＜出典＞５２１　　　国定読本　５期２－１
＜Ｐ－００２＞
　もくろく　＃
一　　春………四　＃
二　　らくかさん………七　＃
三　　國引き………十二　＃
四　　二重橋………十六　＃
五　　鯉のぼり………十八　＃
六　　牛わか丸………十九　＃
七　　ささ舟………二十三　＃
八　　蛙………二十七　＃
九　　軍かん………三十一　＃
十　　お話………三十七　＃
十一　　むしば………三十九　＃
十二　　ねずみの　ちゑ………四十二　＃
＜Ｐ－００３＞
十三　　川………四十四　＃
十四　　一寸ぼふし………五十一　＃
十五　　つゆ………五十六　＃
十六　　金魚………五十九　＃
十七　　花火………六十四　＃
十八　　お祭………六十六　＃
十九　　きりぎりす………六十九　＃
二十　　海………七十四　＃
二十一　　子馬………七十九　＃
二十二　　うさぎと　たぬき………八十一　＃
二十三　　自動車………八十七　＃
二十四　　長い　道………九十二　＃
二十五　　日曜日の　朝………九十四　＃
二十六　　うらしま太郎………九十七　＃
＜Ｐ－００４＞
　一　　春　＃
　二年生　＃
うれしい、うれしい、　　＃
二年生、　＃
春　だ、春　だと、　　＃
小鳥が　うたふ。　　＃
うれしい、うれしい、　　＃
＜Ｐ－００５＞
二年生、　＃
さくら、さくら　だ、　　＃
野山は　花　だ。　　＃
　花まつり　＃
すみれ、たんぽぽ、れんげ草、　　＃
花の　おやねが　美しい。　　＃
あま茶の　中から　ひょっこりと、　　＃
＜Ｐ－００６＞
お出に　なったか、おしゃかさま。　　＃
天上　天下を　ゆびさして、　　＃
お立ちに　なって　いらっしゃる。　　＃
小さな　ひしゃくで　お茶　くんで、　　＃
かけて　あげましょ、おしゃかさま。　　＃
てふも　小鳥も　たのしさう、　　＃
＜Ｐ－００７＞
今日は　あなたの　花まつり。　　＃
　二　　らくかさん　＃
勇さんと　正男さんが、かみで　らくかさんを　こしら＃
へました。＃
＜Ｐ－００８＞
「さあ、野原へ　行って　とばさう。」＃
二人は、それを　持って　出かけました。＃
勇さんが、らくかさんを　たたんで、いとを　くるくる　＃
まいて、それを　空へ　向かって　力いっぱい　なげました。＃
すると、開かないで　そのまま　落ちて　來ました。＃
「おもりが　かるいの　だね。」＃
と、勇さんが　いひました。＃
「こんどは、ぼくのを　とばすよ。」＃
と　いって、正男さんが、同じやうに　空へ　なげました。＃
＜Ｐ－００９＞
開くには　開きましたが、すぐに　落ちて　來ました。＃
「これは　重すぎる。」＃
と、正男さんが　いひました。＃
二人は、よささうな　石を　あちこちと　さがしました。＃
そこへ、春枝さんが、犬を　つれて　あそびに　來ました。＃
「何を　さがして　いらっしゃるの。」＃
「らくかさんに　つける　石を、さがして　ゐるの　です。」＃
と、勇さんが　いひました。＃
「ぢゃ、これは　どう　でせう。」＃
＜Ｐ－０１０＞
と　いって、春枝さんは　ガラス玉を　二つ　見せました。＃
「これなら、ちゃうど　いいかも　しれない。」＃
それを　おもりに　つけかへてから、勇さんが　あげて　＃
みました。すると、らくかさんは　ぱっと　開いて、ふは＃
り　ふはりと　落ちて　來ました。＃
「うまい、うまい。」＃
こんどは、二人で　いっしょに　あげました。＃
「一、二の、三。」で、たかく　あげると、どちらも　ぱっと　＃
開きました。＃
＜Ｐ－０１１＞
ちゃうど　その時、南の　方から　＃
風が　吹いて　來て、らくかさん＃
が　吹きあげられました。さう＃
して、どんどん　北の　方へ　と＃
ばされて　行きました。勇さん＃
＜Ｐ－０１２＞
も　正男さんも、その　あとを　おって　行きました。＃
「やあ、らくかさんぶたい　だ。すすめ、すすめ。」＃
と、てんでに　大きな　こゑで　いふと、犬も　わんわんと　＃
ほえて、まっさきに　走って　行きました。＃
「ぐんよう犬も　とつげき　です。」＃
と　いって、春枝さんも　ついて　行きました。＃
らくかさんは、草の　中へ　しづかに　落ちました。　　＃
　三　　國引き　＃
＜Ｐ－０１３＞
大昔の　こと　です。＃
神さまが、國を　廣くしたいと　お考へに　なりました。＃
神さまは、海の　上を　お見わたしに　なりました。東＃
の　方の　とほい、とほい　ところに、あまった　土地の　あ＃
るのが　見えました。＃
神さまは、その　土地に　太い　つなを　かけて、ありっ＃
たけの　力を　出して、お引きに　なりました。＃
「こっちへ　來い、えんやらや。＃
こっちへ　來い、えんやらや。」＃
＜Ｐ－０１４＞
かけごゑ　勇ましく　お引きに　なり＃
ました。その　土地が　動きだして、＃
大きな　舟のやうに、ぐんぐんと　こっ＃
ちへ　やって　來ました。＃
神さまは、その　土地を　つぎあは＃
して、國を　廣く　なさいました。＃
神さまは、また　海の　上を　お見わ＃
たしに　なりました。＃
こんどは、西の　方の　とほい、とほ＃
＜Ｐ－０１５＞
い　ところに、あまった　土地の　ある＃
のが　見えました。＃
神さまは、それに　つなを　かけて、＃
「こっちへ　來い、えんやらや。＃
