］車［しゃ］の後についてゐるのは貨［か］車［しゃ］です。貨［か］車［しゃ］は＃
荷物を乘せるものです。＃
汽車が着きました。客［きゃく］車［しゃ］から、人がおります。お＃
＜Ｐ－０４８＞
りてから、ほかの人が乘ります。わかいものが＃
としよりや子どものせわをして、乘せてゐま＃
す。貨［か］車［しゃ］から、荷物をおろします。あれは、今、おり＃
た人のでせう。おろしてから、ほかの荷物をの＃
せます。あれは、さきに、あづけた人のでせう。＃
人は客［きゃく］車［しゃ］に乘りました。驛［えき］夫［ふ］は荷物をのせま＃
した。まもなく、八時になりました。驛［えき］長［ちょー］があひ＃
ずをしました。汽［き］笛［てき］が、ぴーと、なって、汽車が出て＃
行きました。　　＃
＜Ｐ－０４９＞
旅行をする人。　　みおくりする人。　　＃
今、着く人をば　　むかへに、出た人。　　＃
べんとー賣るのは　　はっぴを着た人。　　＃
手荷物かついで、　　運ぶは赤［あか］帽［ぼー］。　　＃
がらんがらんと、べるがなる。　　＃
煙をはいて、汽車が來る。」　　＃
驛［えき］の名呼ぶ聲。　　とびらのあく音。　　＃
おりくる人人。　　乘りこむ人人。　　＃
あひたる喜。　　わかるるかなしみ。　　＃
＜Ｐ－０５０＞
あいさつさまざま、　　ことばも短く。　　＃
やがて、汽車さり、人ちりて、　　＃
あとを、驛［えき］夫［ふ］が、掃［そー］除［じ］する。」　　＃
第十五　　貿［ボー］易［エキ］。　　＃
世［セ］界［カイ］ノ中ニハ、多クノ國アリテ、海ニソヘル國＃
モアリ、山ニカコマレタル國モアリ。マタ、暖ニ＃
シテ、年中、草木ノシゲレル國モアリ、寒クシテ、＃
雪ノキユル時ナキ國モアリ。＃
サレバ、コレラノ國ヨリ出ヅル産［サン］物［ブツ］モ、マタ、同＃
＜Ｐ－０５１＞
ジカラズ。ワガ國ノゴトク、米、生［キ］糸［イト］、茶ヲ産スル＃
國モアリ、イギリスノゴトク、鐵、石炭ヲ産スル＃
國モアリ。ソノホカ、海ノ産物アリテ、山ノ産物＃
ナキ國モアリ。マタ、暖キ土地ニハ、暖キ土地ノ＃
産物アリ、寒キ土地ニハ、寒キ土地ノ産物アリ。」＃
サレバ、オノオノ、ソノ産物ヲ賣買シテ、タガヒ＃
ニ、有ルモノト、無キモノトヲトリカフルコト＃
ハ、ハナハダ、必［ヒツ］要［ヨー］ナルコトナリ。カク、國ト國ト＃
ノ間ニ、賣買スルヲ貿［ボー］易［エキ］トイフ。＃
＜Ｐ－０５２＞
貿［ボー］易［エキ］盛ナレバ、ソノ國富ミ、貿［ボー］易［エキ］オトロフレバ、＃
ソノ國貧シ。サレバ、國［コク］民［ミン］タルモノハ、オノオノ、＃
家業ヲハゲミテ、多クノ産物ヲ出シ、マスマス、＃
貿［ボー］易［エキ］ヲ盛ナラシメンコトヲツトムベシ。　　＃
第十六　　開［カイ］港［コー］場［バ］。　　＃
開［カイ］港［コー］場［バ］トハ貿［ボー］易［エキ］ヲナス港ニシテ、内［ナイ］國［コク］ノ産物＃
ヲ輸［ユ］出［シュツ］シ、外國ノ産物ヲ輸［ユ］入［ニュー］スル所ナリ。ワガ＃
國ニハ、開［カイ］港［コー］場［バ］、四十アマリ、アリ。ソノウチ、オモ＃
ナルモノハ横［ヨコ］濱［ハマ］、神［カウ］戸［ベ］、大［オホ］坂［サカ］、長［ナガ］崎［サキ］、函［ハコ］館［ダテ］ナドナリ。」＃
＜Ｐ－０５３＞
横［ヨコ］濱［ハマ］ハ、東［トー］京［キョー］ノ西南、八里バカリノ所ニ、アリ。開［カイ］＃
港［コー］ノハジメマデハ、サビシキ、リョーシノ村ナリ＃
