学力の低下と教育再生会議
2006年の総合雑誌では,教育全般に関連する記事も多く見られました。
2006年の前半は,2005年から引き続き,国語科も含めた学力低下やゆとり教育に対する問題提起,批判の記事が多くありました。「エリート」「秀才」といった従来使用が避けられていた,ゆとり教育の制度とは対極に位置するような言葉が,2006年の記事タイトルには見られるようになりました。桜井よしこ氏は,「これまでは落ちこぼれが問題でしたが,いまはどんどんレベルを低くしたものですから,能力をもっと伸ばしたい子どもがふきこぼれてしまって,諦めてしまっている」(「特集;教育再建 <対談> 秀才殺しの教育はもうやめよ 学校に任せず,家庭で鍛えろ」藤原正彦;桜井よしこ 中央公論 121-1 2006年1月)と指摘します。福田和也氏は,日本がめざすべき方向を定められないでいる中で,エリートによるリーダーシップが必要なのではないか,一定のエリート層を育成しなければならないのではないかという声が出てきている(「<対談>エリートの復権」福田和也;北康利 Voice 343 2006年7月)と述べています。これらの記事では国語に重点を置く旧来の教育の良さなどを主張しています。
2006年の後半は,安倍内閣(当時)における「教育再生会議」の設置(10月10日)に関連して,各誌で,11月号から早くも「教育再生」をキーワードとする記事が見られるようになります。「特集;教育は再生するか」(Voice 347 2006年11月)「特集;「教育再生」やるなら,この手しかない ザけんなヨ!「文科省&日教組」の言いなりにやったからこうなった!」(諸君! 38-12 2006年12月)などの特集も組まれました。学校教育に関する議論はいつの時代でも行われていますが,近年では特にゆとり教育や学力低下に関連して,盛んになっています。
関連文献情報
学力の低下と教育再生会議
- 文献番号
- 記事標題 (著者) 誌名 巻号 発行年月 ページ 発行所
- 2006026
- 特集;国語再建 言葉をめぐる12章 (荒川洋治) 文学界 60-7 2006-7 pp.130-139 文芸春秋
- 2006112
- 特集;国語再建 文字政策は漱石の時代を目標とせよ (白川静@石川忠司/聞き手) 文学界 60-7 2006-7 pp.122-129 文芸春秋
- 2006117
- 特集;国語再建 まず筆の持ち方を教えよ (石川九楊) 文学界 60-7 2006-7 pp.140-155 文芸春秋
- 2006171
- 特集;現代人必携 推薦図書リスト付き 日本の常識44 学力低下 (陰山英男) 文芸春秋 84-4 2006-3 pp.276-277 文芸春秋
- 2006270
- 特集;教育の力を取り戻す <巻頭エッセイ> 小石と核兵器の違い (柳田邦男) 文芸春秋〈特別版/臨時増刊号〉 84-15 2006-11 pp.12-13 文芸春秋
- 2006305
- <ルポ> 「学力低下」を追う(上) こどもの生活破壊{ライフハザード}が学力低下をまねく? (滝井宏臣) 世界 751 2006-4 pp.270-280 岩波書店
- 2006307
- <ルポ> 「学力低下」を追う(下) 子育てネットワークが「見えない学力」をはぐくむ (滝井宏臣) 世界 752 2006-5 pp.198-208 岩波書店
- 2006354
- 特集;子供たちを守れ! 「ゆとり教育」が招いた混乱と残骸 キーマンの元次官が明かした文科省の失敗 (前屋毅) 現代 40-1 2006-1 pp.242-251 講談社
- 2006355
- 特集;教育再建 <対談> 秀才殺しの教育はもうやめよ 学校に任せず,家庭で鍛えろ (藤原正彦;桜井よしこ) 中央公論 121-1 2006-1 pp.40-49 中央公論新社
- 2006357
- ゆとり教育の先にあるもの ちくまプリマー新書一周年に寄せて (三好由紀彦) ちくま 419 2006-2 pp.20-21 筑摩書房