こっちへ　來い、えんやらや。」＃
と、力いっぱい　お引きに　なりました。これも　大きな　＃
舟のやうに　動いて、こっちへ　やって　來ました。＃
神さまは、かうして　國を　廣く　なさったと　いふこと　＃
です。　　＃
＜Ｐ－０１６＞
　四　　二重橋　＃
目の　前に　をがむ　二重橋、＃
けだかい、美しい　二重橋。＃
おほりの　水は　しづかに　明かるく、＃
白い　やぐらは　くっきりと　そびえ、＃
しげった　松の　間に、＃
＜Ｐ－０１７＞
おやねが　かうがうしく　見えます。＃
さくさくと　小じゃりを　ふんで、＃
女學校の　せいとさんが　來ました。＃
きちんと　並んで、さいけいれいを　して、＃
こゑを　そろへて　「君が代」を　歌ひました。＃
私たちも、いっしょに　歌ひました。　　＃
＜Ｐ－０１８＞
　五　　鯉のぼり　＃
ゆうべの　雨が　はれて、日が　＃
氣持よく　てって　ゐます。＃
さをの　先の　矢車が　からか＃
らと　なると、鯉が、大きな　口で　＃
思ふぞんぶん　風を　のんで、や＃
ねよりも　たかく　尾を　あげます。＃
尾を　おろして　來て　さをに　＃
＜Ｐ－０１９＞
つけるかと　思ふと、また　はら＃
を　ふくらまして　をどりあがり＃
ます。＃
そのたびに、鯉の　かげが　地の　＃
上を　およぎます。　　＃
　六　　牛わか丸　＃
月の　よい　ばん　でした。＃
牛わか丸が、ふえを　吹きながら　あるいて　ゐました。＃
＜Ｐ－０２０＞
五でうの　橋に　來ますと、＃
「待て。」＃
と　いふ　ものが　あります。＃
見ると、大きな　なぎなたを　持った　大男が　立って　ゐ＃
ます。＃
牛わか丸は、＃
「だれ　だ。何の　用か。」＃
と　いひました。＃
「べんけい　だ。その　刀が　もらひたい。よい　刀を　＃
＜Ｐ－０２１＞
千本　あつめる　つも＃
りで、九百九十九本＃
は　取った。もう　一＃
本で　千本　だ。さあ、＃
刀を　出せ。」＃
牛わか丸は　びくと＃
も　しません。＃
「刀が　ほしいか。ほし＃
ければ　取って　みよ。」＃
＜Ｐ－０２２＞
と　いひました。＃
べんけいは、なぎなたを　ふりまはして　切って　かか＃
りました。＃
牛わか丸は、ひらりと　らんかんの　上へ　とびあがり＃
ました。＃
べんけいが　上を　切ると、牛わか丸は　下へ　とびお＃
ります。右を　切ると　左へ　とびのき、左を　切ると　右＃
へ　とびのきます。べんけいは、へとへとに　つかれて　＃
しまひました。＃
＜Ｐ－０２３＞
その時、牛わか丸は、あふぎで　べんけいの　うでを　＃
たたきました。べんけいは、大きな　なぎなたを　がら＃
りと　落しました。＃
べんけいは　かうさんして、牛わか丸の　けらいに　な＃
りました。　　＃
　七　　ささ舟　＃
春の　日が、あたたかく　野原の　草を　てらして　ゐま＃
す。小川の　水が、たのしさうに　流れて　行きます。小＃
＜Ｐ－０２４＞
鳥が、木の　上で　歌を　歌って　ゐます。＃
太郎さんは、ねえさんや　弟た＃
ちと、ささの　葉を　取って、ささ＃
舟を　作りました。＃
「みんなで、ささ舟の　きゃうさ＃
うを　させよう。ねえさんは、＃
あの　橋の　上で　しんばんを　＃
して　ください。」＃
と、太郎さんが　いひました。＃
＜Ｐ－０２５＞
次郎さんも　三郎さんも　よ＃
ろこんで、めいめいの　ささ舟を　＃
持って、小川の　岸に　並びました。＃
みよ子さんは、ささの　小枝を　＃
持って、橋の　上に　立ちました。＃
「ようい、どん。」＃
三人は、いっしょに　舟を　出し＃
ました。舟は、すべるやうに　流＃
れて　行きます。＃
＜Ｐ－０２６＞
三人は、舟と　並んで　川の　ふちを　走って　行きます。＃
草の　葉に　止って　ゐた　てふてふが、おどろいて　とび＃
立ちました。＃
てふてふが、三郎さんの　舟に　止りました。＃
舟は、だんだん　橋へ　近づきます。＃
「ほうら、もう　ぢき　だ。」＃
と、三郎さんが　いひました。＃
みよ子さんは、さっと　ささの　小枝を　ふりあげて、＃
「三郎さん、一ちゃく。」＃
＜Ｐ－０２７＞
と　いひました。＃
「三郎さん、ばんざい。」＃
と、太郎さんと　次郎さんが　いひました。＃
「三郎さんの　舟には、てふてふの　せんどうさんが　のっ＃
たから、かったの　でせう。」＃
と、みよ子さんが　いひました。　　＃
　八　　蛙　＃
蛙の　子どもが、川ばたで　遊んで　ゐました。＃
＜Ｐ－０２８＞
そこへ　牛が　來て、水を　のみました。子蛙は、びっく＃
りして　うちへ　かへりました。＃
おとうさん蛙と　おかあさん＃
蛙に、＃
「大きな、大きな　ばけものが、＃
水を　のみに　來ましたよ。」＃
と　いひました。＃
きんじょに　ゐた　大蛙が、それを　聞いて、＃
「その　大きな　ばけものは、わたしくらゐも　あったか＃
＜Ｐ－０２９＞
ね。」＃
と　いひました。＃
子蛙は、＃
「どうして　どうして、今まで　見た　ことも　ないほど　＃
大きいの　です。」＃
と　答へました。＃
大きなのが　じまんの　大蛙は、うんと　いきを　吸ひ＃
こんで、おなかを　ふくらましました。＃
「そんなら、このくらゐも　あったかね。」＃
＜Ｐ－０３０＞
「とても、そんな　ものでは　ありません。」＃