シガ、今ハ、大イナル商店タチナラビテ、貿［ボー］易［エキ］、モッ＃
トモ、盛ナリ。＃
神［カウ］戸［ベ］ハ、大［オホ］坂［サカ］ノ西、十里バカリノ所ニ、アリ。港ノ＃
内、水深クシテ、大イナル船［フネ］ヲトムルニ、便利ナ＃
レバ、船ノ出入、ハナハダ、多シ。＃
大［オホ］坂［サカ］ノコトハ、スデニ、ノベタリ。サレバ、ココニ＃
ハ、ノベズ。＃
＜Ｐ－０５４＞
長［ナガ］崎［サキ］ハ、九［キュー］州［シュー］ノ西北部ニ、アリ。昔ヨリ、貿［ボー］易［エキ］ヲナ＃
セル所ニシテ、船ノ出入、今、ナホ、ハナハダ、多シ。」＃
函［ハコ］館［ダテ］ハ、北［ホッ］海［カイ］道［ドー］ノ西南部ニ、アリ。北［ホッ］海［カイ］道［ドー］ノ産物、＃
多クハ、ココニ、アツマリ、市中、大イニ、ニギハヘ＃
リ。＃
コノホカ、下［シモノ］關［セキ］ト門［モ］司［ジ］トモ、マタ、名高キ開［カイ］港［コー］場［バ］＃
ニシテ、トモニ、瀬［セ］戸［ト］内［ナイ］海［カイ］ノ西ノ入口ニ、アリ。ソ＃
ノウチ、下［シモノ］關［セキ］ハ、明治二十七八年戰［セン］役［エキ］ノトキ、清［シン］＃
國［コク］ノ使ト、ワガ國ノ大［ダイ］臣［ジン］トガ媾［コー］和［ワ］ノ談［ダン］判［パン］ヲ開＃
＜Ｐ－０５５＞
キシ所ナレバ、ソノ名、コトニ、高シ。　　＃
第十七　　神［かう］戸［べ］からの電［でん］報［ぽー］。　　＃
洋［よー］吉［きち］の家は、横［よこ］濱［はま］に、ある。父は日［にっ］本［ぽん］丸［まる］といふ汽＃
船の船長で、先月、支［し］那［な］へむかって、たって行った。洋［よー］＃
吉［きち］は、「もう、お歸りになるであらう。」と、まいにち、＃
まいにち、待ってゐた。母も待ってゐた。＃
ある日、げんかんで、「電［でん］報［ぽー］。」といふ聲がした。洋［よー］吉［きち］＃
は、すぐ、出て行って、電［でん］報［ぽー］を受け取った。見ると、お＃
もてには、「ヨコハマ……ハルノヨーキチ」と、書＃
＜Ｐ－０５６＞
いてあって、うらには、「ミチスケ」と、書いてあった。＃
洋［よー］吉［きち］は喜んで、＃
「おかあさん。おとうさんから、電［でん］報［ぽー］が來まし＃
た。」＃
といって、母のところへ、持って行った。＃
母も喜んで、受け取って、すぐ、封をあけた。中には、＃
次のよーに、書いてあった。＃
母は、たいそー、喜んで、＃
「洋［よー］吉［きち］。これをごらん。おとうさんは、いよいよ、＃
＜Ｐ－０５７＞
あした、＃
お歸り＃
になり＃
ますよ。」＃
といった。＃
しかし、＃
洋［よー］吉［きち］は、＃
よく、わからなかったので、＃
「『イマブジニツイタ』と、あるのは、いつ、どこに、＃
＜Ｐ－０５８＞
お着きなされたのですか。また、午後十時の＃
汽車で、おたちになると、いつ、うちに、お歸り＃
になるのですか。」＃
とたづねた。＃
母は、電［でん］報［ぽー］を取って見せて、＃
「この上のだんの四行［ぎょー］めと五行［ぎょー］めとをごら＃
ん。『七月一日』『午ゴ一時一五分』と、書いてあり＃
ませう。これが、おとうさんがこの電［でん］報［ぽー］をお＃
かけになった日と時間とです。それから、この＃
＜Ｐ－０５９＞
二行［ぎょー］めをごらん。『カウベ』と書いてありませ＃
う。ここが、おとうさんがこの電［でん］報［ぽー］をおかけ＃
になった所です。それですから、おとうさんは、＃
けふ、一時ごろに、神［かう］戸［べ］にお着きになったので＃
