総合雑誌記事の動向

 2007年は団塊の世代の退職者が最も多く発生するといわれた年であり,この世代の読者も多くいる総合雑誌を中心に,特集の中で団塊世代とその言語生活に関連する記事が多く掲載されていました。定年退職時の挨拶状の書き方の指導,定年退職後の過ごし方として英語への再チャレンジの紹介,夫婦間のコミュニケーションについての記事などが見られました。昭和時代への回顧も特徴的であり,昭和期,特に戦後の言葉を扱った記事が多く見られました。新訳ブームも起こり,著作権や独占的翻訳出版権が切れたことにより,海外文学の名作がさまざまな訳者によって新たに翻訳され,多くの読者を獲得していることが報じられました。

 インターネットが言語生活に大きな影響を及ぼしているという傾向は2007年も変わりません。

 インターネットと文学の関連で特徴的だったのは,ケータイ小説がベストセラーになったことで,書籍体の小説とは異なる文体などについて,話題となっています。また,『広辞苑』第6版の2008年1月の刊行が発表されたのをはじめ,特色ある各種辞書が出版され,注目されました。便利なウェブ検索や電子辞書の発達で,苦戦を強いられながらも,紙の辞書の話題の多い年だったといえます。総合雑誌では,紙媒体の辞書とウェブ検索や電子辞書それぞれの長所・短所や,紙の辞書がどのように生き残りをはかっていくか等について,議論がされています。

 なお,2007年の総合雑誌記事では,日本語に関する特集が55タイトルありました。



国立国語研究所 日本語ブックレット2007