首都圏の言語の研究には、方言研究、近代語研究、社会言語学的研究といった、様々な背景のもとで行われてきた蓄積がある。またその中核となる、「東京のことば研究」に関しては、東京出身の研究者による、母語話者としての自らの内省と観察を深く反映させた研究が行われてきていることが、大きな特色である。
 そこで私たちは、東京・首都圏の言語研究の第一人者であり、かつ、御自身が東京のことばのネイティブスピーカーでいらっしゃる先生方に、お話しをうかがい、同時に記録させていただく機会を得たいと考え、「東京のことば」研究者インタビューを企画した。
 これまでに、田中章夫先生(1932(昭和7)年,赤坂生まれ,2012年5月6日収録)、野村雅昭先生(1939(昭和14)年,元広尾生まれ,2012年12月7日収録)からお話しを伺うことができた。
 インタビューの内容は、大きく、(1)「東京のことば」研究についてのお考え、(2)かつての東京の様子・生活などに関するエピソード、に分かれる。このほかに、若干の項目について調査票を用いた言語調査に応じていただいた。
 ここに公開するのは、そのうち、エピソードトークの一部(各10分程度)の動画と文字化である。
 なお、「東京のことば 研究者インタビュー」は、国立国語研究所 萌芽・発掘型共同研究プロジェクト「首都圏の言語の実態と動向に関する研究」(2010年11月~2013年10月)において作成したものである。

 お忙しい中お時間を取ってお話しをお聞かせくださり、また、このような形でインタビューの一部を公開することをご承諾くださった先生方に感謝いたします。

インタビュー

田中章夫(たなか・あきお)先生インタビュー 野村雅昭(のむら・まさあき)先生インタビュー
経歴
1932(昭和7)年、東京市赤坂区生まれ。赤坂・麻布で生育。
香川大学、国立国語研究所、大阪外国語大学、学習院大学、東呉大学(台湾)を歴任。
「東京のことば研究」に関連する著書に、『東京語 ―その成立と展開― 』(1983年,明治書院)、『標準語《ことばの小径》』(1991年,誠文堂新光社)、『日本語雑記帳』(2012年,岩波書店)など。
経歴
1939(昭和14)年、渋谷区元広尾生まれ、赤坂で生育。
国立国語研究所、筑波大学、早稲田大学を歴任。
「東京のことば研究」に関連する論文、著書として、「現代東京語の展望」(『言語生活』225,1970年6月)、『落語の言語学』『落語のレトリック』『落語の話術』(1994年・1996年・2000年,平凡社)など。
収録データ
日 時 2012年5月6日(日) 14:00-16:50
場 所 国立国語研究所 小会議室
聞き手 木川行央(神田外語大学)=インタビュアー1
久野マリ子(國學院大學)=インタビュアー2
三井はるみ(国立国語研究所)
亀田裕見(文教大学)
鑓水兼貴(国立国語研究所)
録音・録画担当 三樹陽介(韓国・朝鮮大学校、収録時は國學院大學)
文字化担当 座安浩史・竹内はるか・坂本薫・中村明裕・程田直之(以上、國學院大學大学院生)
収録データ
日 時 2012年12月7日(金) 13:50-16:20
場 所 早稲田大学戸山キャンパス 会議室
聞き手 田中ゆかり(日本大学)=インタビュアー
三井はるみ(国立国語研究所)
鑓水兼貴(国立国語研究所)
林直樹(日本大学大学院生)
録音・録画担当 三樹陽介(韓国・朝鮮大学校、収録時は國學院大學)、座安浩史・竹内はるか(以上、國學院大學大学院生)
文字化担当 座安浩史・竹内はるか・坂本薫・中村明裕・程田直之(以上、國學院大學大学院生)
動画
田中章夫先生

東京山の手空襲の話[前](3'47")


東京山の手空襲の話[後](7'33")
※一部雑音が混入しているところがあります。
動画
野村雅昭先生

ことばへの興味 ― 野球・落語・『言語生活』―(10'06")
※一部明度が不足しているところがあります。

利用条件

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・改変を加えたものを公表しないでください。
・再配布を禁止します。
・著作権その他の権利を侵害しないでください。

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「首都圏言語」プロジェクト・メンバー一覧

国立国語研究所 萌芽・発掘型共同研究プロジェクト
「首都圏の言語の実態と動向に関する研究」(2010年11月~2013年10月)
  • 三井はるみ(プロジェクトリーダー)
  • 亀田裕見
  • 久野マリ子
  • 田中ゆかり
  • 鑓水兼貴
  • 吉田雅子