昭和期の言葉
2007年には4月29日が「昭和の日」に制定されただけでなく,昭和30年代を舞台にした映画の続編が制作されるなど,高度経済成長期を中心とした昭和時代の記憶を喚起するような動きが見られました。
総合雑誌記事でもその影響か,昭和期の言葉を扱った記事が多く見られました。『日本語ブックレット』の記事の収集を開始した2002年から2006年まで,昭和期の言葉をテーマにした連載は見られなかったことを考えると,昭和期の言葉を扱った連載が同時期に2本始まったことは注目されます。
「昭和のことば」(文芸春秋)は連載名の通り,「富士」「仲良し」「みんな」など昭和の時代に独特なニュアンスで使われた言葉を扱っています。鴨下信一氏はこの連載の初回に,「昭和の日」制定を受け,昭和はもう歴史の中の一つの時代になったということなのだろうと述べていますが(連載;昭和のことば 「富士」 鴨下信一 文芸春秋 85-8 2007年6月),昭和期の言葉が注目されているのは, このような認識も背景にあると思われます。
また,「現代用語クロニクル」(論座)は1948年の創刊から60年間,その時々の時代認識を刻み続けてきた『現代用語の基礎知識』の記述を追いながら,日本人の認識とその変化を見ていくという趣旨の連載です。1960年代までは「有機」という言葉はマイナスイメージだったのが,1970年代にはプラスイメージに転じている(連載;現代用語クロニクル 「『清浄な野菜』はどこが清浄か」 長沖竜二 論座144 2007年5月)など,昭和期を中心に色々な言葉を紹介,分析しています。
関連文献情報
昭和期の言葉
- 文献番号
- 記事標題 (著者) 誌名 巻号 発行年月 ページ 発行所
- 2007067
- 連載;現代用語クロニクル(2) 「清浄な野菜」はどこが清浄か (長沖竜二) 論座 144 2007-5 p.174 朝日新聞社
- 2007074
- 連載;昭和のことば(1) 富士 (鴨下信一) 文芸春秋 85-8 2007-6 p.319 文芸春秋
- 2007079
- 連載;昭和のことば(2) 馬鹿 (鴨下信一) 文芸春秋 85-9 2007-7 p.297 文芸春秋
- 2007085
- 連載;昭和のことば(3) 仲良し (鴨下信一) 文芸春秋 85-10 2007-8 p.126 文芸春秋
- 2007090
- 連載;昭和のことば(4) みんな (鴨下信一) 文芸春秋 85-11 2007-9 p.164 文芸春秋
- 2007106
- 連載;昭和のことば(7) 家庭 (鴨下信一) 文芸春秋 85-15 2007-12 p.109 文芸春秋
- 2007184
- 連載;現代用語クロニクル(1) 日本はいつから日本的? (長沖竜二) 論座 143 2007-4 p.174 朝日新聞社
- 2007191
- 連載;現代用語クロニクル(3) 洗練されない言葉 (長沖竜二) 論座 145 2007-6 p.172 朝日新聞社
- 2007194
- 連載;現代用語クロニクル(4) 最近の若者はたるんでいる? (長沖竜二) 論座 146 2007-7 p.172 朝日新聞社
- 2007198
- 連載;現代用語クロニクル(5) 新奇なモノの???な定義 (長沖竜二) 論座 147 2007-8 p.172 朝日新聞社
- 2007202
- 連載;現代用語クロニクル(6) 「軽さ」の系譜 (長沖竜二) 論座 148 2007-9 p.172 朝日新聞社
- 2007205
- 連載;現代用語クロニクル(7) 人口問題 (長沖竜二) 論座 149 2007-10 p.172 朝日新聞社
- 2007208
- 連載;現代用語クロニクル(8) 難民 (長沖竜二) 論座 150 2007-11 p.172 朝日新聞社
- 2007211
- 連載;現代用語クロニクル(9) 自己 (長沖竜二) 論座 151 2007-12 p.176 朝日新聞社
- 2007215
- されど,「昭和」は遠くなりにけり 奉祝「昭和の日」制定 (石井英夫;鴨下信一;川本三郎;出久根達郎) 諸君! 39-5 2007-5 pp.192-203 文芸春秋
- 2007221
- 連載;昭和のことば(5) あなた (鴨下信一) 文芸春秋 85-12 2007-10 p.184 文芸春秋
- 2007253
- 連載;昭和のことば(6) 青 (鴨下信一) 文芸春秋 85-13 2007-11 p.180 文芸春秋
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