「では、このくらゐかね。」＃
と　いって、大蛙は　いっそう　ふく＃
らましました。＃
子蛙は、＃
「をぢさん、およしなさい。どん＃
なに　おなかを　ふくらまして＃
も、かなひませんよ。」＃
と　いひました。＃
＜Ｐ－０３１＞
しかし、大蛙は、こんどこそと、力いっぱい　いきを　吸＃
ひこみました。おなかは、まるで　ふうせん玉のやうに　＃
ふくれました。＃
すると、「ぽん。」と　大きな　音が　して、大蛙の　おなか＃
が　やぶれて　しまひました。　　＃
　九　　軍かん　＃
春雄さんは、軍かんが　大すき　です。まだ、ほんたう＃
の　軍かんを　見た　ことは　ありませんが、をぢさんに　＃
＜Ｐ－０３２＞
もらった　ゑ　を　見たり、をぢさんの　お話を　聞いたり＃
して、軍かんの　ことは　よく　知って　ゐます。をぢさ＃
んは　海軍の　軍人さん　です。＃
春雄さんは、せんかんや、じゅんやうかんや、くちくか＃
んや、せんすゐかんなどの　ことを　よく　知って　ゐます。＃
春雄さんに　せんかんの　ことを　聞くと、かう　答へ＃
ます。＃
「せんかんは、一ばん　大きくて、一ばん　がっしりした　＃
軍かん　です。まるで、海に　うかんだ　お城のやう　＃
＜Ｐ－０３３＞
です。大きな　大砲が　いくつも　＃
あって、てきの　軍かんを　どし＃
どし　うちます。ぼくは、せんか＃
んが　大すき　です。」＃
かう　いった　あとで、きっと、＃
「でも、じゅんやうかんは　ゆくゎ＃
いな　軍かん　ですよ、せんかん＃
よりも　ずっと　早く　走れて、形＃
が　すっきりして　ゐて。ぼくは、＃
＜Ｐ－０３４＞
あれに　のって、せかい中の　海＃
を　のりまはして　みたい。」＃
と　いひます。＃
「一ばん　早いのは、じゅんやう＃
かん　ですか。」＃
と　たづねますと、＃
「いいえ、それは　くちくかん　＃
です。小さくて、かるくて、ぐ＃
んぐん　走ります。小さい　くせ＃
＜Ｐ－０３５＞
に　ぎょらいで、大きな　軍かんを　やっつけます。」＃
と　答へます。＃
「もっと　かはったの＃
は　ありませんか。」＃
と　聞きますと、＃
「それは、せんすゐ＃
かんと　かうくう＃
ぼかん　です。せ＃
んすゐかんは、魚＃
＜Ｐ－０３６＞
のやうに　海の　中へ　もぐ＃
ります。かうくうぼかんは、＃
廣い　かんぱんから、ひかう＃
きを　いくつも　いくつも　＃
とばしま＃
す。」＃
と　答へます。＃
春雄さん＃
は、をぢさん＃
＜Ｐ－０３７＞
のやうに、海軍の　軍人さんに　なると　いって　ゐます。　　＃
　十　　お話　＃
水兵さんは　旗　持って、　　＃
ぱたぱた　ぱたぱた、　　＃
お話します。　　＃
＜Ｐ－０３８＞
かうくうぼかんは　でんとうで、　　＃
ぴかぴか　ぴかぴか、　　＃
お話します。　　＃
でんしんたいの　兵たいさんは、　　＃
かちかち　かちかち、　　＃
お話します。　　＃
うちの　赤ちゃん　大ごゑで、　　＃
＜Ｐ－０３９＞
ああ　ああ、ああ　ああ、　　＃
お話します。　　＃
　十一　　むしば　＃
花子さんは、は　が　痛いので、ひとばん中　苦しみま＃
した。朝に　なっても、まだ　痛いのが　なほりません。＃
花子さんは、おかあさんと　いっしょに、は　の　おいしゃ＃
さまへ　行きました。＃
おいしゃさまは、すぐ　見て　くださいました。＃
＜Ｐ－０４０＞
「やあ、二本　並んで　むしばが　できて　ゐる。おくゎし＃
を　たべすぎましたね。」＃
と　いって、くすりで　洗ったり、＃
くすりを　つけたりして　くだ＃
さいました。＃
花子さんは、痛いのが　少し　＃
なほったやうに　思ひました。＃
おいしゃさまは、おかあさん＃
に、＃
＜Ｐ－０４１＞
「この、前の　方の　むしばは、生えかはる　は　ですが、＃
おくの　方のは、一生　使ふ　だいじな　は　です。それ＃
が、かう　むしばに　なっては　いけませんね。」＃
と　おっしゃいました。＃
それから、＃
「花子さん、あなたは　は　を　みがきますか。」＃
と　お聞きに　なりました。＃
「毎朝　みがきます。」＃
と、花子さんは　答へました。おいしゃさまは、＃
＜Ｐ－０４２＞
「夜　ねる　前にも、みがくと　いいの　ですがね。さう＃
すると、こんなに　は　が　わるく　ならない　でせう。」＃
と　おっしゃいました。＃
おかあさんと　いっしょに、おいしゃさまの　おうちを　＃
出た　時、花子さんは、もう　は　の　痛みを　忘れて　にこ＃
にこして　ゐました。　　＃
　十二　　ねずみの　ちゑ　＃
「このごろ、なかまの　ものが、ねこに　取られて　こま＃
＜Ｐ－０４３＞
る。なんとか　して　取られない　＃
くふうは　あるまいか。」＃
と、年よりの　ねずみが、なかまの　＃
ものに　いひました。＃
一ぴきの　若い　ねずみが、前へ　＃
出て　いひました。＃
「大きな　すずを　ねこの　首に　つ＃
けて、その　音が　聞えたら、逃＃
げる　ことに　しようでは　あり＃
＜Ｐ－０４４＞
ませんか。」＃
「なるほど、よい　くふう　だ。」＃
と　いって、みんなは　かんしんしました。＃
年よりの　ねずみが　いひました。＃
「それも　よいが、だれが、その　すずを　つけに　行くの＃
かね。」＃
みんなは　だまって　しまひました。　　＃