せう。」＃
と教へた。そして、机の上から、汽車の時［じ］間［かん］表［ひょー］を＃
持って來て、あけて見て、＃
「おとうさんが神［かう］戸［べ］を、午後十時に、おたちに＃
なると、十一時ごろには、大［おほ］坂［さか］、十二時ごろに＃
＜Ｐ－０６０＞
は、京［きょー］都［と］、あしたの午前五時三十分ごろには、＃
名［な］古［ご］屋［や］、十二時ごろには、靜［しづ］岡［をか］にお着きにな＃
ります。そして、横［よこ］濱［はま］には、午後六時ごろに、お＃
歸りになるのです。」＃
と教へた。＃
洋［よー］吉［きち］は、これを聞いて、＃
「それでは、いよいよ、あしたの六時ごろに、お＃
歸りになりますね。」＃
といって、たいそー、喜んだ。そして、電［でん］報［ぽー］は、早く、＃
＜Ｐ－０６１＞
つくもので、文は短くても、よく、わかることと、＃
汽車の時間がきまってゐて、たいそー、つごーの＃
よいものであることとに、おどろいた。　　＃
第十八　　航［こー］海［かい］の話。（一）　　＃
洋［よー］吉［きち］の父は、七月二日の午後六時ごろ、歸って來＃
た。洋［よー］吉［きち］は、たいそー、喜んだ。母も喜んだ。やがて、＃
あいさつもすみ、ごはんもすんで、ばんには、父＃
が、いろいろ、おもしろい話をした。＃
父は、次の日、町はづれの小學校に、行った。先生は、＃
＜Ｐ－０６２＞
たいそー、喜んで、「生［せい］徒［と］に、何か、お話をしてやって＃
ください。」と願った。父は「それでは。」といって、生［せい］徒［と］＃
に次のよーな話をしてやった。＃
「みなさん。私は子どもの時に、この學校へ、通っ＃
てゐました。みなさんと同じよーに、あそこ＃
の庭で、まりをなげたり、ここのこーどーで、＃
修身のお話を聞いたりしてゐました。それ＃
で、私は、この學校が、たいそー、なつかしうご＃
ざいます。みなさんもなつかしうございま＃
＜Ｐ－０６３＞
す。＃
なつかしいので、けふ、來てみましたところ＃
が、『みなさんに、何か、お話をしてあげてくれ。』＃
といふ先生のおたのみがございました。べ＃
つだん、おもしろいお話もありませんが、私＃
は日［にっ］本［ぽん］丸［まる］といふ汽船の船長をしてゐます＃
から、ひとつ、航［こー］海［かい］のお話をいたしませう。＃
みなさんは、海を知ってゐらっしゃる。汽船も、軍［ぐん］＃
艦［かん］も知ってゐらっしゃる。航［こー］海［かい］といふのは、その＃
＜Ｐ－０６４＞
汽船や軍［ぐん］艦［かん］などに乘って、その海をわたって行＃
くことです。そして、この航［こー］海［かい］のうちには、い＃
ろいろ、おもしろいことがあります。＃
まづ、いかりをまいて、港を出て行くと、帆［ほ］掛［かけ］＃
船［ぶね］のはしってゐるのが見える。白い鳥が、あっち＃
こっちで、とんでゐるのが見える。海ばたには、＃
松のならんでゐるのが見える。＃
それから、だんだん、沖の方へ、進んで行くと、＃
もう、目に見えるものは水ばかりで、その水＃
＜Ｐ－０６５＞
ばかりの中を、船が、どんどんと、波をきって行＃
くのです。日の出、日の入には、光が波にうつっ＃
て、海が、まるで、金のよーになる。月夜には、銀＃
のよーになる。その美しいことといったら、何＃
とも、いひよーがありません。＃
また、鯨［くぢら］といふ大きな魚の形をしてゐるけ＃
もの、十何間もある、大きなけものが、頭から、＃
