語源辞典
「なぜ,ある事物・概念のことをこういう言葉で表すのか」という,語源に関する興味・関心は多くの人が抱いているものです。したがって一般向けの語源に関する本は以前から少なからず出ていますが,2005年春には大部の語源辞典が『語源海』(3月)『日本語源大辞典』(4月)と相前後して刊行されました。これはどちらかがもう一方に対抗した結果というわけではなく,偶然同種の企画が同時期に重なったとのことです。
ただそのスタイルは大きく異なっており,多くの研究者の分担執筆である『日本語源大辞典』は,見出し語についてこれまでの書物に見られる語源説を列挙し,必要に応じ解説を加えるという形で,「正しい」語源説は何か,は必ずしも示されていません。一方で著者自ら「引く辞書より読む辞書」とする『語源海』は著者が「正しい」と考える語源説が示されており,一人で執筆した杉本氏の個性が強く出ている辞書といえます。
新聞では前者の書評が掲載され(4月24日付毎日「今週の本棚」欄),後者については杉本氏自身が思いを述べました(4月4日付読売夕刊「文化」欄)。
語源辞典
文献番号 |
書名 (著者) 発行年月 ページ 発行所(発売所) 判型 本体価格 |
511 |
語源海 (杉本つとむ/著) 2005-3 851p 東京書籍 A5 7500円 |
512 |
日本語源大辞典 (前田富祺/監修)2005-4 1280p 小学館 A5 6000円 |
513 |
日本語の語源辞典 (西垣幸夫/著) 2005-7 606p 文芸社 A5 2500円 |