日本語学習者会話ストラテジーデータ

データについて

 この日本語学習者会話ストラテジーデータは,昭和56(1981)~59(1984)年度にかけて国立国語研究所日本語教育センターで行われた研究プロジェクト「日本語教育における基本文型に関する研究」の一環として行われた日本語学習者の会話の録音がもとになっています。

 この研究は,英語を母語とするか英語能力の高い外国語母語話者である日本語学習者で日本語能力がある程度ある者を対象に,外国語母語話者であるインフォーマントの日本語使用の実態を把握することを目的としたものです。対日本語母語話者との実際の会話場面を録音,文字化,それをもとに観察者がフォローアップインタビューを行い,(1)誤用の背景,(2)より適切な文型・表現がなぜ使えなかったか,(3)コミュニケーションに障害が生じた場合にそれをどう乗り越えたか,(4)ギャンビット(チェス用語。オープニングにおける戦術の一つの意味を会話研究に転用。)としてどのようにことが見られたかなどについての知見を得ました。

 調査方法は,インフォーマントと日本語母語話者との日本語による実際の会話を録音・文字化し,それをもとに録音日から1週間以内に英語によるインタビューを行い,会話のプロセスを内省報告してもらう,フォローアップインタビューの方法をとっています。

 この研究の結果,(1)コミュニケーション上の障害を乗り越えるための方策(Strategy)として,すでに起こってしまった障害を乗り越える障害克服方策があること,さらに(2)障害が起こらないようにするための予防措置としての方策が重要であること,(3)予防措置方策は上級者にならないと使いこなせないこと,(4)英語と日本語とにおけるギャンビットの違い,などが明らかになりました。研究の詳細については,田中望他「外国人の日本語行動-聴き取りのコミュニケーション・ストラテジー」『言語生活 418(1986年9月号)筑摩書房』を参照してください。

 このデータは,プロジェクトが行われてから20年以上経った古いものではありますが,同様のデータがないことから,改めて整備することにしました。整備が終了したものを公開します。

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