全国の方言を紹介する本
若い世代—特に東京とその近辺の女子高生・女子大生の間で全国各地の方言を会話やメールに織り込むことが流行していると,夏以降
新聞などメディアが報じました。その「方言ブーム」を背景に,全国の方言を紹介する本が相次いで刊行されたのです。
過去にも一般向けに全国の方言を紹介する本は出ていますが,それらと大きく異なっているのは,以下の3点です。
- (1)
- ターゲットを若い世代(特に女子高生・女子大生)に絞っている点。
- (2)
- (1)の層が好むような「かわいい」「面白い」方言事象を重要視している点。
- (3)
- (1)の層が(2)のような方言事象を会話やメールで「使う」ための参考書であることを前面に押し出している点。
表紙には,「[方言・ナマリ]を使いこなしちゃえ!」「いますぐ使えるかわいい方言がいっぱい!!」「方言をおりこんでの会話,メールが新しい」といったコピーが踊っています。
ただこれらの図書の内容・記述態度については,
- ・
- この種のほぼすべての本に,研究者や地元の方言話者が見たら,目を白黒させて異を唱えたくなるであろう記述が多々見られる。(吉岡泰夫「方言が若者ことばを活性化する」,『月刊言語』2006.3)
という研究者からの指摘もあります。書名は伏せますが,九州地方の一部で使われる「ばってん」の語源について,
- ・
- 「but then」が変化したものとする外来語説が有力
などとする記述はその一例といえるでしょう。
全国の方言を紹介する本
文献番号 |
書名 (著者) 発行年月 ページ 発行所(発売所) 判型 本体価格 |
134 |
ザ・方言ブック (コトバ探偵団/編著) 2005-7 111p 日本文芸社 B6 650円 |
135 |
ちかっぱめんこい方言練習帳! (かわいい方言で日本を幸せにする会/編) 2005-7 202p 主婦と生活社 B6 476円 |
136 |
かわいい方言手帖 「使える方言」1000語収録 (ふるさとナマリ研究会/編) 2005-9 159p 河出書房新社 B6 838円 |
137 |
ばり・でら方言スラスラ帳 (本の森辞典編集部/編) 2005-11 153p シーエイチシー(コアラブックス) B6 952円 |
138 |
なまり亭 方言完全マスター本 Matthew's Best Hit TV+ 2005-12 98p ワニブックス B6 933円 |