＜出典＞２３１　　　国定読本　２期３－１
＜Ｐ－０００＞
もくろく　　＃
第一　　あまのいはと………一　　第十四　　ていしやば………三十八　＃
第二　　春が來た………四　　第十五　　汽車ノタビ………四十一　＃
第三　　神［ジン］武［ム］天皇………五　　第十六　　かみなり………四十五　＃
第四　　水のたび　（一）………八　　第十七　　瓜………四十九　＃
第五　　水のたび　（二）………十一　　第十八　　カウモリ………五十二　＃
第六　　ナラノ大ブツ………十三　　第十九　　炭ト油………五十六　＃
第七　　コヒ………十五　　第二十　　蟲のこゑ………六十　＃
第八　　母の手つだひ………十八　　第二十一　　はがき………六十三　＃
第九　　かまぬすびと………二十二　　第二十二　　マツリ………六十七　＃
第十　　うめぼし………二十七　　第二十三　　鹿ノ水カヾミ………七十　＃
第十一　　茶………三十　　第二十四　　ひよどりごえのさかおとし　（一）………七十四　＃
第十二　　蝶………三十三　　第二十五　　ひよどりごえのさかおとし　（二）………七十七　＃
第十三　　小［ちひさ］子［こ］部［べ］のすがる………三十六　＃
＜Ｐ－００１＞
第一　　あまのいはと　　＃
天［あま］照［てらす］大［おほみ］神［かみ］の御弟に、すさのをのみこととい＃
ふきのあらい神さまがありました。ある時＃
生馬のかはをはいで、大神がはたをおらせ＃
ていらつしやる所へおなげ入れになりま＃
した。大神はおどろいて、あまの岩戸の戸を＃
たてて、その中へおかくれになりました。＃
さあ大へん、今まであかるかつたせかいが＃
＜Ｐ－００２＞
くらやみになつて、わるい神さまがさまざ＃
まのわるいことをはじめました。＃
よい神さまがたは、どうかして大神にまた＃
出ていただきたいと、色色ごさうだんの上、＃
一同あまの岩戸の外にあつまつて、おかぐ＃
らをおはじめになりました。その時あめの＃
うずめのみことといふ女の神さまのまひ＃
がおもしろかつたから、大ぜいの神さまが＃
＜Ｐ－００３＞
たは手をたたいて、お笑＃
ひになりました。＃
あまりおもしろさうな＃
ので、大神は少しばかり＃
戸をあけて、おのぞきに＃
なりました。手［た］力［ぢから］男［を］のみ＃
ことといふ力のつよい＃
神さまが、これをごらん＃
＜Ｐ－００４＞
になると、すぐに大神のお手をとつて、お出＃
し申し上げました。それでせかい中がまた＃
もとのとほりあかるくなつたと申します。　　＃
第二　　春が來た　　＃
春が來た、春が來た、どこに來た。　　＃
山に來た、里に來た、　　＃
のにも來た。」　　＃
花がさく、花がさく、どこにさく。　　＃
＜Ｐ－００５＞
山にさく、里にさく、　　＃
野にもさく。」　　＃
鳥がなく、鳥がなく、どこでなく。　　＃
山で鳴く、里で鳴く、　　＃
野でも鳴く。」　　＃
第三　　神［ジン］武［ム］天皇　　＃
日本ノ一バンハジメノ天皇ヲ神武天皇ト＃
申シ上ゲマス。コノ天皇ガワルモノドモヲ＃
＜Ｐ－００６＞
御セイバツニナツタ時、オトホリスヂノミ＃
チガケハシクテ、オコマリノコトガゴザイ＃
マシタ。ソノ時ヤタガラストイフ烏ガ出テ＃
來テ、オサキニ立ツテ、ヨイミチノ方ヘ御ア＃
ンナイ申シ上ゲマシタ。＃
又アル時ドコカラトモナク一羽ノ金色ノ＃
トビガトンデ來テ、オ弓ノサキニトマリマ＃
シタ。ソノ光ガキラ〳〵トシテ、ワルモノド＃
＜Ｐ－００７＞
モハ目ヲアケテヰ＃
ルコトガデキマセ＃
ン。ソノ光ニオソレ＃
テ、皆ニゲテ行キマ＃
シタ。＃
天皇ハ國ノ中ノワルモ＃
ノドモヲノコラズオタ＃
