『人は見た目が9割』
この本で言うところの「見た目」は顔立ちや服装だけでなく,表情やしぐさ,さらには匂いや相手との距離等,「非言語コミュニケーション」全般を表します。対人コミュニケーションにおいて言葉以外の要素が重要だ,というのは従来言われてきたことですが,「人は見かけによらない」「外見よりも中身が大事」という伝統的かつタテマエ的な価値観を否定するような書名もヒットの一因でしょう(1995年の「新語・流行語大賞」トップテンに入った,「見た目で選んで何が悪いの!」というCMコピーを連想させます)。総合雑誌の書評(『中央公論』3月号「ベストセラー温故知新」欄)や新聞(1月16日付毎日夕刊「売れてます ほんの森」欄,12月15日付毎日夕刊「読みたい 本の現場」欄)でも取り上げられています。そして,ベストセラーが出ると往々にしてあることですが,明らかにこの本を意識していると思われる,タイトルに「9割」という語を含む本が次々に出版されました。