「Googleブック検索」
7月にスタートした「Googleブック検索」は,検索を行うと,検索語を含む図書の表紙写真と一部書誌情報,さらに検索語を含む本文の一部が検索結果一覧画面に表示され,書名をクリックすると,一部の図書を除き,検索語の所在ページの画像が画面に表示されるというものです。総合雑誌では『論座』12月号に,永江朗「特集;岐路に立つネット時代の知財戦略 グーグル・ブック検索は脅威か新たな可能性か」という記事が掲載されました。
同種のサービスとしてはネット書店Amazonの「なか見!検索」がすでに2005年11月に始まっています。いずれも検索できるのは一部の図書に限られますが,現時点の検索対象図書数は「なか見!検索」のほうが多く,例えば「国立国語研究所」を検索語として検索すると,「なか見!検索」は191件,「Googleブック検索」は67件(ともに2009年3月2日調査)と3倍近い結果になりました。ただし「なか見!検索」はAmazonで図書を購入したことがない場合は検索結果一覧画面までしか見られず,図書実物のページ映像は見られません。
むしろ「Googleブック検索」の大きな特性は,新刊書に加え提携図書館の蔵書も検索対象になることです。発足直後に慶応義塾大学図書館が,著作権保護期間が過ぎた12万冊の蔵書を公開し検索対象とする,といちはやく協力を表明しました(7月7日付朝日,毎日)。そうなれば通時的な巨大電子図書館,巨大図書本文データベースということになり,日本語研究をはじめ各種研究への貢献が期待できます。