ヒラゲニナツテ、天皇ノオクラヰニオツキ＃
＜Ｐ－００８＞
ニナリマシタ。ソノ日ハ二月十一日ニアタ＃
リマスカラ、コノ日ヲキゲンセツト申シテ、＃
毎年オイハヒヲイタスノデゴザイマス。　　＃
第四　　水のたび　（一）　　＃
私はもと雨の一しづくです。そらからふつ＃
て、山の木のはの上に休んでゐましたが、風＃
にふかれて、土の上へおちました。＃
そこで大ぜいと一しよになつて、せまい谷＃
＜Ｐ－００９＞
へ下りました。私どものなかまは、出合ふと＃
すぐに一しよになるのがきまりです。＃
それから少し來ると、高いがけの上へ出ま＃
した。一思ひにとび下りると、何だか目がま＃
はつて、しばらくの間は何も知らずにゐま＃
した。きがついて見ると、人が二三人立つて、＃
「見ごとなたきだ。」といつて、ながめてゐまし＃
た。＃
＜Ｐ－０１０＞
だん〳〵來ると、ひろい野はらへ＃
出ました。野はらは平ですから、ゆ＃
つくりあるきました。鳥はたのし＃
さうに時々來て、羽をひたしまし＃
た。魚はうれしさうにういたりし＃
づんだりして、およいでゐました。」＃
ひるはあたたかな日にてらされ、＃
夜は美しい月をうかべながら、休＃
＜Ｐ－０１１＞
なしにあるきました。そばを通る＃
人が「美しい川だ。」といつて、ほめま＃
した。　　＃
第五　　水のたび　（二）　　＃
それから田や畠の間を通つて來＃
るうちに、右からも、左からも、なか＃
まがあつまつて來て、いよ〳〵に＃
ぎやかになりました。ある時上の＃
＜Ｐ－０１２＞
方でさわがしいおとがするから、見上げる＃
と、はしがかけてあつて、人や馬や車がたく＃
さん通つてゐるのです。＃
まもなく町の中へはいると、兩がはにいへ＃
がたちならんで、人がいそがしさうにある＃
いてゐました。やがて重い物が私どもの上＃
へ來ましたから、何かと思つたら、にもつを＃
つんだ船が通つてゐたのです。町の中を通＃
＜Ｐ－０１３＞
る時にきたない物をなげつけられるのに＃
はこまりました。けれども重い物は皆そこ＃
へしづめてしまつて、輕い物は一しよにこ＃
こまでもつて來ました。＃
こゝへ來て見ると、ひろ〴〵として、どちら＃
を見ても水ばかりです。こゝを人が海とい＃
ひます。　　＃
第六　　ナラノ大ブツ　　＃
＜Ｐ－０１４＞
日本一ノ大キナホトケサマハ、ナラノオ寺＃
ニアリマス。ナラノ大ブツトイツテ名高イ＃
モノデス。スワツテイラツシヤル高サガ五＃
丈三尺五寸、カホノ長サガ一丈六尺、耳ノ長＃
サガ八尺五寸、＃
目ノ長サガ三＃
尺九寸、手ノヒ＃
ラノ長サガ五＃
＜Ｐ－０１５＞
尺六寸、中指ノ長サガ五尺アリマス。＃
ゴランナサイ、大ブツサマノマヘニ立ツテ＃
ヰル人ガ、コンナニ小サク見エマス。　　＃
第七　　コヒ　　＃
池ノ中デコヒガオヨイデヰルノヲ見タコ＃
トガアリマセウ。大キナコヒガタクサンア＃
ツマツテオヨイデヰルノハ、マコトニミゴ＃
トナモノデス。＃
＜Ｐ－０１６＞
鯉ハ昔カラ川魚ノ長トイハレテヰマス。ウ＃
ロコハカハラヲフイタヤウニカサナリ合＃
ツテヰテ、兩ワキニアタマカラヲマデ一レ＃
ツニ、クロイテンノアルウロコガ三十六枚＃
ヅツナランデヰマス。ソノ色ニハクロイノ＃
モアリ、赤イノモアリ、白イノモアツテ、皆金＃
色ヲオビテヰマス。目ハ大キクテ、口ノ右左＃
ニハ太イヒゲガアリマス。＃
＜Ｐ－０１７＞
鯉ハマコトニヰセイノヨイ魚デス。蟲ナド＃
ガ水ノ上ヲトンデヰルト、ハネ上ツテトツ＃
テ食ヒマス。時ニハ二三尺モ高クトブコト＃
ガアリマス。＃
又ドンナ流ノ早イ川デモ、オヨイデノボリ＃
マス。鯉ノタキ上リトイツテ、タキデモ上ル＃
