T: はい,では始めさせていただきます。
   【T】です。
   どうもよろしくお願いします。
I: あっ,【I】です。
   よろしくお願いします。
T: こちらこそよろしくお願いします。
   すいません,【I】さんと呼ばせていただいて,よろしいですか?。
I: あっ〈はい〉,特に,あの,えー,えっと,さんでも,くんでも〈あっ〉大丈夫です。
T: はい,すいません。
   ありがとうございます。
   えっと,じゃあ,初め,まず簡単に,えっと,1,2分で,自己紹介,していただけますでしょうか?。
I: あっ,はい。
   あのー,【I】と言いますが〈はい〉,生まれはハンガリーで,あー,えー,子供のとき,あのー,親と一緒に,あー,あー,亡命して,で,カナダの国籍を取りまして,教育はカナダで受けて,で,日本語の勉強もカナダで,始めたんです。
   えー,それから,えー,そうですね,昭和で言うと41年ですね〈はい〉,日本に留学生として来て〈はい〉,で,当時はですね,年間交換留学生制度がありまして〈はい〉,あー,東京の【大学名1】に行ったんです〈はい〉。
   そこで,あのー,日本語はある程度,あー,その,勉強,し続けたんですが〈はい〉,教室内というよりは,むしろ,学外活動の方が,多かったです。
T: {笑}あー楽しそうですよね〈{笑}〉,はい。
I: 当時は,まあ,それが普通だったんですよね。
T: あっ,そうですか。
I: それで,あん,えーっと,あー,えー,カナダに戻りまして〈はい〉,カナダで,えー,修士課程を終えて〈はい〉,日本文学と〈うん〉,あー,芸能学は,あー,少し,べ,学びまして〈はい〉,あー,それから,あのー,日本に戻ってきて,あー,日本で,しばらくの間,もう,あー,翻訳活動やってたんです〈はい〉。
   あー,それから,まー,新聞記者の仕事が,あー,確かに【企業名1】があったんですね〈はい〉。
   それにうか,受かったんですよね〈はい〉。
   あー,それで,当時の【新聞名1】に,しばらく記者し,記者をしてまして。
   そして,えーっと,徐々に,外国の新聞****に移って,そこで,あのー,えー,30年近く〈はい〉あの,日本を拠点にして,アジア各地を,あのー,取材,してました。
T: あー,そうですか〈はい〉。
   あの…
I: それ〈はい〉,それから〈はい〉,あっ,まだあります。
T: はい,どうぞ。はい。
I: あのー,あー,えーっと,もう,年をとると,もう,新聞記者,の仕事は,とてもやりにくいんですよね〈ふーん〉,非常に不規則ですから。
   あー,それから,あの,えー,あの,非営利団体,【団体名1】というとこに,あー,あの,中日代表,7年間,やりまして,あー,大変勉強になったんです。
   それからここ,ここに来ました。
T: あー,そうですか。
   ありがとうございます。
I: 以上でございます。
T: あー,で,あの,色々お聞きしたい事があるんですが,まず,その,新聞記者の生活というのはずいぶん長く,されているわけですよね?。
I: はい,はい。
T: で,その中で,あのー,一番,取材しにくかったとか,難しかった,とか,今すごく覚えてらっしゃる事ってありますか?。
I: そうですねー,毎日難しかった〈あっ〉ですけど〈はい〉,新聞記者の仕事はほんとに難しいんですよ。
   あー,ていうのは,あのー,うーん,あの,なんていいますか,一つの,つまり,現実って言うのは〈うん〉まとまりがないんです〈ふーん〉{笑}。
   で,そこから,ある,その,いっ,うーん,世界,各地〈うん〉どの国でもですね〈はい〉,その,あー,まともな記事として,読めるような〈んー〉,そういう,そのー,取材をしなければならないんですよ〈んー〉,特に通信記者の場合はですね〈んー〉。
   で,【団体名2】に,あの,2年,いまして〈はい〉,その時,その,えー,その,技術を身につけた〈はい〉と思うんですが,ま,自負してるわけじゃないんですけれどもね。