　十三　　川　＃
＜Ｐ－０４５＞
正男さんの　家の　前に、川が　あります。いつも、き＃
れいな　水が　流れて　ゐます。正男＃
さんは、この　川で　池を　作ったり、魚＃
を　すくったりして　遊びます。＃
正男さんは、このごろ、「いったい、＃
この　川の　水は　どこから　來て、どこ＃
へ　行くの　だらう。これほど　たくさ＃
んの　水が　流れて、それで　よく　な＃
くならない　もの　だ。」と　考へるやう＃
＜Ｐ－０４６＞
に　なりました。＃
ある日、にいさんに　この　ことを　聞いて　みました。＃
にいさんは、＃
「川は、遠い　山から　流れて　來て、海へ　行くん　だ。」＃
と　いひました。＃
「どうして、水は　なくならないの　でせう。」＃
「ときどき、雨が　ふるからさ。」＃
「そんなら、海は　水で　いっぱいに　なって、こぼれませ＃
んか。」＃
＜Ｐ－０４７＞
「海は　廣いよ。こんな　川が　何百　流れこんでも、へい＃
き　だ。」＃
と　いって、にいさんは　笑ひました。＃
正男さんは、まだ　よく　わかりま＃
せん。それで、おとうさんに　同じ　＃
ことを　聞きました。＃
「それは、にいさんの　いふ　とほり　＃
だよ。この　川を　ずっと　のぼって　＃
行くと、山と　山が　近よって、せま＃
＜Ｐ－０４８＞
い　谷に　なる。その　谷の　おくか＃
ら、流れて　來るの　だが、そのへ＃
んでは、小さな　谷川　だ。また　＃
この　川を　だんだん　くだって　＃
行くと、大川になって、おしまひ＃
には、廣い、廣い　海へ　出る。おま＃
へも、いまに　その　山や　海へ　行っ＃
て　みると、よく　わかる　だらう。」＃
と　おっしゃいました。＃
＜Ｐ－０４９＞
正男さんは、少し　わかったやう＃
に　思ひました。けれども、考へ＃
て　みると、水が　いつも　流れて　なくならないのが　ふ＃
しぎ　でした。＃
こんどは、その　ことを　おぢいさんに　聞いて　みま＃
した。＃
「ほう、よい　ところへ　氣が　つきました。山には　木＃
が　あるね、草も　あるね。雨が　ふると、水は、木の　＃
根や、草や、落葉の　間に　たまったり、地めんへ　しみ＃
＜Ｐ－０５０＞
こんだりして、少しづつ　山から　谷へ、谷から　川へ＃
と　つたはって　流れる。その　水が　まだ　なくならな＃
い　うちに、次の　雨が　ふる。それは、ちゃうど　おぢい＃
さんの　げんきな　間に、おとうさんが　生まれる、お＃
とうさんの　げんきな　間に、おまへたちが　生まれ＃
る、それで、この　うちが　つづいて　いくのと　同じ　こ＃
と　だ。」＃
と、おぢいさんは　おっしゃいました。　　＃
＜Ｐ－０５１＞
　十四　　一寸ぼふし　＃
　一　＃
一寸ぼふしは、都へ　行って、りっ＃
ぱな　さむらひに　ならうと　考へ＃
ました。＃
そこで、針の　刀を　こしに　さし＃
て、おわんの　舟に　のり、はしの　＃
かいで　こぎながら、川を　のぼって　＃
行きました。　　＃
＜Ｐ－０５２＞
　二　＃
都に　ついて、とのさまの　けら＃
いに　なりました。＃
ある日、おひめさまの　おともを　＃
して、たびに　出かけました。する＃
と、おにが　出て　來て、おひめさま＃
を　たべようと　しました。一寸ぼ＃
ふしは、針の　刀を　ぬいて、おに　＃
に　向かひました。　　＃
＜Ｐ－０５３＞
　三　＃
おには、一寸ぼふしを　つまんで、＃
一口に　のんで　しまひました。一＃
寸ぼふしは、おにの　おなかの　中＃
を、針の　刀で　ちくり　ちくりと　＃
つつきました。おには、＃
「痛い、痛い。」＃
と　いひました。　　＃
＜Ｐ－０５４＞
　四　＃
一寸ぼふしは、おにの　おなかの　＃
中から　のどへ　のぼり、鼻を　通っ＃
て　目へ　出て　來ました。目から　＃
地めんへ　とびおりました。＃
おには、おなかも、のども、鼻も、＃
目も　痛いので、あわてて　逃げだ＃
しました。その時、だいじな　う＃
ち出の　小づちを　おき忘れて　行＃
＜Ｐ－０５５＞
きました。　　＃
　五　＃
うち出の　小づちを　ふると、一＃
寸ぼふしは、せいが　だんだん　高＃
く　なりました。さうして、だれに＃
も　まけない、りっぱな　さむらひに　＃
なりました。　　＃
＜Ｐ－０５６＞
　十五　　つゆ　＃
つゆに　なって、毎日のやうに　雨＃
が　ふります。＃
二日も　三日も　ふりつづくと　げ＃
んきな　太郎さんも、「いや　だなあ。」＃
と　思ひます。でも、ときどき　雨が　＃
やんで、空が　明かるく　なり、かっと　強い　日が　さし＃
て　來ます。庭の　あぢさゐの　花が、ほんたうに　きれ＃
＜Ｐ－０５７＞
い　です。梅の　實が、黄色＃
く　なりました。＃
今、田うゑの　さい中　で＃
す。二十センチぐらゐに　＃
のびた　いねの　苗を、田に　＃
きちんと　うゑるの　です。＃
「つゆの　雨が　ふるので、＃
田うゑが　できるの　だ。」＃
おぢいさんが、よく　かう　＃
＜Ｐ－０５８＞
おっしゃいます。＃
小川の　水が　ふえて、音を　たてて　流れます。太郎＃
さんは、はれまに　小川で　どぢゃうを　すくひます。＃
「おぢいさん、つゆは　いつまで　つづくの　ですか。」＃
「七月の　はじめまで　だね。つゆが　あけると、からり＃