コトガアルサウデス。男ノ子ノアルウチデ＃
ハ、五月ノセツクニ鯉ノフキナガシヲ立テ＃
＜Ｐ－０１８＞
マス。鯉ノヤウニゲンキ＃
ガヨク、大キクナツテ＃
カラハ、鯉ガタキヲ＃
上ルヤウニ、ズン＃
ズンシユツセヲ＃
セヨトイフ心デ祝フノデセウ。　　＃
第八　　母の手つだひ　　＃
「おはなや、用があるから、ちよつとお出で。」＃
＜Ｐ－０１９＞
と、母はだいどころからよびました。＃
おはなは＃
「はい。」＃
といひながら、いそい＃
で行つて見ると、母は＃
流しもとで、まないた＃
に魚をのせて、さしみ＃
をこしらへてゐます。＃
＜Ｐ－０２０＞
母は戸だなの方をさして、＃
「そこにおさらがあるから、取つておくれ。」＃
といひました。＃
おはなは戸だなの中から一ばん大きなさ＃
らを持つて來ました。母は＃
「ありがたう。それからそこに切つてある＃
たけのこをおなべの中へ入れておくれ。」＃
「はい、これですか。」＃
＜Ｐ－０２１＞
と、おはなはざるの中のたけのこをなべの＃
中へ入れました。＃
「こんどは何の御用をいたしませう。」＃
母は＃
「ちよつとお待ち。」＃
といつて、切つたさしみをさらの中へ入れ＃
て、＃
「手がなまぐさいから、そのひしやくを取＃
＜Ｐ－０２２＞
つて、水をかけておくれ。」＃
といひました。＃
おはなは水がめから水をくんで、母の手に＃
かけました。　　＃
第九　　かまぬすびと　　＃
かまをぬすまれたものがありました。ぬす＃
人はきんじよに住んでゐるゐざりだとい＃
ふうはさがあるので、行つて見ると、なるほ＃
＜Ｐ－０２３＞
どそのかまがあります。大そうおこつて、取＃
りかへさうとすると、＃
「この釜は昔から私のうちにある釜です。＃
私はよその物をぬすむやうなことはい＃
たしません。」＃
といつて、どうしてもかへしません。しかた＃
がないから、うつたへて出ました。＃
やく人は二人をよび出して、その釜を前に＃
＜Ｐ－０２４＞
おいて取りしらべました。うつたへた人は、＃
「これは私が毎日使つてゐた釜でござい＃
ます。それを私のるすにこのゐざりがぬ＃
すんだのでございます。」＃
と申します。又ゐざりは＃
「お役人さま、ごらんの通り、私は足の立た＃
ないもので、兩手をついて、やつとゐざり＃
あるくものでございます。どうして釜の＃
＜Ｐ－０２５＞
やうな重い物が持つ＃
て行かれませう。その＃
釜は私が前から持つ＃
てゐたのでございま＃
す。」＃
と申します。＃
役人はしばらく考へて＃
ゐましたが、そのうちに＃
＜Ｐ－０２６＞
ゐざりにむかつて、＃
「お前のいふことはまことにもつともだ。＃
この釜はお前の物にちがひあるまい。さ＃
つそく持つてかへれ。」＃
と申しわたしました。＃
ゐざりは大そうよろこんで、その釜をあた＃
まにかぶつて、兩手をついてゐざり出しま＃
した。役人は後からこゑをかけて、＃
＜Ｐ－０２７＞
「こら待て、ゐざり。釜ぬす人はその方にき＃
まつたぞ。」＃
といつて、下役どもに言ひつけて、しばらせ＃
ました。　　＃
第十　　うめぼし　　＃
二月・三月花ざかり、　　＃
うぐひす鳴いた春の日の　　＃
たのしい時もゆめのうち。　　＃
＜Ｐ－０２８＞
五月・六月實がなれば、　　＃
枝からふるひおとされて、　　＃
きんじよの町へ持出され、　　＃
何升何合はかり賣。　　＃
もとよりすつぱいこのからだ、　　＃
しほにつかつてからくなり、　　＃
しそにそまつて赤くなり、　　＃
七月・八月あついころ、　　＃
＜Ｐ－０２９＞
三日三ばんの土用ぼし、　　＃
思へばつらいことばかり、　　＃
それもよのため、人のため。　　＃
