国立国語研究所 (The National Language Research Institute)


国立国語研究所

「視 聴 覚 教 材 フ ォ ー ラ ム 5 」の ご 案 内

ワークショップ参加者募集・公開発表会開催のお知らせ


 

国立国語研究所日本語教育教材開発室は、日本語教育の中で視聴覚教材を有効に利用する方法を探るため、1990年、1994年、1996年、そして1997年に続いて「視聴覚教材フォーラム5 」を開催します。今回のフォーラムは名古屋大学大学院言語文化研究科との共催です。

今回も、「ワークショップ」と「公開発表会」の二本立てです。

今年度のワークショップは、前回に引き続いて東京を離れ、名古屋大学で実施します。そこでは、グループ作業によって、映像教材を使った学習内容の分析と授業計画の作成を行い、その過程で問題になることがらについて、参加者の間で意見交換を行います。

公開発表会は国立国語研究所で行い、ワークショップでの討議内容と分析結果・作成教案をポスター発表と全体に対する報告の2つの形式で発表します。 

ワークショップへの参加を希望される方は、下記の要領でお申し込みください。公開発表会は、来聴自由です。多数の参加をお待ちしています。

 


1.「視聴覚教材フォーラム5」ワークショップ

期日: 平成11年10月30日(土)〜31日(日)
会 場 : 名古屋大学
【プログラム】

 第1日 10月30日(土)


 第2日 10月31日(日)

【内 容】

1.ワ ー ク シ ョ ッ プ   (10月30日〜31日 名古屋大学)

  「視聴覚フォーラム5」のワークショップでは、「就学生」「地域で生活する学習者」「仕事に就いている学習者」という3つのグループを設定し、それぞれの学習者に対する日本語教育における視聴覚教材の利用について話し合います。特に、今回は主教材として『日本語教育映像教材初級編「日本語でだいじょうぶ」』(国立国語研究所制作)を利用した学習活動を考えます。

 基調講演「映像から情報を読み取る」
中道真木男[国立国語研究所日本語教育教材開発室室長]

映像は多重的な情報を含んでいます。ことば、ことばのはたらき、ことばを使う人、人を包む状況、状況の背後にある社会文化的知識などが、聴覚情報、視覚情報、そして、推測される情報として混在しています。制作者が意図した情報もあり、諸般の事情で入り込んでしまった情報もあります。それらの中から学習に役立つものを選び、学習者の目をそこに向け、適切なインプットとして利用することができれば、学習を効果的にすることができるでしょう。しかし、映像を読み解くことは、なかなかにむずかしく忍耐を要する作業です。まず、どんな種類の情報が隠れていそうか、どこに目をつけると効率的かを考えることで、ワークショップへのイントロダクションとします。

グループセッション
 テーマ別に3つのグループに分かれ、それぞれのコーディネーターが設定した課題に沿って、学習項目を分析し、授業計画の上で考慮しなければならないことがらを話し合い、教案をたてていただきます。そのために必要な補助教材を作ったり、映像教材の編集なども行います。

また、参加者にはワークショプ開催日以前にグループのコーディネーターが決定した事前課題が送付され、回答の提出が求められます。

各グループのコーディネーターと課題項目、使用する素材などは以下のとおりです。

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グループ1 「地域の日本語教室で映像教材を利用する」
コーディネーター:足立 祐子[新潟大学留学生センター助教授]
 

地域に在住する外国人とともに進める日本語教室ではどのような映像教材が考えられるでしょうか。「いつでも、だれでも」参加できる地域の日本語教室では、文型積み上げ式で進めることができない場合が多いようです。また、参加者の日本語力に幅がある場合も多く、どのように授業を進めていけばいいのかわからないという声も聞きます。もしかしたら、映像教材を使用することで、今までうまくいかないと言われていたことが解消し、より柔軟性のある日本語教室へと展開していくことが可能かもしれません。

このグループでは、ある地域の日本語教室を想定して、映像教材を使って具体的な教室活動案を作成します。また、以下のことについて全員で意見交換をしていきます。

1)生活に必要な日本語とは何か

2)実際に映像教材を使うときの具体的な使い方について

3)参加者の日本語力の差をどのように活用するか

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グループ2 「就学生の『理解語彙』を『使用語彙』へと高める方法を考える」
コーディネーター:黒崎亜美[(財)ラボ国際交流センターラボ日本語教育研修所専任講師]

就学生である学習者は、そのほとんどが2年以内に日本語能力試験1級に合格しなければならないという目標があります。そのために、語彙、文法などをどうしてもつめこむ形になります。しかし、そのような形で得た語彙や文法は、「知っている」だけで、いつまでたっても、彼らの文章や会話の中に登場してきません。

そこで、視聴覚教材を使って、それらの語彙を「理解語彙」から「使用語彙」へと高める方法を検討し、さらに実際の授業での指導案・副教材を考えていきたいと思います。

 

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グループ3 「仕事の場で人間関係をうまく保つ方法を視聴覚教材に学ぶ」
コーディネーター:桜木紀子[国立国語研究所客員研究員]
 

仕事を持つ学習者は、職場での人間関係を円滑に保つ「ノウハウ」を必要としています。これは、新たな人間関係をつくる時や、人間関係を壊さないようにしたいときに知っておくべきことがらで、いずれの場合も言語および言語付随行為も考慮の対象とします。

このノウハウは、学習者の日本語学習の基礎部分ではあまり取り上げられることがないのですが、知っている、さらに使えるようになると非常に役に立ちます。今回は視聴覚教材を利用して、こういったことがらが身につけられるための授業を考えてみたいと思います。