高く、すいきをふいてゐることがありま＃
す。とびの魚といふ魚が、雲のよーに、むらがっ＃
＜Ｐ－０６６＞
て、とんでゐるこ＃
ともあります。あ＃
ほー鳥といふ大＃
きな鳥がそれを＃
おってゐることも＃
あります。それか＃
ら、いよいよ、外國＃
の港に着くと、め＃
づらしい家がたっ＃
＜Ｐ－０６７＞
てゐる。めづらしい草木がはえてゐる。かはっ＃
たふーをして、かはったことばをつかふ人が＃
ゐる。いや、もう、航［こー］海［かい］ほどおもしろいものは、＃
またと、ありません。」　　＃
第十九　　航［こー］海［かい］の話。（二）　　＃
洋［よー］吉［きち］の父は、こっぷの水を飲んで、話をつづけた。＃
「しかし、航［こー］海［かい］する間には、大風のふくことがあ＃
る。霧［きり］がかかったり、大雨、大雪が降ったりして、＃
一寸さきも見えないよーになることもあ＃
＜Ｐ－０６８＞
る。＃
大風がふくと、山のよーな波がよせて來て、＃
『船は、今にも、沈むか。』と思はれるよーになる。＃
けれども、船は、なかなか、沈まない。どんどん＃
と、この山のよーな波をきって行く。それです＃
から、どきょーをすゑてさへをれば、よいので＃
す。なにもおそろしいことはありません。＃
ただ、おそろしいのは霧［きり］がかかったり、大雨、大＃
雪などが降って、一寸さきも見えないよーに＃
＜Ｐ－０６９＞
なることです。＃
これが、夜の暗いので、さきが見えないのな＃
ら、なにも、おそろしいことはありません。星＃
を見ても、船が、どこに、をるか、わかるし、また、＃
燈［とー］臺［だい］といふものがあって、その光＃
るよーすなどで、『あれはどこの＃
燈［とー］臺［だい］だ。』といふこともわかりま＃
す。＃
けれども、霧［きり］がかかったり、大雨、大＃
＜Ｐ－０７０＞
雪などが降ったりして、さきが見えないよー＃
になると、晝は、もとより、夜でも、星も、燈［とー］臺［だい］も＃
見えないよーになります。そして、淺［あさ］瀬［せ］にの＃
りあげたり、あんしょーやほかの船にぶつかっ＃
たりするよーな、あぶないことがあるから、＃
おそろしいのです。＃
しかし、そんなときには、淺［あさ］瀬［せ］にのりあげた＃
り、あんしょーにぶつかったりしないために、船＃
をとめてしまひます。そして、ほかの船にも＃
＜Ｐ－０７１＞
ぶつからないために、汽［き］笛［てき］や鐘［かね］をならして、＃
霧［きり］のはれるのや、大雨、大雪のやむのを待ち＃
ます。さうすると、なにも、あぶないことはあ＃
りません。ですから、おそろしいといっても、ま＃
ー、安心です。＃
さて、おしまひに、ひとつ、いっておくことがあ＃
ります。それは、『日本は海國でありながら、人＃
が、わりあひに、海をおそれる。』といふことです。＃
ごらんなさい。ちょっと、渡［わたし］舟［ぶね］に乘ってさへ、『こは＃
＜Ｐ－０７２＞
いよ。こはいよ。』といって、泣くものがあるでは＃
ありませんか。こんなことでは、しかたがあ＃
りますまい。＃
みなさんの中には、大きくなって、航［こー］海［かい］をする＃
人もありませう。貿［ぼー］易［えき］をする人もありませ＃
う。漁［ぎょ］業［ぎょー］をする人もありませう。かよーなし＃
ごとをする人はいふまでもないことです＃
が、たとひ、農業をする人でも、工業をする人＃
でも、小さいときから、海になれておくとい＃
＜Ｐ－０７３＞