しわはよつてもわかい氣で、　　＃
小さい君らのなかま入、　　＃
うんどう會にもついて行く。　　＃
ましていくさのその時は、　　＃
なくてはならぬこのわたし。　　＃
＜Ｐ－０３０＞
第十一　　茶　　＃
コヽニ茶ノ木ガアリマス。ハガヨクシゲツ＃
テ、下ノ方ハ枝モ見エマセン。マルクカリコ＃
ンダニハ木ノヤウニ見エマ＃
ス。茶ノ木ノ高サハ大テイ三＃
四尺グラヰデ、アタヽカイト＃
コロニヨクソダツ木デス。＃
コレハ茶ノ葉デス。ヨクソダツタ茶ノ葉ハ＃
＜Ｐ－０３１＞
長サガ二寸バカリモアリマス。＃
ツヤガアツテ、色ハコイミドリ＃
色デス。＃
十一月ゴロ白イ色ノ花ガサキマス。花ニハ＃
ベンガ五ツアツテ、ヨイニホヒガ＃
シマス。ソノ實ハツバキノ實ノヤ＃
ウニカタクテ、ソノ中ニマルイ種＃
ガ二ツ三ツヅツアリマス。＃
＜Ｐ－０３２＞
コヽハ茶畠デス。大ゼイノ女ガ茶ヲツンデ＃
ヰマス。＃
茶ハシンメノ出ルジブ＃
ンニ、ソノデタテノ葉ヲ＃
ツムノデス。五月ゴロカ＃
ラツミハジメマスガ、一＃
バンハジメニツムノヲ＃
一番茶トイヒマス。ソノ＃
＜Ｐ－０３３＞
葉デコシラヘル茶ガ一番ヨイ茶ニナリマ＃
ス。ソレカラ十四五日タツテツムノヲ二番＃
茶トイヒマス。マタ三番茶・四番茶マデモツ＃
ムコトガアリマスガ、ソンナニツムト、茶ノ＃
木ノタメニハヨクナイサウデス。　　＃
第十二　　蝶　　＃
サクラノ花ノ下ニトンデヰル白イ蝶ヲ見＃
ルト、花ガチツタノカト思ヒ、ナノ畠ニアソ＃
＜Ｐ－０３４＞
ンデヰル蝶ヲ見ルト、ナノ花ガト＃
ビ立ツタノカト思ヒマス。又羽ヲ＃
タヽンデ、シヅカニ木ノ葉ノ上ニ＃
ネムツタヤウニシテヰルノヲ見ルト、ドン＃
ナユメヲ見テヰルノカト思ヒマス。蝶ハイ＃
ツ見テモカハイラシイ＃
モノデス。＃
蝶ニハ大キナノモ、小サ＃
＜Ｐ－０３５＞
ナノモアリ、羽ノ色ニモ、白イノヤ、キイロナ＃
ノヤ、黒イノヤ、マダラナノヤサマ〴〵アリ＃
マスガ、ドレヲ見テモ美シウゴザイマス。＃
コノ美シイ蝶ガトビマハルノデ、花ゾノヤ＃
野原ノケシキガ一ソウ引立チマ＃
ス。キモノノモヤウヤ、カンザシナ＃
ドニ蝶ノ形ノツケテアルノモ、ソ＃
ノスガタガカハイラシイカラデ＃
＜Ｐ－０３６＞
セウ。＃
コノカハイラシイ、美シイ蝶ヲツカマヘテ＃
イヂメル人ハ、ドウイフ心デセウ。　　＃
第十三　小［ちひさ］子［こ］部［べ］のすがる　　＃
昔雄［ゆう］略［りやく］天皇がすがるといふ人をおめしに＃
なつて、こをたくさん集めて來いとおほせ＃
になりました。こといふのはかひこのこと＃
で、皇后さまがかひこをおかひあそばすた＃
＜Ｐ－０３７＞
めでございました。＃
すがるはさうとは心づかず、あちらこちら＃
をたづねまはつて、＃
「天子樣のおほせだから、子を出すやうに。」＃
と、たくさんの子ども＃
をもらつて、つれて來＃
ました。＃
天皇はこれをごらん＃
＜Ｐ－０３８＞
になつて、大そうお笑ひになりましたが、＃
「その子は皆お前にやるから、やしなつて＃
やるがよい。」＃
とおほせになつて、すがるには小子部とい＃
ふ姓をたまはりました。すがるはその大ぜ＃
いの子をおみやのそばでやしなつて居つ＃
たと申します。　　＃
第十四　　ていしやば　　＃
＜Ｐ－０３９＞
汽車が今ていしやばへつきました。下りる＃
人もあり、のりこまうとする人もあり、むか＃
へに來た人もあり、見おくりに來た人もあ＃
つて、大そうこみ合つてゐます。＃
下りる人がまだ下りてしまはないうちに、＃
もうのりこんだ人もあります。かばんを持＃
つて走つて行く人もあります。まだきつぷ＃
を買つてゐる人もあります。＃
＜Ｐ－０４０＞