このグループの参加者は事前課題として「日本語でだいじょうぶ」の中の指定されたセグメントを見てきてください。注目するのは、どうやって登場人物が話題に参加するきっかけをつかんだり、話題を転換して気まずい場面から抜け出しているかという点です。

   


 

2.「視 聴 覚 教 材 フ ォ ー ラ ム 5 」公 開 発 表 会

期日: 平成11年12月22日(水)
会 場: 国立国語研究所
【プログラム】

【内 容】

基 調 講 演「学習内容の立体化と映像」
中道 真木男 [国立国語研究所日本語教育教材開発室室長]

 
『日本語教育映像教材初級編「日本語でだいじょうぶ」』は、「多次元シラバス」を意識した教材として作成されています。言語体系・言語運用・社会文化の三つの次元にわたって学習項目を設定し、その出現例を映像で提示することを意図しています。いわゆる日本語学習の内容はことばだけではない、しかし、学習はやはりことばに沿って進みます。「多次元シラバス」の考え方を紹介し、この教材の映像に描かれた各次元の学習項目を概観します。

ワークショップ報告

ワークショップ各グループの討議の中で問題になったことがら、学習項目の分析結果、作成された教案などをグループコーディネーターが発表します。

関 連 発 表

「非直線的アプローチによる基礎段階後期の教育と『日本語でだいじょうぶ』」
西口光一氏(大阪大学留学生センター教授)

 
これまで基礎段階の日本語教育は文型・文法積み上げ方式による「直線的なアプローチ」で行われるものと考えられ、実施されてきました。これに対し、大阪大学留学生センターの日本語研修コース(大学院入学準備のための6カ月の日本語集中コース)では、入門期から一貫して「非直線的アプローチ」による日本語教育を実施しています。そして、1999年4月からは、『日本語教育映像教材初級編「日本語でだいじょうぶ」』を基礎段階後期の主要な学習リソースとして活用することとし、その他の利用可能なリソースと併せて、有効な教育的経験が編成されるようにカリキュラムを作成し、教育実践を行っています。本発表では、(1)カリキュラムの中で『日本語でだいじょうぶ』がどのように位置づけられているか、(2)「ビデオ教材をリソースとして見る」とは一体どういうことか、という点を中心に報告、議論したいと思います。

ポスター発表

ワークショップ各グループの討議の中で問題になったことがら、特に作成された教案や関連教材などをポスター展示の形でより詳しく発表しただき、その後、それぞれのポスターの前で、来聴者との間で意見交換をしていただきます。

ディスカッション

ワークショップ報告とポスター発表の内容について、フロアを含めて意見交換を行います。

 


【ワークショップへの参加申し込み】

ワークショップ参加希望者は、あらかじめお申し込みいただきます。(公開発表会は申込不要です)。申込要領は以下の通りです。

〈人 数〉各グループ10名程度、計30名程度を募集します。

〈応 募 条 件〉資格等は特に問いませんが、ワークショップ2日間の全日程を通して参加できることを条件とします。また、公開発表会にも、極力ご参加ください。

〈参加グループの希望〉参加希望のグループに多数の申し込みがあった場合は、ご希望に添えないことがあります。

〈参 加 費〉無料ですが、ワークショップ、公開発表会とも、参加のための旅費・宿泊費・食費等はすべて自己負担となります。また、グループにより、教材作成の実費などが必要になることがあります。

※ 所属先への出張依頼等をご希望の方は、参加決定後、ご相談ください。

※ ワークショップの会場になる名古屋大学の所在地は、愛知県名古屋市千種区不老町です。地下鉄東山線本山駅から徒歩20分程度です。ワークショップへの参加が決定した方には、詳しくご案内します。
公開発表会会場の国立国語研究所へは、都営地下鉄三田線・板橋本町駅またはJR埼京線・十条駅から徒歩、JR赤羽駅からバスなどの経路があります。

【申し込み方法】

  A4版用紙1枚の片面に以下の事項を記載し、返送先の宛名を書いた官製はがきを同封して、下記の宛先にお送りください。

  <記載する事項>

  1. 参加希望者氏名
  2. 連絡先住所・郵便番号・電話番号・ファックス番号・電子メール 所属・職名等
  3. 参加希望のグループ(上記3グループの中から、第1希望・第2希望を番号でお書きください)
  4. このワークショップに特に期待することがあれば、お書きください。
  5. 主に関心をお持ちの分野。また、視聴覚教育または日本語教育全般に関するこれまでの研究歴・実践経験などあれば、お書きください。
  6. 当研究所が行った「視聴覚教材フォーラム」「映像教材モニター」に参加したことがあれば、お書きください。
※参加希望者1名ごとに申し込み用紙・返信はがき1組をお使いください。

※申し込みは、郵送または持参に限ります。電話、ファックス、電子メール等ではお受けしません。

※申し込み締切 平成11年9月1日水曜日必着

※参加の可否は、9月10日(金)までに決定し、同封していただいた返信はがきでお知らせします。

※参加が決定した方には、9月10日(金)に事前課題をお送りし、10月10日(日)までにレポートを提出していただきます。

 

※ 参加申し込みおよびこの件に関するお問い合わせ等は、全て下記あてにご連絡ください。ただし、参加の可否については、返信はがきでご連絡しますので、お問い合わせには応じられません。担当者が不在の場合がしばしばあると思われますので、なるべく郵便、ファックスまたは電子メールをご利用ください。

 

 

【申込先・問い合せ先】

  〒115−8620 東京都北区西が丘 3‐9‐14

国立国語研究所 日本語教育教材開発室 担当:能波(のなみ) 電  話  03‐5993‐7661(研究室直通)

ファックス 03‐3906‐3530

(ファクスは研究所共用ですので、「教材開発室宛」とお書きください)

電子メール ynonami@kokken.go.jp


登録:1999-06-25
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