とした　夏が　來るよ。」＃
「夏」と　聞くと、太郎さんは、急に　うれしく　なりまし＃
た。せみが　なく、水遊びが　できる、それよりも、今年＃
は　海へ　つれて　行って　もらへる。海、海、早く　海へ　＃
＜Ｐ－０５９＞
行きたいと　思ひました。　　＃
　十六　　金魚　＃
　一　＃
ねえさんと　二人で、金魚＃
を　買ひに　行きました。店＃
には、大きな　水をけが　あっ＃
て、その　中に、金魚が　たく＃
さん　およいで　ゐました。＃
＜Ｐ－０６０＞
「正男さん、どれに　しませう。」＃
と、ねえさんが　いひますと、金魚やさんが、＃
「さ、これで　すきなのを、おすくひなさい。」＃
と　いって、小さな　あみを　かして　くれました。＃
ぼくは　それを　持って、じっと　金魚を　見ました。ど＃
れも　どれも、かはいくて　きれい　です。＃
「どうしたの。早く　おきめなさいよ。」＃
と、ねえさんが　いひました。＃
「どれに　しようか。みんな　きれい　だな。」＃
＜Ｐ－０６１＞
と、ぼくが　いったので、金魚やさんが　笑ひました。＃
赤いのを　三びき、赤白の　ぶちを　二ひき　すくって、＃
ガラスばちに　入れました。＃
「これを　少し　あげませう。」＃
金魚やさんは、も　を　ガラスばちの　中へ　入れて　くれ＃
ました。＃
みどりの　も　は、しづかに　開きました。＃
「ぼくが、持って　かへるよ。」＃
ガラスばちを、兩手に　しっかり　持って、ぼくは　そろそ＃
＜Ｐ－０６２＞
ろと　あるきだしました。　　＃
　二　＃
うちへ　かへると、おか＃
あさんが、＃
「きれいな　金魚　ですね。」＃
と　いって、だいを　持って　＃
來て　くださいました。＃
ぼくは、その　だいの　上＃
に、そっと　ガラスばちを　＃
＜Ｐ－０６３＞
のせました。＃
おとうさんが、＃
「これは　涼しさう　だ。」＃
と　おっしゃいました。＃
金魚は、やっと　おちついたと　いふやうに、しばらく　＃
じっとして　ゐましたが、そのうちに　およぎだしまし＃
た。も　の　間を　およぎぬけたり、上の　方へ　浮かんで　＃
行ったり、下の　方へ　ななめに　沈んだりしました。時＃
には、花びらのやうに　ひろがって　大きく　見えたり、＃
＜Ｐ－０６４＞
ほそ長く　なって　見えたりしました。＃
ねえさんが、＃
「正男さんは、金魚と　にらめっこを　して　ゐるのね。」＃
と　いって、笑ひました。　　＃
　十七　　花火　＃
＜Ｐ－０６５＞
どんと　なった。　　＃
花火　だ、　　＃
きれい　だ。　　＃
空いっぱいに　　＃
ひろがった。　　＃
しだれやなぎが　　＃
ひろがった。　　＃
どんと　なった。　　＃
＜Ｐ－０６６＞
何十、何百、　　＃
赤い　星、　　＃
一どに　かはって　　＃
青い　星、　　＃
も一ど　かはって　　＃
金の　星。　　＃
　十八　　お祭　＃
今夜は　天神さまの　お祭　です。私は、弟の　一郎と　＃
＜Ｐ－０６７＞
いっしょに、おかあさんに　ついて　おまゐりを　しに　行＃
きました。＃
町は　にぎやか　でした。ちゃうちんの　火が、きれい＃
に　並んで　ゐました。新しい　ゆかたを　きた　人が、お＃
ほぜい　歩いて　ゐました。＃
兩がはに　店が　つづいて、いろいろな　ものを　賣って　＃
ゐました。氷やと　金魚やが、涼しさう　でした。＃
お宮に　近く　なると、人が　いっぱい　でした。＃
おかあさんに　手を　引かれながら、おされるやうに　＃
＜Ｐ－０６８＞
して、はいでんの　前へ　出ました。＃
はいでんの　前には、美し＃
い　ちゃうちんが　ありまし＃
た。大きな　梅ばちの　もん＃
が　ついて　ゐました。＃
おかあさんも、私も、一郎＃
も、いっしょに　拜みました。＃
かへりに、私は　人形を　＃
買って　いただきました。＃
＜Ｐ－０６９＞
一郎は、おもちゃの　たいこが　ほしいと　いって、それ＃
を　買って　いただきました。＃
一郎は　大よろこび　でした。うちへ　かへると、すぐ　＃
たいこを　ならしました。おじぎを　したり、小さい　手＃
を　たたいたりしては、たいこを　ならしました。　　＃
　十九　　きりぎりす　＃
私は、さっきから、せいより　高く　のびた　草の　中に、＃
じっと　立って　ゐます。ときどき　吹いて　來る　風の　た＃
＜Ｐ－０７０＞
めに、草の　葉が　氣持よく　ゆれます。＃
「チョン　ギース。」＃
「ゐるぞ。」と　思ひながら、私は、そっと　こゑの　する　方＃
へ、二足　三足　進みました。もう、二メートルとは　は＃
なれて　ゐないやう　です。私は、草の　葉を　一枚　一枚　＃
かぞへるやうに、目で　さがしました。＃
「チョン　ギース。」＃
もう、つい　そこ　です。しかし、いくら　さがしても、そ＃
の　すがたが　見えません。＃
＜Ｐ－０７１＞
風が　さっと　吹いて、草が　一どに　動きました。する＃
と、草の　葉の　うらに、ちらと　きりぎりすの　すがたが　＃
見えました。＃
「ゐた。」＃
私は、手に　持って　ゐた　竹を、そっと　きりぎりすの　ゐ＃
る　方へ　さし出しました。＃
葉の　うらに、きりぎりすは、まだ　じっとして　ゐる＃
やう　です。風が　やむと、＃
「チョン　ギース。」＃