かいさつ口では切符をしら＃
べてゐます。こちらの方のは、＃
これからのる人の切符を切＃
つてゐるのです。あちらの方＃
のは、今下りた人の切符をう＃
け取つてゐるのです。＃
えきふが小さな車の上へ、山＃
のやうに荷物をつんで來ま＃
＜Ｐ－０４１＞
した。あれは今のつた人の手荷物でせう。＃
もう汽車が出ます。まだむかふからいそい＃
で走つて來る人があります。あの人はもう＃
間に合はないでせう。汽車はどんなことが＃
あつても待ちません、きまつた時間にちや＃
んと出ます。　　＃
第十五　　汽車ノタビ　　＃
文太郎ハ父ニツレラレテ、ハジメテ汽車ニ＃
＜Ｐ－０４２＞
ノリマシタ。マドカラ外＃
ヲ見テヰルト、山モ川モ＃
野原モ林モ後ノ方ヘト＃
ンデ行クヤウニ見エマ＃
ス。田デハタライテヰル＃
人モ、道ヲ通ツテヰル人＃
モ、馬モ車モ今見エタカ＃
ト思フト、スグ後ニナツ＃
＜Ｐ－０４３＞
テシマヒマス。＃
走ツテヰル汽車ガスレチガフ時ニハ、向フ＃
ノ汽車ニノツテヰル人ノカホハヨク見エ＃
マセン。向フノ汽車カラコチラノ汽車ヲ見＃
テモ、同ジコトデセウ。＃
ソノウチニ下ノ方デカミナリノヤウナ音＃
ガシマシタ。文太郎ハフシギニ思ツテ外ヲ＃
見ルト、汽車ハハシノ上ヲ通ツテヰマシタ。」＃
＜Ｐ－０４４＞
汽車ハ急ニマツクラナ所ヘハイリマシタ。＃
文太郎ハビツクリシテ、父ニキヽマスト、＃
「コレハトンネルトイツテ、山ヲホリヌイ＃
タ所デス。」＃
トイヒマシタ。＃
トンネルヲ出ルト、マタ明ルクナツテ、ヒロ＃
イ海ガ見エマス。文太郎ハヨロコンデ、「海ダ、＃
海ダ。」トイツテヰルウチニ、又暗クナツテ、何＃
＜Ｐ－０４５＞
モ見エマセン。ケレドモコンドハミジカイ＃
トンネルデ、スグニ通リヌケマシタ。＃
左ヲ見テモ、右ヲ見テモ、ケシキガカハルノ＃
デ、文太郎ハオモシロクテタマリマセン。＃
汽車ガ文太郎ノ行ク町ヘツイタ時、文太郎＃
ハモツトノツテヰタイト思ヒマシタ。　　＃
第十六　　かみなり　　＃
ある日友吉と音次郎の二人がよそからか＃
＜Ｐ－０４６＞
へつて來る道で、にはかに雲が出て、かみな＃
りが鳴り出しました。はじめのうちは遠く＃
の方にきこえてゐましたが、だん〳〵近く＃
なつて、雨もつよくふつてきました。＃
音次郎はおどろいて、道ばたの高い木の下＃
へにげこみました。友吉は＃
「早くこつちへ來たまへ。かみなりの鳴る＃
時には、そんな所にゐてはあぶない。」＃
＜Ｐ－０４７＞
といつて、そこをのかせようとしましたが、＃
音次郎はなか〳〵きゝません。友吉は＃
「かみなりは高いもののある所へおちる＃
のだ。この間先生がおつしやつたではな＃
いか。」＃
といつて、むりに手をひつぱつてつれ出し＃
ました。＃
音次郎が木の下を出ると、間もなく目がく＃
＜Ｐ－０４８＞
らむやうないなびかりがして、耳がさける＃
やうなおそろしいかみなりが鳴りました。」＃
二人は思はず耳に手をあてて、そこにたふ＃
れました。しばらくたつて、顔を上げて、その＃
あたりを見まはすと、かみなりがおちて、そ＃
の高い木がまつ二つにさけてゐました。＃
音次郎は友吉のかたに手をかけて、＃
「あゝあぶなかつた。もし君が居なかつた＃
＜Ｐ－０４９＞
ら、僕は死んでしまつたのだらう。」＃
といひました。　　＃
第十七　　瓜　　＃
キ瓜・マクハ瓜・白瓜・夕顔・西瓜・トウ瓜・カボチ＃
ヤ・ヘチマナドヲ瓜トイフ。マヅ形カライヘ＃
バ、キ瓜・白瓜・ヘチマハ細長ク、トウ瓜ハ太ク、＃
カボチヤハ平タイ。マクハ瓜ヤ夕顔ヤ西瓜＃
ニハ、マルイ形ノモ、長イ形ノモアル。キ瓜ニ＃
＜Ｐ－０５０＞
