「図書」の概観
2005年,前半は前年に刊行された2冊の日本語関係の本がベストセラー上位にランクされ,話題になりました。さらに夏には若い世代の「方言ブーム」がマスコミで注目され,秋にはテレビで言葉に関するクイズ番組が一斉に始まるなど,日本語に関する話題が絶えない年になりました。「図書」にもそのような動きが反映されています。
まず,2005年の
ベストセラーとなった本を挙げてみましょう。
年間ベストセラー総合部門(トーハン調べ。以下も同じ)ベスト20には,言葉に関する本が3タイトル入っています。年明けからしばらくの間は,前年に刊行された
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- 樋口裕一『頭がいい人,悪い人の話し方』(PHP新書)
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- 北原保雄編『問題な日本語 どこがおかしい?何がおかしい?』(大修館書店)
がベストセラーの上位にランクされました。結局総合部門でそれぞれ年間第1位,第9位(2005年11月刊の続編との合計で)のベストセラーになりました。それぞれの著者・編者はさまざまなメディアに登場し,著作も相次いで刊行されました。両図書の特徴などについては『日本語ブックレット2004』で述べています。
また
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- トニー・ラズロ,小栗左多里著『ダーリンの頭ン中 英語と語学』(メディアファクトリー,3月)
も同じく第16位に入りました。
テーマ別に見てみると,まず
全国の方言を紹介する本が夏以降多く刊行されています。一般向けのそのような本は以前からありますが,2005年に出た一連の本にはそれらにはない大きな特徴がありました。また方言に関するものを含め,
言葉を扱ったテレビ番組に関連する本も刊行が続きました。
辞典では,ユニークな語釈や例文で知られる
『新明解国語辞典』第6版とそれに関する本が出,本格的な
語源辞典の刊行も重なりました。そして2004年に人名用漢字の大幅な増補が行われたことを受けた
人名の漢字に関する本や,中央教育審議会の議論をにらんだ
小学校の英語必修化に関する本も出ています。さらに
2004年に続いて目立ったテーマには,地名に関する本や数え方の本があります。