T: それは具体的にはどのような,ことをやっ,もちろんほんとに事実ってせっ〈はい,はい〉,おっしゃるように,ないですよね,見えないですよね。
I: 見えないです〈はい〉。
   ですから,把握できる事実,のみ〈はい〉を報道するっていうのは非常に難しいんですけど,それが私たちの目標だったんです。
   あのー,推測,が,多いんですよ,あのー,ずさんな記事の場合はですね〈うん〉。
   まことに申し訳ないけれども,日本の,新聞にはそれが非常に多いんですよ。
T: あー,そうですか。
I: あのー,て言うのはですね〈はい〉,例えば警察の場合はですね〈はい〉,えー,警察記事の場合はですね,警察が唯一の情報源の場合,場合が多いですよ〈はい〉。
   だからこん,今回はですね,非常に,かわいそうな,あのー,知的障害者がですね,逮捕されたんですよね〈んー〉。
   えー,今日,あの,えーっと,これは,えっとどこでしたかな,あのー,ある子供さんですね,殺されて〈うん〉,それで,その,あー,近所に住んでる千葉ですよね,千葉の,と,とがねいってとこですね〈うん〉。 
   で,そこで,あー,子供さんが殺されたんですよ。
   えー,そこで,あのー,知的障害者が,逮捕されていますよ〈はい〉。
   そうすると,もう,ほとんど日本の,どこのそのエリアもですね〈はい〉,もう,この人は,もう,いかにもですね,もう,有罪であるかのようにですね,報道してるわけですよ〈はい〉。
   これはアメリカだったら,この人無罪になっちゃうんです〈はあ〉。
   もう,裁判ができなくなって,な,な,な,なってしまうからですよ。
   もう,つまりですね,いくつかの,その,警察が,警察の望み通りにですね〈はい〉,全部,こう,報道されているわけですよね〈はい〉。
   これほんとにですね,もちろんその,かわいそうな子供さんが,ん,あの,その,亡くなってるわけで,殺されてるんだけども〈んー〉,じゃ,この人は,あの,殺した,かも知れないですよね〈はい〉。
   でも,その判断をするのは,あの,法廷でしょ?
T: そうですね。
I: ですから私たちの取材,取材の仕方と〈はい〉,そして日本の記者からの取材,取材の仕方っていうのはもう,昼と夜,全く違うんですよ。
T: あっ,ということは日本の方は,もう警察に,べったりと,付いてるっていうことですね。
I: べったりと付いているんですよ〈あー〉,もう,警察は。
   ですから警察が,もう,こういう報道があるから,から〈うーん〉,あのー,冤罪が生じるんですよね。
T: うーん,冤罪っていう面ではアメリカでも,今ずいぶんなんか,冤罪が…
I: 問題なんですよそれが。
T: なってますよねー。
I: なってます,なってます〈うん〉。
   それはね,日本が悪い,アメリカがいいって事じゃないです。
T: はい,ほんとに,そごい大きな原因が,原因を作っているような〈うん〉ものが,あるってことですね。
I: そうです。
   あの,あの,アメリカな***はですね,あの,お金を持っていればですね〈うん〉,あのー,有罪にならない{笑}〈あっ,はい,あー〉。
   あの,だ〈はい〉,だ,ほんとにその通りで,だから〈あー〉,そのー,あのー,えー,だから,その,極刑って言うのはほんとに,危ないんですよ。
   なぜかというと,統計見ると〈はい〉,黒人,それも,えー,知的水準の,低い人〈はい〉,そして,貧困層〈はい〉。
   ほとんどでんすね,極刑を受けるのはそれなんですよ〈んー〉。
   大金持ちで,白人がですね,極刑を受けるのは,ほんとに珍しいんですよね〈はー〉。
   だら,これはそのときを見るだけでもですね,アメリカの州の制度だってそんな立派なものじゃない〈うーん〉って分かるわけですよね{笑}。
T: そうですね。
   ところが,その,あの,日本では,来年4月からまたその,アメリカの陪審制度を〈はい〉導入しようっていう動きがありますよね。
I: えっと,裁判員制度,はいはい。
T: そうですね。
   その制度については,あのー,【I】さんは,どのように思われますか?