＜Ｐ－０７２＞
と、いい　こゑで　また　な＃
きました。＃
竹の　先に　ついて　ゐる　＃
白い　ねぎが、葉の　そばに　＃
すれすれに　なると、きり＃
ぎりすは、ひょっこり　動い＃
て、葉の　表へ　出て　來ま＃
した。＃
「うまく　取れますやうに。」＃
＜Ｐ－０７３＞
心の　中で　いのりながら、ねぎを、きりぎりすの　から＃
だに　近づけました。＃
すると、きりぎりすは、すばやく　竹の　先に　のりう＃
つって、ねぎを　おいしさうに　たべはじめました。＃
「しめた。」と　思ふと、むねが　どきどきします。竹の　＃
先を　そっと　引きよせながら、虫かごの　口へ　はこびま＃
した。きりぎりすは、びっくりしたやうに、かごの　中で　＃
はねました。＃
私は、また　ほかの　きりぎりすを　さがさうと、草を　＃
＜Ｐ－０７４＞
分けて　行きました。　　＃
　二十　　海　＃
　一　　海へ　來て　＃
おかあさん、私は、きのふ　をばさんと　いっしょに、海＃
へ　行きました。＃
海は　あまり　廣いので、びっくりしました。水は　＃
まっさを　です。遠い　ところで、水と　空が　いっしょに　＃
なって　ゐます。白帆が、いくつも　浮かんで　ゐます。＃
＜Ｐ－０７５＞
汽船も　通って　ゐま＃
す。＃
沖の　方から、波が　＃
うねって　來て、はま＃
べで、どっと　音を　＃
たてて　くだけます。＃
そのたびに、白い　布＃
を　ひろげたやうに、＃
ひろがります。＃
＜Ｐ－０７６＞
海は、いつも　動いて　ゐます。海は、生きて　ゐると　＃
思ひました。＃
波うちぎはや　砂はまで、貝を　見つけました。おさ＃
らのやうなのや、かたつむりのやうなのや、いろいろ　あ＃
ります。その　中で、つめのやうな　形を　した、つやつや＃
と　さくら色に　光って　ゐるのが、一ばん　すき　でした。＃
私は　貝を　たくさん　ひろって、かへりたいと　思ひ＃
ます。　　＃
　二　　砂の　山　＃
＜Ｐ－０７７＞
にいさんと　ぼくが、手を　つないで、海へ　はいりま＃
した。波が、ざぶん　ざぶんと　むねに　あたりました。＃
にいさんは、ぼくの　手を　はなして、深い　方へ　およ＃
いで　行きました。ぼくは、まだ　およげないので、淺＃
い　ところで　水を　とばして　遊びました。＃
何か　足に　さはるので、つかんで　みると、はまぐり　＃
でした。おかあさんに　見せて　あげると、＃
「まあ、めづらしい。いい　おみやげが　できました。」＃
と　おっしゃいました。＃
＜Ｐ－０７８＞
それから、はまべの　砂で　山を　＃
作りました。すると、波が　だんだ＃
ん　よせて　來て、せっかく　作った　＃
砂の　山が、くづれだしました。＃
「まける　ものか、まける　ものか。」＃
と　いひながら、砂を　どんどん　も＃
りあげました。にいさんも　かせ＃
いして　くれました。＃
波は、あとから　あとから　よせて　＃
＜Ｐ－０７９＞
來ます。ぼくらは、まけずに　どんどん　砂を　もりあげ＃
ました。　　＃
　二十一　　子馬　＃
子馬よ、＃
＜Ｐ－０８０＞
おまへは　かはいいね。＃
おつむを　そっと　なでて　あげませう。＃
からだは　大きくても、＃
おまへは　まだ　赤ちゃん　だね。＃
おかあさんの　あとを　おっかけて　行って、＃
ときどき、おちちを　さがすの　でせう。＃
早く　大きく　なって、＃
＜Ｐ－０８１＞
りっぱな　軍馬に　おなりなさい。　　＃
　二十二　　うさぎと　たぬき　＃
勇さんと　太郎さんは、ぐゎようしで　めんを　作って　＃
遊びました。＃
勇さんは、ぐゎようしに　うさぎの　顏を　＃
かきました。耳を　長く　かきました。目＃
を　赤く　ぬりました。＃
太郎さんは、それを　見て、＃
＜Ｐ－０８２＞
「ぼくは　たぬきに　しよう。」＃
と　いって、たぬきの　顏を　かきました。鼻＃
の　兩わきから　耳へ　かけて、茶色に　ぬり＃
ました。＃
二人は、はさみで　ゑ　を　切りぬいて、めんを　作り＃
ました。＃
二人は、めんを　つけました。＃
「さう　だ、君、かちかち山ごっこを　しようよ。」＃
と、太郎さんが　いひました。＃
＜Ｐ－０８３＞
それから　二人は、あつい　紙で、舟を　二つ　作りまし＃
た。長い　ひもを　つけて、首へ　かけると、舟は　おなか＃
の　へんに　かかります。＃
「うまい、うまい。うまく　できた。さあ、ぼくは　うさ＃
ぎ、君は　たぬき　だよ。」＃
と、勇さんが　いひました。＃
「ぼくが　たぬきか。よし、やらう。」＃
うさぎの　勇さんは、少し　考へてから　いひました。＃
うさぎ「たぬき君、よい　お天氣　だね。これから、いっしょ＃
＜Ｐ－０８４＞
に　舟遊びを　しよう。」＃
たぬき「よからう。」＃
うさぎと　たぬきは、舟を　＃
こぎます。＃
うさぎは　歌ひます。＃
うさぎ「うさぎの　舟は、　　＃
木の　お舟、　　＃
たぬきの　舟は、　　＃
どろの　舟。」　＃
＜Ｐ－０８５＞
たぬきの　舟が、少し　おくれます。＃
たぬき「おうい、うさぎ君、ぼくの　舟は、なんだか　重くて　＃
進まないやう　だ。」＃
うさぎ「そんな　ことは　ないよ。君の　こぎかたが　へたな＃
の　だ。」＃
たぬき「さうかね。」＃
また　しばらく　こぎます。たぬきは　だんだん　おく＃
