『使ってみたい武士の日本語』
「侍言葉」「武士語」を会話やメールで使うことが若い世代の間で流行していると報じる2008年の記事(1月23日付『日経流通新聞』,2月17日付『産経新聞』,『L25』3月19日号)はいずれも火付け役の一つとして『使ってみたい武士の日本語』を挙げました。同書は2007年11月2日付毎日「読みたい 本の現場」欄で取り上げられています。約200の「武士語」について時代小説での用例を挙げながら解説しています。1語につき1ページという簡潔で読みやすい構成も人気の一因でしょう。
著者は「20・30代の若い世代の読者が予想以上に多い」(『日経流通新聞』)と語っています。2005年にはやはり若い世代,特に女性が全国各地の方言を会話やメールに織り込む「方言ブーム」が大きな話題となり,それに関しては「会話やメールを楽しく盛り上げるために一種のアクセサリーとして新鮮でインパクトのある方言が使われた」との分析が行われました(『日本語ブックレット2005』「図書の動向」のトピック「全国の方言を紹介する本」,『同2006』の同「「方言ブーム」と方言関係の図書」参照)。「侍言葉」も時代劇や時代小説になじみの薄い若い世代,特に女性にとっては「新鮮でインパクトのある」,方言と同趣の言葉であったということかと思われます。携帯電話メールの文章を「侍言葉」に変換するサイトも人気を呼び, 2008年後半にも「武士語」をタイトルに含む本が次々に刊行されています。
関連文献情報
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