   いいことだと思われます…
I: あのー,ですけども,やっぱり〈はい〉報道,えー,の,つまり,取材の仕方,とか,ほう,報道の仕方が問題なんですよ〈んー〉。
   アメリカでは〈はい〉,例えば,あの,えー,行き過ぎな報道,が〈うん〉あった場合はですね〈はい〉,えー,その,弁護側,べん,弁護人が〈はい〉,あー,裁判官に,あの,申し立てを,して,この,この近所,というか,この区域では〈んー〉,この,えー,管轄の中ではですね〈んー〉,そのー,えー,その正当な裁判が行われない,ということを〈んー〉主張するんです。
   そうすると,どっか遠いところで〈はい〉,あのー,あの例えばですね,その同じ州の,北部,くらいにあったとは,南部で,おこな,あの,あの,あった,その,あ,南部で予定されてた裁判,と場合はですね〈はい〉,北部に,い,その,あの,管轄に,その,移すわけですよね〈はい〉。
   なぜかっていうと,陪審員が〈うん〉集まらないんですよ〈あー〉。
   つまり,あのー,公正な裁判,公正な判断ができる〈はい〉。
   もうすでにそこの地元の新聞は読んでるわけですからね〈あー,はい〉。
   それによって彼らの,考え方がですね,まあ,あの,変な表現だけど,汚染されてるわけですよね〈はい〉。えー,この人はすでに有罪だと決め付けてるわけです,新聞によって。
   そうすると,あのー,公正な裁判がおくられない〈んー〉んですよ。
   もう一つはですね,裁判員をですね〈はい〉,陪審員をですね〈はい〉,その,あのー,えー,の,せんく
   つ,んー,選択する,選別する時にですね〈んー〉,その,あの,えー,いろんな質問がですね,弁護側が,あの,えー,その,その,こうぼうに向かって〈はい〉,「あなた,この人有罪だと思いますか」,「あー,もちろん,もうそのその人は黒,に決まってるでしょ」〈はい〉,「はい,結構です」と〈ああ〉,あとは,家に帰って結構です的になっちゃうんですね。
   ところが日本の場合は,ばい,あの,日本の裁判員制度ではですね,それを,その権利がですね,果たして,与えられてるかが問題ですよね〈うーん〉。
   その,要するに,被告が〈はい〉,被告の弁護側が〈うん〉,あのー,えー,どの程度ですね,その,えー,裁判員,を,選ぶ,権利があるかが問題ですよね。
T: あー,裁判員っていうのは,被告側が日本の場合選べるのではなくて,なんか,無作為に抽選で選ぶという話…
I: でもそれ,それでは〈うん〉,ふじゅ,不十分ですよ〈うん〉。
   無作為,無作為に〈はい〉そういう風にえ,選んでて〈はい〉,えら,選んだ,選んだ場合は〈うん〉,そ,日本では全国紙があるんですよ。
   で,テレビもですね,あの,もう,とにかく,つつ***なく,普及しているような気がしますね。
T: そうですね,はい。
I: そうすると,えー,その人たちはですね,その報道に,行き過ぎた報道に影響を受けた場合はですね,公正な裁判は行われないんですよ〈はい〉。
   だから私,非常に心配しているんですよ〈あっ〉。
   この陪審員制度は,ごめごめ,裁判員制度は〈はい〉,すばらしんです,発想としてはですね〈はい〉。
   非常にいいんですよ。
   素晴らしいと思うんですよ〈はい〉。
   その,要するに,一般の,市民一般の国民がですね,その,常識を,えー,裁判,に,その,導入するっていうのは決して悪いことじゃないんですよ〈はい〉。
   だけれども〈うん〉,その常識は〈はい〉,あの,流言蜚語によって〈うん〉,そういう風に影響された場合は〈うん〉,これは,公正な裁判が,行われることはできないですよね。
T: なるほど。
   じゃあ,あのー,その,もう裁判員制度は,やめて,今までのその,裁判官による,んー,判決というか,その,それだけだと,やっぱり,何か,こう,どこかに問題が出てくる,と思われますか?。
I: 思いますよ〈うん〉。
   思います。
   あのー,だ,だって裁判官は官僚です。
T: あー,一応そう,三権分立っていうのがあっても,やはり,そう…
I: 裁判官はかん,あのー,えーっとー,本性はじ〈はい〉,実質的にですね,裁判官に,裁判官を,あの,管理しているわけですよね〈んー〉。
   ですから,あのー,えーっと,なんと言いますか,いわゆる,えー,そのー,なんという風に表現すればいいか,例えばですね,その,時の政治,エリートに〈はい〉,エリートが,お好みでない,判決を,下す〈うん〉地方裁判官は,あー,さいこうさん,最高裁の判事に,なかなか,あのー,いく,あのー,選ばれないわけですよね。