ハカハニ小サイトゲガアリ、カ＃
ボチヤニハデコボコガアル。ソ＃
ノ他ノ瓜ハ大テイナメラカデ＃
アル。＃
カボチヤハ中ガ黄色デ、西瓜ハ＃
中ガ赤イ。西瓜ノ種ハ大テイ黒＃
イガ、ソノ他ノ瓜ノハ白イノガ＃
多イ。＃
＜Ｐ－０５１＞
西瓜ハ中ヲタベテ外ヲノコシ、＃
ソノ他ノ瓜ハ外ヲタベテ中ヲ＃
ノコス。ナマデソノマヽタベル＃
ノハ、マクハ瓜ト西瓜デ、ニナケ＃
レバタベラレナイノハ、カボチ＃
ヤトトウ瓜ト夕顔デアル。キ瓜＃
ヤ白瓜ハ生デ瓜モミニシテモ、＃
ツケ物ニシテモタベ、又ニテモ＃
＜Ｐ－０５２＞
タベル。ヘチマハワカイウチハタベラレル＃
ガ、實ガイルトタベラレナイ。＃
瓜ノ葉ハ廣クテ、トゲノハエテヰルノガア＃
ル。花ハ夕顔ダケガ白クテ、ソノ他ハ皆黄色＃
デアル。＃
　瓜ノツルニハナスビハナラヌ。　　＃
第十八　　カウモリ　　＃
昔鳥ノ仲間トケモノノ仲間ガケンクワヲ＃
＜Ｐ－０５３＞
シタ時、カウモリハ＃
「私ハ鳥デモケモノデモナイカラ。」＃
トイツテ、ドチラヘモツキマセンデシタ。ソ＃
ノ中ニケモノガ勝チサウニナツタノヲ見＃
テ、ニハカニ＃
「私ハカラダガネズミニニテヰルカラ、ケ＃
モノノ仲間ダ。」＃
トイツテ、ケモノノミカタニナリマシタ。＃
＜Ｐ－０５４＞
シバラクタツト、ケモノガ負ケ＃
サウニナツタノデ、コンドハ＃
「私ハ羽ガアルカラ、鳥ノ仲間＃
ダ。」＃
トイツテ、鳥ノ方ニツキマシタ。」＃
イツマデタツテモ勝負ガツカ＃
ナイカラ、兩方ガ仲ナホリヲシマシタ。ソノ＃
時カウモリガケモノノ方ヘ行キマスト、＃
＜Ｐ－０５５＞
「オ前ハ鳥デハナイカ。」＃
トイツテ、仲間ヘ入レマセン。又鳥ノ方ヘ行＃
キマスト、＃
「オ前ハケモノダラウ。」＃
トイツテ、アヒテニシテクレマセン。シカタ＃
ナシニ、ヒルノ間ハ木ノウロヤ穴ノ中ニカ＃
クレテヰテ、夜ニナルト出テ空ヲトビアル＃
クヤウニナツタトイフハナシデス。　　＃
＜Ｐ－０５６＞
第十九　　炭ト油　　＃
人ハ火デ物ヲヤイタリ、ニタリシテタベマ＃
ス。又サムイ時ニハ火ニアタリマス。夜ニナ＃
レバ火ヲトボシマス。火ヲ使フコトノ出來＃
ルノハ人バカリデス。鳥ヤケモノハ火ヲ使＃
フコトヲ知リマセン。＃
大昔ハ木ト木ヲコスツテ火ヲ出シマシタ＃
ガ、ソレカラ後ニハ石ト金ヲウチ合セテ出＃
＜Ｐ－０５７＞
スヤウニナリマシタ。近ゴ＃
ロハ又マツチトイフベン＃
リナ物ガ出來テ、火打石ヤ＃
火打金ヲ使フ人ハメツタ＃
ニアリマセン。＃
火バチナドニ入レル炭ハ、＃
木ヲヤイテコシラヘタモ＃
ノデス。ソレユヱ木炭トイヒマ＃
＜Ｐ－０５８＞
ス。ソノホカニ石炭トイフモノガアリマス。＃
コレハ大昔ハエテヰタ木ガ土ノ中ニウマ＃
ツテ、シゼント出來タ物デ、石ノヤウニカタ＃
クナツテヰマスカラ、石炭トイヒマス。石炭＃
ノ火ノ力ハ木炭ヨリモズツトツヨイノデ、＃
汽車ヤ汽船ヤソノ他ノキカイナドヲウゴ＃
カスノニハ、皆コレヲ使ヒマス。＃
油ニモ色々アリマス。魚カラトツタモノモ＃
＜Ｐ－０５９＞
アリ、ケモノカラトツタモノモアリ、シヨク＃
ブツカラトツタノモアリマス。アンドンニ＃
トボスノハ大テイナタ＃
ネカラトツタ種油デス。」＃
ランプニトボスノハ石＃
油トイヒマス。コレハ地＃
ノ中カラシゼントワキ＃
出ルモノデ、ワキ出タマ＃
＜Ｐ－０６０＞
マノハニゴツテヰマスガ、シアゲルト、スキ＃
トホツタ油ニナルノデス。ランプニ石油ヲ＃
トボスヤウニナツテカラ、アンドンハダン＃
ダンニスタレテ來マシタ。＃
昔ノ人ハ石炭ノコトヲモエル土、石油ノコ＃
トヲモエル水トイヒマシタ。　　＃
第二十　　蟲のこゑ　　＃
あれ、松蟲が鳴いてゐる。　　＃
