第2部「文献目録」で,「コミュニケーション>言葉の使い方>話す」に分類された本が2004年の67件から2005年は100件と1.5倍になっているのは,この本がベストセラーとなったことが大きく関係しているといえます。
ベストセラーが出た際にはしばしば起きる現象ですが,この本を意識していると見られる,他の著者による『頭が(の)いい〜』というタイトルの本が2005年次々に刊行されました。ついには『頭のいい女,悪い女の話し方』というまったく同名の本が同じ5月に2冊刊行されるという事態も起きました。なおこれ以外でも,『人づきあいを良くする人悪くする人の話し方』『「得する人」「損する人」の話し方』といったタイトルに,この本の影響が見て取れます。
著者の樋口氏は総合雑誌(『文芸春秋』3月臨時増刊号「言葉の力 活かそう日本語の底力」・12月号「特集;消える日本語」,『潮』2月号「People 今月の人」・6月号「特集;「対話力」を磨く」など)や新聞(2月15日付読売「顔」欄,4月4日付毎日夕刊「新社会人に贈る ほんの森 この人に聞く」欄など)にも登場しましたが,その一方で,週刊誌には「頭のいい人は決して読まない『頭がいい人,悪い人の話し方』」(『週刊文春』4月21日号)という批判的な記事も見られました。
この本はベストセラーとなったことで新聞でも大きく扱われ(2月6日付朝日「読書」面「ベストセラー快読」欄,3月10日付毎日夕刊「暮らしWORLD」欄など),11月には続編『続弾!問題な日本語 何が気になる?どうして気になる?』が刊行されました。4月3日付朝日「ことば談話室」欄では,書名の「問題な」という表現が取り上げられています。編者の北原氏も,総合雑誌(『潮』7月号,『新潮45』8月号「達人対談」など),新聞(3月24日付朝日「ひと」欄,11月28日付毎日夕刊「売れてます ほんの森」欄など)も含め多くのマスコミに登場しました。
なお正編の表紙ではうどんのマンガに「こちらきつねうどんになります」というせりふが添えられていますが,この「こちら〜になります」さらに「〜のほう」「〜でよろしかったでしょうか」「〜円からおあずかりします」といったいわゆる「マニュアル敬語」「ファミ・コン(ファミレス・コンビニ)敬語」は近年この本も含め何度となく取り上げられ,ほとんどの場合批判されてきました。その甲斐あってというべきか,雇用者側による指導がなされたようで,三,四年前と比べると,耳にすることはかなり少なくなりました。
国際結婚した夫婦のさまざまなエピソードをマンガの形式でユーモラスにつづった一連の作品中の一冊です。英語・日本語に通じ他言語の知識も豊富な夫による,日本人はなかなか気づかない日本語の特徴の指摘(英語に比べ「〜とされる」「〜とみられる」といった受身表現が多い,など)や,英語に関して日本人の常識を覆すような事実の提示(vの音の発音の際は必ずしも下唇は噛まない,など)があり,新聞でも取り上げられ(3月28日付毎日夕刊「売れてます ほんの森」欄など),話題となりました。
関連文献 |
文献番号 | 書名 (著者) 発行年月 ページ 発行所(発売所) 判型 本体価格 |
---|
7 | ダーリンの頭ン中 英語と語学 (小栗左多里;ラズロ,トニー/著) 2005-3 160p メディアファクトリー A5 950円 |
---|---|
236 | 続弾! 問題な日本語 何が気になる?どうして気になる? (北原保雄/編著) 2005-11 173p 大修館書店 B6 800円 |