T: あー,そうなんですねー。
I: それはもう,もうそれで,沖縄か八戸かどっかに,あのー…
T: あー,なんか,室町時代か江戸時代のような,感じも,まだ残ってますよね?。
I: 全然かわ,かわ,変わってないですよ,これは。
T: あー,そうですかー。
I: 島流しですよそれ。
T: あー,そうですかー〈{笑}〉。
   はい,じゃあ,やはり,それは,導入すべきことは,導入すべきですね。
I: 導入すべきだけれども〈はい〉,私の独断と偏見かもしれませんけれども〈はい〉,裁判員制度ではなくて〈はい〉,憲法裁判所を作るべきですよ〈あー〉。
   これはヨーロッパの〈はい〉やり方です。
   ヨーロッパでは,裁判,制度があって〈はい〉,だけれども〈うん〉裁判官は〈うん〉官僚である,だから政府に近すぎる,という〈うん〉その,そういう,あのー,戦前の,非常に苦しい経験があるんですよね〈あー〉。
   それを,その経験を生かして〈はい〉,戦後はですね〈はい〉,あのー,裁判,制度と,どう,どう,平行してて〈はい〉,憲法裁判所というのが〈ふーん〉イタリー〔イタリア〕,ドイツ,あー,そしてほとんどの国でですね〈ふーん〉,あの,例外は,に,あの,イギリスと,えー,オランダ,でしょうね〈ふーん〉,それぐらいです,ここはもう例外ですよね〈あっ〉,だけども,あのー,日本と同じように〈はい〉ファシズムとか〈はい〉,あるいは絶対主義〈はい〉,共産主義を,体験した〈はい〉,あー,えーっと,えー,国には〈うん〉,ほとんど戦後はですね,その,あ,戦後もしくは,その,絶対主義制度が,崩れ,が,崩壊したあと〈うん〉,そのベルリンの壁が崩壊した後ですよね〈はい〉,に,必ず,裁判を,その,そ,あの,憲法裁判所を導入したんですよ。
T: あー,そうですか。
I: なぜかって言うと〈うん,うん〉,あのー,そういう,えーっと,えーなんて言いますか,そういう,あの,えー,えっと,共産主義もしくはナチズム,あるいはファシズムの下では,〈はい〉えー,裁判ほとんどの裁判官が,あの,国家側に加担し過ぎたからです。
T: うーん,あー,なるほど。
I: で,それを〈はい〉防ぐために〈はい〉,憲法裁判所を導入するんですよ〈あー〉。
   憲法裁判所にむか,憲法裁判所は,あのー,えー,一種の,そういう,あのー,バランスを〈はい〉行う,あ,その,維持するために〈うーん〉,あのー,どうにか,その,その,導入されてきたわけですよ。
T: うーん,あー,なるほど。
I: まあ,説明するのは長くなるんだけども。
T: あっ,わかりました。
   ありがとうございます。
   で,その,その,憲法裁判所のそういう立場と,それから,今ふと思ったのが,ジャーナリズム,ジャーナリストとしてのその中立,っていうところと何かすごく,関係があるような,感じがします,よね。
I: うーん,ありますよね。
   残念だけど中立,さ,させ…
T: 中立でもないんですね。
I: あの,えー,えっと,報道機関は〈はい〉,ほうど,報道,その,んー,報道陣は中立は,なかなか保てないんですよ。
T: あー,そうですか。
I: ほんとは。あのー,えー,ニュースって言うのは,需要と供給によって作られてるんですよね,ほんとのこというと。
   あー,その中には非常に正義に,正義感に燃えてる〈はい〉,その,あー,あのー,そういう,有名なジャーナリスト達がいるんですよね〈はい〉。
   例えば,あの,あー,アメリカではニクソン,を,倒した,あの二人の,ワシントンポスト記者,の例が〈はい〉あるんですよね〈はい〉。
   だけど,普通は…
T: あー,そうですかー。
I: 新聞記者はそれほど立派ではないですよ{笑}。
T: あっ,そうですか。
   まあ,ご謙遜もあるかと思い***が。
   わかりました,ありがとうございます。
   では,ちょっと,あの,今度少し話題を変えたいんですが〈はい〉,あのー,えっとー,ちょっと,話を昔のほうに,戻したいんですが,その,ハンガリーから,こ,子供,お子さんのときに,カナダに,行かれたということ,ですが〈はい〉,そのときに,何か,あのー,文化的な体験,あるいは,何かその,衝撃っていうのはもちろん,あの,あったと思うんですが,…
I: ありますよ。
T: 一番,何か,衝撃的だったことっていうのは覚えてらっしゃることって,どういうことでしょう?。
I: 友達が作りにくかったですよね。
T: っていうのは,それは言葉の問題ですか?