ふことは、よほど、必［ひつ］要［よー］なことだと思ひます。」　　＃
第二十　　燈［とー］臺［だい］。　　＃
空に、月なく、　　星さへなくて、　　＃
一寸さきすら　　見えざる夜に、　　＃
沖の汽船や　　軍［ぐん］艦［かん］などは、　　＃
なにをめあてに、　　航［こー］路［ろ］をきむる。」　　＃
岸に、岬［みさき］に、　　燈［とー］臺［だい］ありて、　　＃
遠く、沖まで、　　光りてあれば、　　＃
沖の汽船や、　　軍［ぐん］艦［かん］などは、　　＃
＜Ｐ－０７４＞
それをめあてに、　　航［こー］路［ろ］をきむる。」　　＃
きめし航［こー］路［ろ］を　　進みて行けば、　　＃
淺［あさ］瀬［せ］暗［あん］礁［しょー］、　　數ある海も、　　＃
さはることなく、　　渡るをうべし。　　＃
あー。燈［とー］臺［だい］の　　貴きことよ。」　　＃
第二十一　　琉［リュー］球［キュー］。　　＃
琉［リュー］球［キュー］ハ九［キュー］州［シュー］ノ西南ニツラナレル、五十アマリ＃
ノ島島ヨリナレリ。ソノウチ、沖［オキ］繩［ナハ］島［ジマ］、モットモ、大＃
ナリ。＃
＜Ｐ－０７５＞
沖［オキ］繩［ナハ］島［ジマ］ニハ、二ツノ、オモナル都［ト］會［カイ］アリ。ソノ一＃
ツヲ首［シュ］里［リ］トイヒテ、昔、琉［リュー］球［キュー］ノ島［トー］主［シュ］ノヲリシ所＃
ナリ。他ノ一ツヲ那［ナ］覇［ハ］トイヒテ、今、沖［オキ］繩［ナハ］縣［ケン］廳［チョー］ノ＃
アル所ナリ。＃
氣候ハ、ハナハダ、暖ニシテ、冬スラ、雪ノ降ルコ＃
トナク、草木、ツネニ、葉ヲツケタリ。一二月ノコ＃
ロニハ、スデニ、櫻ノ花サキ、農夫苗ヲ植ヱハジ＃
ム。サレバ、人人、年中、ヒトヘモノヲ用ヒテ、綿入＃
ナドヲ用フルコトナシ。＃
＜Ｐ－０７６＞
琉［リュー］球［キュー］ニハ、水少ケレバ、米ヲ産スルコト少シ。サ＃
レド、サツマイモハ、一年ニ、二度、取入ル。人人ノ、＃
ツネニ、食フモノハ、タイテイ、コレナリ。マタ、砂［サ］＃
糖［トー］、カスリ、ヰムシロ、豚［ブタ］ナドヲモ産ス。　　＃
第二十二　　寒［カン］暖［ダン］計［ケイ］。　　＃
寒［カン］暖［ダン］計［ケイ］ハ氣候ノ暑イ寒イヲ計ル器［キ］械［カイ］デ、ガラ＃
スノクダニ水［スイ］銀［ギン］カ、色ヲツケタアルコールカ＃
ヲ入レテ、コレニ、度ガモッテアルモノデアリマ＃
ス。＃
＜Ｐ－０７７＞
タイテイ、物ハ、ドンナ物＃
デモ、アタタマルト、カサ＃
ガフエ、冷エルト、カサガヘルモノデアリマス。＃
水［スイ］銀［ギン］モ、アルコールモ、ガラスモ、ミンナ、サウデ＃
アリマス。シカシ、フエルトヘルトノドアヒハ、＃
物ニヨッテ、チガッテヰテ、水［スイ］銀［ギン］ヤアルコールナ＃
ドハ、ガラスヨリハ、ソノドアヒガ、ズット、多ウゴ＃
ザイマス。＃
ソレデ、前ニイッタヨーニ、作ッテオキマスト、水［スイ］銀［ギン］＃
＜Ｐ－０７８＞
ヤアルコールハ、氣候ノ暑イ寒イニヨッテ、アガッ＃
タリ、サガッタリシマス。コノアガッタリ、サガッタ＃
リシタノヲ、度ニアハセテ、見ルト、ドノクラヰ、＃
暑イカ、ドノクラヰ、寒イカガワカリマス。＃
寒［カン］暖［ダン］計［ケイ］ノ度ノモリヨーニハ、華［カ］氏［シ］ト攝［セッ］氏［シ］ト列［レッ］＃
氏［シ］トノ三トホリアリマス。私ドモガ、フツー、ツ＃
カッテヰルノハ、華［カ］氏［シ］デアリマス。＃
だいぶん、すずしくなりました。＃
どなたさまも、おかはりはござ＃