れます。＃
たぬき「やあ、たいへん、たいへん。ぼくの　舟に、水が　は＃
＜Ｐ－０８６＞
いって　來た。あ、舟が　沈む、沈む。うさぎ君、助け＃
て　くれ。」＃
いつのまにか、となりの　へやに、勇さんの　おかあさ＃
んと　ねえさんが、來て　見て　いらっしゃいました。＃
勇さんも　太郎さんも　氣が　ついて、あわてて　やめ＃
ました。おかあさんは、＃
「ほんたうに　じゃうず　ですね。」＃
と　いって、おほめに　なりました。　　＃
＜Ｐ－０８７＞
　二十三　　自動車　＃
正男さんの　うちへ　遊びに　行かうと　思って、外へ　＃
出ました。＃
と中まで　來て、ふと　見ると、正男さんの　家の　前＃
に、自動車が　止って　ゐました。そばに、人が　四五人　＃
立って　ゐました。＃
「なん　だらう。」と　思って、私は　急いで　行って　見まし＃
た。正男さんが　ゐましたので、＃
＜Ｐ－０８８＞
「どうしたの　です。」＃
と　聞きますと、正男さんは、＃
「自動車の　こしゃう。」＃
と　いひました。＃
「どんな　こしゃう。」＃
と　聞きますと、そばに　ゐた　どこかの　をぢさんが、＃
「あの、左がはの　後の　車を　ごらんなさい。」＃
と　いひました。＃
見ると、その　車の　タイヤが、ひしゃげて　ゐました。＃
＜Ｐ－０８９＞
「破れたの　でせうか。」＃
と　聞きますと、をぢさんは、＃
「タイヤの　中の　チューブに　＃
あなが　あいて、空氣が　ぬ＃
けて　しまったの　です。」＃
と　いひました。＃
うんてんしゅは、その　車を　＃
はづしました。さうして、自＃
動車に　つけて　あった　ほか＃
＜Ｐ－０９０＞
の　車を　持って　來て、とりつけました。＃
しごとが　すむと、うんてんしゅは　をぢさんたちに、＃
「お待ちどほさま　でした。どうぞ、お乘りください。」＃
と　いひました。をぢさんたち　三人は、＃
「やあ、ごくらう　でした。」＃
と　いって、自動車に　乘りました。＃
うんてんしゅも　乘りました。＃
「ブルブル、ブルブル。」＃
と、自動車が　うなりだしました。＃
＜Ｐ－０９１＞
をぢさんたちは、私たちに、＃
「さやうなら。」＃
と　いひました。私も　正男さんも、＃
「さやうなら。」＃
と　いひました。＃
自動車は　動きだしました。＃
「ブッブウ。」＃
自動車は　走って　行きます。＃
私たちは、自動車が　見えなく　なるまで、見て　ゐま＃
＜Ｐ－０９２＞
した。　　＃
　二十四　　長い　道　＃
どこまで　行っても、　　＃
長い　道。　　＃
夕日が　赤い、　　＃
森の　上。　　＃
どこまで　行っても、　　＃
＜Ｐ－０９３＞
長い　道。　　＃
ごうんと　お寺の　　＃
かねが　なる。　　＃
どこまで　行っても、　　＃
長い　道。　　＃
もう　かへらうよ、　　＃
日が　くれる。　　＃
＜Ｐ－０９４＞
　二十五　　日曜日の　朝　＃
今日は　日曜日で、こうあほうこう日　です。朝　早く　＃
起きて、にいさんと　國旗を　立てました。＃
私たちの　立てた　國旗が、風に　ひらひらして、いつ＃
もより　勇ましく　見えました。＃
みんな　庭へ　出て、宮城の　方を　拜みました。また、＃
お國の　ために　なくなられた　兵たいさんや、戰地で　は＃
たらいて　いらっしゃる　兵たいさんの　ために、もくたう＃
＜Ｐ－０９５＞
を　いたしました。＃
それから、おとうさんの　お＃
手つだひを　して、庭の　草を　＃
取りました。＃
おとうさんが、枯れかかっ＃
た　かきねの　朝顏を、きれいに　＃
取って　おしまひに　なったの＃
で、そのへんが　見ちがへるや＃
うに、明かるく　なりました。＃
＜Ｐ－０９６＞
にいさんは、こはれて　ゐた　ごみ箱の　ふたを　なほ＃
しました。＃
おかあさんは、＃
「じゃうずに　できた　こと。」＃
と　いって、お喜びに　なりました。＃
「ごはん　ですよ。」＃
と　呼ばれて、行って　みると、おかあさんは、赤ちゃんを　＃
おんぶしたまま、もう　すっかり　おぜんの　したくを　＃
して　いらっしゃいました。＃
＜Ｐ－０９７＞
「今朝は、一家　そう動ゐんで　はたらいたね。」＃
と、おとうさんが、おはしを　取りながら　おっしゃいま＃
した。＃
ごはんが　すんでから、戰地の　兵たいさんに、ゐもん＃
文を　かきました。　　＃
　二十六　　うらしま太郎　＃
　一　＃
四人の　子どもが、一ぴきの　かめを　とりまいて　遊んで　＃
ゐます。＃
＜Ｐ－０９８＞
子ども一「この　かめを　ころがして　みよう。」＃
子ども二「おもしろい。みんなで　ころがさうよ。」＃
みんな「よいしょ、よいしょ。」＃
かけごゑを　かけながら、みんなで　かめを　ころがします。＃
そこへ　うらしま太郎が　來ます。＃
うらしま「これ、これ、どうしたの　だ。」＃
子ども三「おもしろいから、かめを　ころがして　ゐるの　で＃
す。」＃
うらしま「そんな　ことを　しては　いけない。かはいさう　＃
＜Ｐ－０９９＞
だから、はなして　お＃
やり。」＃
子ども四「だって、ぼくたちが　＃
つかまへたの　だも＃
の。」＃
うらしま「でも、かめは　生きも＃
の　だ。ゆるして　お＃
やり。＃
さう　だ。私に、この　＃
＜Ｐ－１００＞