I: あのー,いいえ,そうではないです。
   あのー,言葉は,えー,まあ,子供ですから〈はい〉,非常に,身に付くんですよ〈うん〉,身につけやすいんですよ〈はい〉,あのー,まだ頭が柔らかいですからね〈はい〉。
   だけれでも,その言葉を,学ん,まあ,最初はですね,あ,言葉が,言葉が上手になれば〈うん〉,友達がその,必然的に増えるんだろうと思ってたんですよね。
   ところが,そう,ある程度そうなったんですよ〈はい〉,最初は。
   ところが,ある一定の,まあ,なんて言いますか,その,ほんとにもう流暢になったとたんに,自分,非常にさびしくなったのを覚えてるんですよ〈んー〉。
   なぜかというと,言葉は使えるんですけど〈はい〉,冗談が通じない〈んー〉。
   もう,言葉が,言葉で,その,もともとのハンガリー語が言えるんだけども〈はい〉,じゃあ,どうして笑ってくれないのか,どうして私が,言う,冗談だけがですね,面白くないと〈あー〉{笑}。
   でそれ〈うん〉は,やっぱり,その,その言葉は,コンテキストであるわけですよね〈うーん〉。
   その含みっていうんですね〈はい〉,その,えー,ようするに,あのー,あたしにとって〈はい〉,その,とても,面白い冗談っていうのは〈はい〉,どうして***って言うと,ハンガリーの文化,背景を〈はい〉まだ背負ってたわけ〈はい〉ですよね〈うん〉。
   ところが,彼ら,友人たちの〈うん〉***に従って,彼らが笑う,冗談は,わたし笑うんですよ。
T: あー,なるほど。
I: それは,すごい時間かかるんですよ。
   それ,それは〈あー〉何年も〈はい〉かかってて〈うん〉,あー,それで,野球は,嫌い,好きじゃない。なぜかと言うとハンガリーでは野球は,しない。
   そこではサッカーですよね〈はい〉。
   ところが当時はですね,あー,カナダでは誰もサッカーをしない〈うーん〉{笑}。
T: なるほど。
I: そういう,そこが,やっぱり,そのー,問題は言語ではなくて,問題は文化ですよ〈あー〉。
   で,だから,言語だけを,身につけて,解消されるかって言うと,そうじゃない。
T: やっぱり,えっと,その,カナダに行かれたのはおいくつの時だったんですか?
I: 10歳の時です。
T: あー,そうですか〈はい〉。
   ということは,もうすでに10歳であっても,もうしっかりと文化とか習慣とかはもう,…
I: だって,その…
T: あるっていうことですよね,もちろん?。
I: 子供のときに,あの,今でも覚えてるけどね,まあ,ショッキングと言ったら,あのー,知能指数のテストを,その,受けるんですよね〈はい〉。
   学生たちみんな,知能指数のテストがあるわけですよね。
T: あっ,私も受けましたが,はい。
I: それで,私のちぬうしすう,知能指数,非常に,低いランキングですよ。
T: あっ,そうだったんですかー。
I: あの,すごく,もうその,100以下なんですよね〈うーん〉。
   ところが,学校では〈うーん〉,わたしは優等生だったんですよ〈はい〉。
   まあ,いわゆる,いつも,その,そうすると,えー,両親が,呼び出されて,えー,{ささやくように}そちらの子どもさんは毎晩,宿題,あの,なん,何時間もやってますよね,と。
   そうすると,「親が,とんでもないですよ,あの人,毎日テレビばっかり見てるんですよね」,{笑}「ほんとに困ってるんですよ」,{ささやくように}「いやー,でもこれだけ知能指数,知能指数が低いと〈はい〉,あのー,余計がんばってないと,このぐらいの成績は」{笑}。
T: {笑}あー,そうですか。
I: ていうのは〈はい〉,だけでも,当時は,その,誰も知らなかったんだけども〈うん〉,カナダ人,カナダとかアメリカのその,その,心理学者たちが作る,えー,知能指数のテストというのは〈はい〉,文化的な含みばっかりなんですよね。
T: あー,そうですかー。
I: でしょ。
T: うーん,いや,それは考えたことなかったです。
I: で,そ,そうなんですよ。
   例えば〈ふーん〉,えー,その,北米の子供たちが読む,その,児童小説とか,あるいは当時のですね,流行の,あの,遊びとか,そういうのは,入ってるわけです。