＜Ｐ－０６１＞
ちんちろ〳〵　　＃
ちんちろりん。　　＃
あれ、鈴蟲も鳴き出した。　　＃
りん〳〵〳〵〳〵　　＃
りいんりん。　　＃
あきの夜長を鳴き通す、　　＃
あゝ、おもしろい蟲のこゑ。」　　＃
きり〳〵〳〵〳〵　　＃
＜Ｐ－０６２＞
きりぎりす、　　＃
がちや〳〵〳〵〳〵　　＃
くつわ蟲、　　＃
あとから馬おひおひついて、　　＃
ちよん〳〵〳〵〳〵　　＃
すいつちよん。　　＃
秋の夜長を鳴き通す、　　＃
あゝ、おもしろい蟲のこゑ。」　　＃
＜Ｐ－０６３＞
第二十一　　はがき　　＃
「ねえさんの所からお手紙が來てゐます。＃
讀んでごらんなさい。」＃
と、母は手紙をおちよにわたしました。おち＃
よは取上げて讀んで見ると、＃
あさつては八まんさまのおまつり＃
ですから、朝早くからあそびにいら＃
つしやい。おはなさんもつれて一し＃
＜Ｐ－０６４＞
よにお出でなさい。＃
九月十三日　　　　あねより　　＃
おちよさま　　＃
と書いてあります。おちよはよろこんで、母＃
にはなしますと、母は＃
「あさつては學校がお休ですから、二人と＃
も行つてお出でなさい。それから今すぐ＃
にへんじを書いてお出しなさい。」＃
＜Ｐ－０６５＞
おちよ「それでも私はまだ手紙の書き方を習＃
ひませんから、どう書いてよいかわかり＃
ません。」＃
母「お話をする通りに書けばよいのです。さ＃
あ、こゝに葉書があります。」＃
おちよはしばらく考へて、葉書の裏へ次の＃
やうに書きました。　　＃
お手紙をいたゞいて、まことにうれ＃
＜Ｐ－０６６＞
しうございます。あさつてはおはな＃
さんと一しよにきつとまゐります。　　＃
それを母に見せますと、母は＃
「よく出來ました。これでよくわかります。＃
そのおしまひのあいてゐる所へ、『おかあ＃
さんからもよろしく。』と書きたして下さ＃
い。それから表の方へあて名を書いてお＃
出しなさい。」＃
＜Ｐ－０６７＞
といひました。　　＃
第二十二　　マツリ　　＃
大キナ字ヲ書イタ大キナノボリガ立テテ＃
アル。イサマシイタイコノ音ガ森ノ中カラ＃
キコエテクル。道ノ兩ガハニハ、アメヤ・オモ＃
チヤヤ・クダモノヤ・クワシヤナドガ店ヲナ＃
ラベテヰル。子ドモハフダンヨリハ美シイ＃
着物ヲ着テアソンデヰル。＃
＜Ｐ－０６８＞
オチヨトオハナハアネ＃
ニツレラレテ、オ宮ニサ＃
ンケイシタ。大キナ鳥居＃
ノ下ヲ通ツテ、石ダンノ＃
道ヲ上ツテ、モウ一ツ小＃
サナ鳥居ヲクヾルト、オ＃
宮ガアル。オ宮ノ正面ニ＃
大キナ鈴ガ下ツテヰル。サンケ＃
＜Ｐ－０６９＞
イスル人ハ皆カハル〴〵コレヲ鳴ラシテ＃
ヲガム。オチヨモオハナモ鈴ヲ鳴ラシテヲ＃
ガンダ。＃
オ宮ニハヱマガタクサンカケテアル。古イ＃
ノモ新シイノモアル。ヨシツネ・ベンケイノ＃
ヱモアリ、ニタンノ四郎ノヱモアル。又日本＃
ヘイガロシヤヘイトタヽカツテヰルヱモ＃
アル。＃
＜Ｐ－０７０＞
オ宮ノ裏デハ今スマフガハジマツテヰル。＃
勝負ガ一番スムト、ワアツトホメルコヱガ＃
キコエル。見セ物ゴヤデ客ヲヨブコヱヤラ、＃
フエ・タイコデハヤシタテル音ヤラ、ニギヤ＃
カナコトデアル。晩ニナルト、花火ガ上ルト＃
イフ話デアル。　　＃
第二十三　　鹿ノ水カヾミ　　＃
鹿ガ水ヲノマウト思ツテ、谷川ノ中ヘハイ＃
＜Ｐ－０７１＞
リマシタ。フト水ニウツツタジブンノスガ＃
タヲ見テ、アタマカラ足マデツク〴〵トナ＃
ガメテ、ヒトリゴトヲハジメマシタ。＃
「ジブンノ角ハジツニリツパナ物ダ。牛ノ＃
角トハチガツテ枝ガアル。毎年春ニナル＃
トオチルガ、オチルトスグ又新シイノガ＃