かめを　賣って　くれないかね。」＃
みんな「賣って　あげよう。」＃
うらしまは、お金を　子どもたちに　やります。＃
子ども一「よかった、よかった。」＃
みんな「行かう、行かう。」＃
子どもたちは、「わあ、わあ。」いひながら、行って　しまひま＃
す。＃
うらしま「かめさん、しっかりなさい。」＃
かめを　だき起して、せなかを　さすって　やります。かめは、＃
＜Ｐ－１０１＞
なみだを　ふきながら、ていねいに　おじぎを　します。＃
うらしま「ちゃうど　ここを　通りかかって　よかった。早く　＃
うちへ　かへりなさい。」＃
かめは、おじぎを　しながら、どこかへ　行きます。　　＃
　二　＃
うらしまが　つりを　して　ゐます。そこへ、かめが　出て　來＃
ます。＃
かめ「うらしまさん、うらしまさん。」＃
うらしま「おや、だれかと　思ったら、この間の　かめさん　だね。」＃
＜Ｐ－１０２＞
かめ「はい、この間は、お助けくださいまして、ほんたう＃
に　ありがたう　ございます。今日は、お禮に　りゅ＃
うぐうへ　おつれしようと　思って　まゐりました。」＃
うらしま「りゅうぐうへ。」＃
かめ「さやうで　ございます。それは　それは、きれいな、＃
よい　ところで　ございます。」＃
うらしま「それは　おもしろい。行って　みませう。」＃
かめ「では、ごあんない　いたします。」＃
かめは、うらしまの　手を　取って、そこらを　ぐるぐる　歩き＃
＜Ｐ－１０３＞
ます。＃
かめ「ごらんなさい。向かふに　光った　やねが　見える　＃
でせう。」＃
うらしま「ああ、見える。赤や、黄で　ぬった　門が　見えるね。」＃
かめ「あれが、りゅうぐうの　ご門で　ございます。もう　＃
ぢきで　ございます。」　　＃
　三　＃
かめが、うらしまを　あんないしながら、出て　來ます。＃
かめ「ここが　りゅうぐうで　ございます。どうぞ、そこ＃
＜Ｐ－１０４＞
へ　おかけください。」＃
うらしまは、あたりの　美しさに　おどろきながら、りっぱな　＃
いすに　こしを　かけます。いろいろな　魚が　出て　來ます。＃
その　後から、おとひめさまが　あらはれます。＃
かめ「この　おかたが、うらしまさんで　ございます。」＃
おとひめ「あなたが、うらしまさんで　いらっしゃいますか。＃
私は、おとひめで　ございます。この間は、かめ＃
を　お助けくださいまして　ありがたう　ございま＃
す。どうぞ、ゆっくり　遊んで　いって　くださいま＃
＜Ｐ－１０５＞
せ。」＃
魚たちは、ごちそうを　はこんで　來ます。＃
おとひめ「さあ、ごゑんりょなく　めしあがって　ください。」＃
うらしま「どうも　ごちそうさまで　ございます。」＃
＜Ｐ－１０６＞
おとひめ「では、みんなに　おも＃
しろい　をどりを　を＃
どって　もらひませう。」＃
魚たちは、そろって　をど＃
ります。＃
うらしま「おもしろい、おもしろ＃
い。」　　＃
　四　＃
かうして　三年　たちま＃
＜Ｐ－１０７＞
した。＃
ある日、うらしまは、父や　母の　ことを　思ひ出して、急に　＃
家へ　かへりたく　なりました。＃
たひ「これは、まだ　さしあげた　ことの　ない、おいしい　＃
ごちそうで　ございます。」＃
うらしま「いや、もう　十分　いただきました。」＃
えび「では、にぎやかな　をどりを　して、ごらんに　いれ＃
ませう。」＃
うらしま「をどりも　たくさん　です。」＃
＜Ｐ－１０８＞
おとひめ「それでは、何か　かはった　ことを　して、おなぐさ＃
め　いたしませう。」＃
うらしま「いや、おとひめさま、何もかも、もう　十分で　ござ＃
います。長い　間、ほんたうに　おせわに　なりま＃
した。」＃
おとひめ「どうか　なさいましたか。」＃
うらしま「あまり　長く　なりますので、もう　おいとま　いた＃
します。」＃
おとひめ「まあ、よろしいでは　ございませんか。」＃
＜Ｐ－１０９＞
うらしま「でも、うちの　ことも　氣に　かかりますから、かへ＃
らして　いただきます。」＃
おとひめ「さやうで　ございますか。なんの　おかまひも　で＃
きません　でした。では、おみやげに　玉手箱を　さ＃
しあげませう。」＃
かめが、玉手箱を　持って　來ます。＃
うらしま「おみやげまで　いただきまして、ありがたう　ござ＃
います。」＃
おとひめ「この　玉手箱は、どんな　ことが　あっても、おあけ＃
＜Ｐ－１１０＞
に　なっては　なりません。いつまでも、そのまま＃
に　して　おいて　いただきたう　ございます。」＃
＜Ｐ－１１１＞
うらしま「よく　わかりました。＃
では、おいとま　いたします。＃
さやうなら。」＃
みんな「さやうなら。」＃
かめ「私が、また　おともを　いたしませう。」＃
おとひめ「ごきげんよう、さやうなら。」＃
＜Ｐ－１１２＞
うらしま「さやうなら。」＃
かめが、うらしまの　手を　取って　出て　行きます。　　＃
　五　＃
生まれた　村に　かへったら、　　＃
だれも　知らない　人ばかり、　　＃
とはうに　くれて　うらしまは、　　＃
あけて　見ました、玉手箱。　　＃
白い　けむりが　立ちのぼり、　　＃
＜Ｐ－１１３＞
げんきで　若い　うらしまは、　　＃
みるみる　しらがの　おぢいさん、　　＃
昔　むかしの　話　です。　　＃