   つまり,ぜ,だ,僕全然知らないんですよね〈あー〉。
   知るわけないですよね。
T: はい,あー,そう…
I: {笑}それで結局〈はい〉,あのー,諺も知らない〈はい〉,何にも知らないってね。
   そうすると,それで落ちるんですよね〈うん〉。
   落ちるっていうか,まあ,あの,それで,その,…
T: 低くなるんですよね。
I: あの,点数が,低いんですよね。
T: あっ,そうですかー。
   で,その,あの,問題点ていうのは,今はもう改善されてるんでしょうか?。
I: 多分ある程度改善はされてるんでしょう〈あー〉。
   けれども,だけど,万国共通の知能指数のテストは多分難しいでしょうね。
T: あのー,その知能指数の,テストっていうのは,日本でも,確か,その,えーっと,中学校までに一回だけは受けないといけないって言う事があったと思うんですが〈はい〉,あの試験は,あの役に立つと思われますか?。
   必要でしょうか?。
I: いや,ある程度は役に立つ,な,なん,どういう風に役に立つたつかっていったら,あの,今,大学の先生をしてますから,だから,あるが,各種の知能指数が高ければ,どうしてその人は,の成績はそれに匹敵しないか〈うーん〉,ついてないか,っていうそういう場合があれば〈はい〉,学生は,なまけてるか〈うーん〉,あるいは,その,学校のレッスン〈うーん〉,学校のし,しら,シラバスが〈はい〉,あのー,その人にあぴー〔アピール〕してないのかとか〈うーん〉,そういうことを,それを,判断するのにはいいんだけれども〈うーん〉,じゃあ,知能指数が高いだから〈うーん〉,あの,成績も高いかっていうと〈うん〉とんでもないんですよ。
T: そうですね〈はい〉,はい,うん。
   でもやっぱりそれは必要だと。
I: ある程度必要だと思いますよね〈うん〉。
   うーん,無いよりあったほうがいいような気がするんですよね。
T: うん,でも,その,もし,その知能指数で低いと判断された学生は,自分自身でも,見てしまうわけだから,あっ,僕はいくらいやってもだめだっていう劣等感を植え付ける原因にはならないですかね?。
I: だから扱い方次第じゃないですか?。
T: あー,はい,えー,わかりました。
   はい,ありがとうございます。
I: どうも,色々〈はい〉,あの,…
T: いいえ,はい。
I: 難しい質問をされて…
T: いいえ,いいえ,がんばってます。
I: どうもどうも,はい。
T: あ,もうちょっと,あの,じゃ,えっと,話を,変えたいと思うんですけど,あのー,えっと,長らく,まあ,何十年か,その日本にいらして,それで,あのー,ずいぶん,日本のその,社会の変化って言うと,あ,どんどん,変わってきてると思うんですよね,特に,あのー,ここ5年10年,でも,その,先生の目からご覧になって,その,なんて言うか,いいように変わってる面と,もちろん悪いように変わってる面,両方,もうほんとにきりなくあるとは思うんですが〈うーん〉,悪いことはちょっとこの際置いといて,日本の中で,いいように変わってきた面っていうのは,あのー,どのような,面があると思いますか?。
I: あのー,戦後の高度成長の〈はい〉社会は,実際はですね,あのー,あんまり,個人にとって,楽しい,えー,暮らしやすい社会ではなかったと思います,環境。
   あー,で,それを多くの人たちが忘れてるんですよ。
   あー,あの時,あのー,給料袋は,すごく太かったとか〈はい〉,なんでも〈うん〉買えたとか〈はい〉,えー,だけれども,その,会社人間になっていて〈うん〉,ものすごく束縛された生活をしてて,えー,家族と,あのー,いつも,過ごせる時間とかが非常に短くて,そういうことを,あのみんな忘れがちなんですよね。
   だから,バブルがはじけて以来はですね〈はい〉,実際は日本人の生活水準がですね,生活水準というのはもちろんその生活の質,いわゆるクオリティーオブライフがですね,良くなってきたですよ。
   だから,その,例えばですね,あのー,バブルがはじける前までは,給料袋はすごく,その,一万円札いっぱいあって….