ハエテ、ソノタビニ枝ガ一ツヅツフエル。＃
角ノアルケモノモタクサン知ツテヰル＃
＜Ｐ－０７２＞
ガ、コンナリツ＃
パナ角ヲモツ＃
テヰルモノハ＃
ナイヤウダ。ケ＃
レドモコノ足＃
ハ細クテ、イカニモ弱サウニ見エル。出來＃
ルコトナラ、モツト太クテ強イ足ガホシ＃
イモノダ。」＃
＜Ｐ－０７３＞
ソノ時後ノ方カラカリウドノ來ル音ガシ＃
タノデ、オドロイテカケ出シマシタ。タクマ＃
シイ大キナカリ犬ガ四五匹デオツカケテ＃
來マス。鹿ハ輕イ足デズン〳〵ニゲテ、林ノ＃
中ヘカケコミマシタ。カハイサウニ美シイ＃
角ガ木ノ枝ニヒツカヽツテ、イクラモガイ＃
テモハヅレマセン。トウ〳〵犬ニ追ヒツメ＃
ラレマシタ。　　＃
＜Ｐ－０７４＞
第二十四　　ひよどりごえの＃
さかおとし　（一）　　＃
へいけのぐんぜいがふくはらのしろを守＃
つてゐる。東生田の門から西一の谷の門ま＃
での間、北は山のふもとから南は海の波打＃
ぎはまで、人や馬でふさがつてゐる。又海に＃
は一面にいくさ船がならんでゐて、海とを＃
かとにおし立てた何千本の赤はたは、まる＃
＜Ｐ－０７５＞
で火のもえたつたやうに見える。＃
げんじは二手に分れて、のりよりのぐんぜ＃
いは東の門へ向ひ、よしつねのぐんぜいは＃
西の門へ向つた。しかしよしつねは「表から＃
攻めおとすことはむづかしい。何でも裏か＃
らまはつて、てきのふいをうたなければな＃
らぬ。」と考へて、強いものばかり三千人をす＃
ぐつて、こつそりと裏道からひよどりごえ＃
＜Ｐ－０７６＞
に向つた。この中にはべんけいも居つた。ひ＃
よどりごえはしろの北の方にあつて、よつ＃
ぽどけはしい所である。ふだんは人も通ら＃
ない道だから、どこをどう行つてよいか分＃
らない。そのうちに日が暮れて、まつ暗にな＃
つてしまつた。＃
この時べんけいは火の明りをたよりにた＃
づねて行つて、一人のかりうどをつれて來＃
＜Ｐ－０７７＞
た。見ると丈の高い、たくましい男である。手＃
にはかりに使ふ弓矢を持つてゐる。「年はい＃
くつか。」と問へば、「十七。」と答へた。よしつねは＃
よろこんで、刀やよろひをやつてけらいに＃
した。　　＃
第二十五　　ひよどりごえの＃
さかおとし　（二）　　＃
よしつねはまづたづねた。＃
＜Ｐ－０７８＞
「こゝからしろの方へ下りることが出來＃
るか。」＃
「とても出來ません。しろの後はけはしい＃
阪で、馬の通れる所ではございません。」＃
「鹿はどうだ。」＃
「鹿はをり〳〵通ります。」＃
よしつねはこれを聞くと、＃
「鹿も四つ足なら馬も四つ足、たゞつめが＃
＜Ｐ－０７９＞
われてゐ＃
るとゐな＃
いだけの＃
ちがひだ。＃
鹿の通れる所＃
を馬の通れないと＃
いふことがあるものか。＃
さあ、あんないをせよ。」＃
＜Ｐ－０８０＞
と言ひつけて、夜のうちにがけの上まで出＃
た。まもなく夜が明けた。見下せば、しろは何＃
十丈あるか知れないがけの下にある。東西＃
の二門は今いくさのまつさい中である。＃
へいけ方はがけの上から、てきの軍ぜいが＃
攻めこまうとはゆめにも思はない。よしつ＃
ねはこゝぞと思つて、「進め〳〵。」とさしづを＃
したが、馬もこはがつてすくんでしまひ、人＃
＜Ｐ－０８１＞
も顔を見合せて進まうとはしない。＃
この時よしつねは、＃
「われを手本にせよ。」＃
といひながら、馬に一むちあててかけ下り＃
た。これを見た三千人の軍ぜいは、どつと一＃
時にかけ下りて、城の中へ攻めこんだ。へい＃
けはふいを打たれて、どうすることも出來＃
ない。三方から攻立てられて、さん〴〵にう＃
＜Ｐ－０８２＞
ちやぶられた。　　＃
をはり　　＃
