総合雑誌記事の動向

 2006年の総合雑誌記事の大きな傾向として,国語力の重視ということがあります。
 近年,早期英語教育についての議論が活発ですが,総合雑誌記事では,英語教育の前に国語教育をしっかり行うべきである,英語の習得にも国語の力が必要である,といった意見が主流です。
 学力低下が問題になり,ゆとり教育が見直され,教育再生についての議論がなされる中でも,国語教育の重要性が説かれることが多くなっています。同じ立場に立つ,『国家の品格』の著者である藤原正彦氏が各誌に登場しています。

 また,インターネットの発達により,誰もが情報の発信者となれる時代となりました。例えば,ブログ,SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)などが流行し,多くの人が,自分の書いた文章を広く公開するようになりました。一億総ライター時代とも言われる現在,世の中の,言葉への関心は高まっています。
 文章を書くという面だけでなく,読むという面でも,インターネットは,検索システムの発達,電子図書館の構想など,引き続き言語生活の場に影響を与えることでしょう。

 インターネット以外のメディアに関して言えば,依然としてテレビも日本人が高い関心を持ち続けているメディアであり,テレビ番組の中での言葉遣いや政治の言葉のテレビ化などが話題になっています。
 2005年にメディアをにぎわせた「方言ブーム」に関しては,一時期ほど報道されなくなりました。また日本語に関する記事を掲載する特集は,2005年には41タイトル組まれていますが,2006年も引き続き多く,44タイトル組まれました。



国立国語研究所 日本語ブックレット2006