T: そうですね,厚さが,…
I: 厚さが。
T: はい,あったようですが。
I: あったでしょう〈はい〉。
   それで,ところがですね,家が買えなかったりする〈はい,うーん〉。
   で,バブルがはじけてからはですね,あのー,えー,えー,なんて言いますか,その,土地,の,とち〈うん〉土地の価格が,ま暴落したわけですよね〈はい〉。
   その,その前に,あのー,その,えー,家を買ってたとすれば,もちろんそんなに楽しくないって***も知れないけど〈はい,うん〉,その後の〈はい〉若い夫婦でもですね〈うん〉,あのー,その,えー,えっと,低金利のローンが〈うん〉,あのー,使えて,えー,それで,あのー,すごく,あー,いい条件で,家を,あの,建てることができたわけです。
   それだけじゃなくて,そのためにですね,あのー,そういう事ができたかったために〈うん〉,あの,その,環境,その,要するにその,居住,空間が〈はい〉すごく面白くなってきたんですよ〈うん〉。
   例えば,あのー,安藤忠雄さんの大阪ハウスって言うのが〈うん〉,1960年代に作られたんですよ。
   非常に小さな家だけれでも〈はい〉,ものすごく,あの,超モダンで,バウハウス風の,あの,その,あの,えー,そういうデザインだったんですね〈はい〉。
   でそれが今,主流になってきてるんですよ〈うん〉。
   だから,非常に小さな,まだあの,その,例えば,その,えー,なんて言ますか,部屋,部屋じたいがそんなに数が多くなくて,まあ,部屋数[かず]は多い,かもしれないけど,なに,その,使用面積はですね,三十坪とか〈うーん〉,あー,ごめんなさい,30坪ですよね〈はい〉,900,ま,1000,1000平米は,ないわけですよね,ごめんなさい。
T: きゅう,900。
I: 900,えー,せ,せ,せんにひゃ,せん,ななひゃ,ごめんなさい,えー,100平米〈はい〉がないです。
T: がないですね。
I: 100平米は〈はい〉ないです〈はい〉。
   100平米がないけれども〈はい〉,えー,だけれども,それにしても,非常に使いやすくて,あのー,収納のスペースも非常に,あの,よく用意されてて,すごくいいんですよね。
   だから,それは非常に良くなってますよ。
T: あー,そうですか,はい。
I: あの〈はい〉,昔のですね,積水ハウスみたいな,なんでもこう,その,燃えやすいプラスティックで,あのー,えー,その入ったとたんに右側にあのー,トイレがあってとか〈あー〉,そういう,その,いわゆる,あー,なんて言いいますか,ま,やっと家が,やっとマイハウスが買えた〈はい〉,とか,購入できたとか〈はい〉そういう時代に比べれば〈うん〉,いくらですね,その,数字の上ではですね〈はい〉,その,あー,なんて言うんですか,数字の上ではですね〈うん〉,その,生活費が,水準が,横ばいのように見えた,見えてるかも知れないけども〈はい〉,でも実際はですね〈うん〉,その充実感って言うのはですね〈うん〉,ものすごくあるわけですよね。
T: 特に家に対して,こじゅ,居住きゅう,空間に対して,そういう,気持ち,っていうか〈はい〉,豊かさ…
I: があるんですよ。
T: あー,そうですか。
I: と思いますよ,と思います。
T: ありがとうございます〈はい〉。
   あー,良かったです,いい事が一つ聞けて,はい〈{笑}〉。
   あのー,えーっと,ちょっと,また話を急に変えて申し訳ないんですが,あのー,色々な方に,そのー,まあ,新聞記者,でおられた時代に,色々な方にお会いするチャンスっていうのはあったと思うんですよね。 
   で,その中でその特に,その,上の立場の方にお会いした場合,ま,年齢が分かっても高貴な方にお会いした場合っていうには,もしかしら,あのー,あったのかなって,でそういう場面をちょっと考えていただいて,ちょっとポールぷ,ロールプレイしたいんですが〈はい,はい〉,あのー,私が例えば,例えば,もー,そうですね,あのー,ま…
I: 総理大臣。