＜Ｐ－０７９＞
いませんか。お伺ひ申します。わ＃
たくしのうちでは、みんな、たっ＃
しゃで、をりますから、御安心くだ＃
さいませ。父から、ききますれば、＃
おとなりの町では、わるい病氣が＃
はやってをるといふことですが、＃
さぞ、御しんぱいでございませ＃
う。どうぞ、御用心なさいませ。＃
十月三日　　　　うめ　　＃
＜Ｐ－０８０＞
おしげ樣　　＃
お手紙をいただきまして、あり＃
がたうございます。どなたも、御＃
きげんよく、いらっしゃいますさう＃
で、まことに、けっこーにぞんじま＃
す。私の方でも、みんな、かはりが＃
ありませんから、どうぞ、御安心＃
下さいませ。となりの町のはや＃
りやまひは、いちじは、ずいぶん、＃
＜Ｐ－０８１＞
ひどくて、しんぱいいたしまし＃
たが、このごろは、だんだん、おと＃
ろへてまゐりました。しかし、仰＃
のとほり、じゅーぶん、用心するつ＃
もりでございます。＃
十月四日　　　　しげ　　＃
おうめ樣　　＃
○おかはりはございませんか。お伺ひ申します。　　＃
　御かはりござなく候や。御伺ひ申上候。　　＃
＜Ｐ－０８２＞
○みんな、たっしゃでをりますから、御安心くださいませ。　　＃
　みな、たっしゃに候間、御安心下され度候。　　＃
○ありがたうございます。　　＃
　ありがたく存候。　　＃
第二十三　　小太郎の日［にっ］記［き］。　　＃
　十月八日、木［もく］曜［よー］日［び］、晴。＃
けふ、學校で、算術の時間に、米や油などをはか＃
る、石、斗、升、合などといふ枡［ます］目［め］のとなへかたと、＃
そのけいさんのしかたとをならった。＃
學校がひけてから、おとうさんと、となりの町＃
＜Ｐ－０８３＞
の油屋に、行って、石油をあつらへた。油屋は「あし＃
たのひるすぎに、持たせてあげます。」といった。油＃
屋からの歸に、鉛［えん］筆［ぴつ］と手［て］帳［ちょー］とを買ってもらった。　　＃
　十月九日、金［きん］曜［よー］日［び］、曇。＃
午後三時ごろ、となりの町の油屋から、きのふ、＃
あつらへた石油を持って來た。それに、次のよー＃
な送り状［じょー］がそへてあった。＃
記　　＃
一石油壹かん　　代金壹圓八拾錢也　　＃
＜Ｐ－０８４＞
右御注文の品御とどけ申上候間御＃
受取下され度候也　　＃
代金はこの者に御渡し下され＃
度候　　＃
明治三十七年十月九日　　　　田中油商店　　＃
齋藤兵右衞門殿　　＃
ぼくはその送り状［じょー］を、おとうさんの所へ、持って＃
行った。おとうさんは、すぐに、錢をはらっておやり＃
なされた。使は次のよーな受取をおいていった。」＃
＜Ｐ－０８５＞
證　　＃
一金壹圓八拾錢也　　石油壹かん代　　＃
右正に受取候也　　＃
明治三十七年十月九日　　　　田中油商店　　＃
齋藤兵右衞門殿　　＃
　十月十日、土［ど］曜［よー］日［び］、晴。＃
けふ、學校で、身［しん］體［たい］檢［けん］査［さ］があった。ぼくのせいの高＃
さは四尺一寸二分あって、目［め］方［かた］は六貫［かん］八百匁［もんめ］あっ＃
た。＃
＜Ｐ－０８６＞
學校からの歸に、人が稻をかってゐるのを見た。＃
歸ってから、おとうさんにお話したら、「うちでも、＃
あしたから、かりはじめるつもりだ。」とおっしゃっ＃
た。ぼくも、あしたは日［にち］曜［よー］日［び］だから、ぼくのでき＃
ることだけは、おてつだひするつもりだ。　　＃

をはり。　　＃