T: いえ{笑},あの,麻生さんはもう結構なんですけど,天皇家の,まあ,えっと,皇后の,まあ,し,親戚の,ものだという,ちょっと,ちょっと仮定していただいて〈はい〉,で,初めてお会いした,で,簡単なその日常的な挨拶,で結構なので,三つほど私に質問してみていただけますか?。
I: あっ,そうですか。
T: はい。
   ちょっと申し訳ありませんが,突然で。
   ま,…
I: えっと,…
T: 突然,お会いす,パーティーか何かで。
I: あっ,そうですか。
   あのー,えー,皇族の方でいらっしゃるわけですね。
T: あっ,はい。
I: あっ,そうですか。
T: そうで,そうでございます。
I: あっ,なるほど。
   あのー,初めまして。
T: あっ,初めまして。
   どうぞよろしく。
I: 【I】と申しますが〈あっ〉,お目にかかれてほんとに,あの,光栄でございます。
T: あっ,こちらこそ,ありがとうございます。
I: あのー,えー,何回か,あのー,確かにテレビで拝見しておりますが。
T: あっ,どうも恐縮です。
I: あのー,今回は,あのー,えー,私まで,おま,お招き,えー,していただいて,ほんとに,あの,ありがとうございます。
T: いえいえ,こちらこそ来ていただいて〈はい〉ありがとうございます〈{笑}〉。
   はい,ありがとうございました。
   で,あの,当然またロールプレイの第二〈はい〉,に移りますが〈はい〉,こうやって,ちょっと,あの,えー,今まで,えー,見ていた高貴な方にお会いした,それを,その家に帰って,家族の方に,ちょっと,ちょっとこう,リラックスした雰囲気で…
I: あっ,そうです、、、,はい。
T: 言ってもらえますか?。
   私と家族の,例えば,そうですね,あのー,ま,姪にしましょうか,姪が遊びに来てたと〈はい〉。
   で,あっどうだったの今日のパーティー?。
I: そうですね。
T: なんか,いろんな人が来た,来てたんでしょう?。
I: はい,はい。あのー…
T: ちょっとリラックスした感じで,姪…
I: そうですか。
   あのー,はい,美智子様がいらしてたんですよ。
T: へー,美智子さん…
I: いらしてたの。
T: あっ,へー〈えー〉,美智子さん〈はい〉。
   どうだった?。
I: あのー,すごく気さくな方ですよね。
T: へー。
I: だよね{笑}。
T: へー。
I: あー,それで…
T: おじさん,なんか,聞いたの?。
I: {笑},あのー,えー,そうよ。
   えー,ちょっと,あー,言葉を,あー,交わしたんだけど〈うん〉,あー,すごい,あのー,思ったより〈うん〉,あのー,あー,リラックスした感じで〈うん〉。
   あの,全然堅苦しくなかったんだよねー。
T: あー,ほんとー。
I: ほんと。
T: へー。
I: うん,まあ,あのー,ふつ〈うん〉…
T: 楽しかった?。
I: えー,楽しいってよりは〈うん〉,あのー,生涯,一度のような感じだったんだけど〈うん〉,まー,えー,また行きたいとは思わないか{笑}。
T: {笑}行きたいと思わないのか。
   じゃあ,あんまり楽しいじゃないな,ねー。
I: いやー,じゃなくて,あのー,んー,なんていうかな,あの,そういうお方はですね,あのー,全然違う世界に,あのー,暮らしてらっしゃるんじゃない?。
T: あっ,それはそうでしょうね〈うん〉,ふーん。
   わかった,へー〈{笑}〉。
   はい,どうもロールプレイを終わります。
   ありがとうございました〈はい〉。
   じゃ,えっと,今からまた,えっと,お忙しい中,んっとお仕事に戻られるんでしょうか,今日は?。
I: あのー,えー,仕事には戻るけれども〈はい〉,あのー,仕事はちゃんとできるかどうかは,あのー,分からないです{笑}。
T: それはちょっと聞かなかったことにいたしまして。
   じゃ,あの,インタビューはこれで終わりたいと思います〈はい〉。
   どうもありがとうございました。
I: こちらこそ色々勉強になりました。
   どうも。