- 2006361
- 特集;日本の教育を糺す <対談> 起死回生のカギはエリート教育にあり 人間とケダモノの違いは本を読むか読まないかだ! (藤原正彦;曽野綾子) 諸君! 38-5 2006-5 pp.130-141 文芸春秋
- 2006366
- <対談> エリートの復権 (福田和也;北康利) Voice 343 2006-7 pp.116-126 PHP研究所
- 2006367
- 特集;国語再建 <対談> 「日本人の誇り」は国語教育から (藤原正彦;斎藤孝) 文学界 60-7 2006-7 pp.106-120 文芸春秋
- 2006369
- 特集;「親力」がわが子の能力を決める 正しい生活習慣が学力を伸ばす 「百ます計算」よりも「早寝・早起き・朝御飯」 (陰山英男) 中央公論 121-9 2006-9 pp.32-41 中央公論新社
- 2006370
- 文科省にこれだけは言っておきたい! (松永暢史) 正論 415 2006-10 pp.330-337 産経新聞社
- 2006375
- 特集;教育の力を取り戻す <巻頭エッセイ> 教育崩壊と経済合理性 (内田樹) 文芸春秋〈特別版/臨時増刊号〉 84-15 2006-11 pp.14-15 文芸春秋
- 2006376
- 特集;教育の力を取り戻す 民間人校長連続インタビュー&ルポ 学校はどう変わり,どこへ向かうのか(アンケート付き) (久田恵) 文芸春秋〈特別版/臨時増刊号〉 84-15 2006-11 pp.16-33 文芸春秋
- 2006377
- 特集;教育の力を取り戻す このままでは手遅れになる 子供たちに「心の母港」を (鈴木孝夫) 文芸春秋〈特別版/臨時増刊号〉 84-15 2006-11 pp.34-42 文芸春秋
- 2006378
- 特集;教育の力を取り戻す <特別対談> 教育に夢と憧れを 僕が小学校の先生になったら (斎藤孝;乙武洋匡) 文芸春秋〈特別版/臨時増刊号〉 84-15 2006-11 pp.70-79 文芸春秋
- 2006379
- 特集;教育の力を取り戻す 私の教師時代 七十年前の三年半 (秋山ちえ子) 文芸春秋〈特別版/臨時増刊号〉 84-15 2006-11 pp.82-83 文芸春秋
- 2006380
- 特集;教育の力を取り戻す 素読とテレビ電話と (加地伸行) 文芸春秋〈特別版/臨時増刊号〉 84-15 2006-11 pp.184-189 文芸春秋
- 2006381
- 特集;教育の力を取り戻す <特別対談> 品格ある日本人を育てるには (阿川弘之;藤原正彦) 文芸春秋〈特別版/臨時増刊号〉 84-15 2006-11 pp.190-202 文芸春秋
- 2006383
- 特集;教育は再生するか <対談> 母親よ,哲学を語れ 子供たちに「耐える力」を (曽野綾子;上坂冬子) Voice 347 2006-11 pp.48-57 PHP研究所
- 2006385
- 特集;「教育再生」やるなら,この手しかない ザけんなヨ!「文科省&日教組」の言いなりにやったからこうなった! 読書教育は図書館より古本屋で (出久根達郎) 諸君! 38-12 2006-12 pp.146-148 文芸春秋
- 2006386
- 特集;「教育再生」やるなら,この手しかない ザけんなヨ!「文科省&日教組」の言いなりにやったからこうなった! 「読解力,理解力」「想像力」「表現力」の三位一体で (鈴木光司) 諸君! 38-12 2006-12 pp.150-151 文芸春秋
- 2006387
- 特集;「教育再生」やるなら,この手しかない ザけんなヨ!「文科省&日教組」の言いなりにやったからこうなった! 「教育に朝日新聞を」の弊害 (潮匡人) 諸君! 38-12 2006-12 pp.159-160 文芸春秋
- 2006388
- 教育特集;子供を殺すのは教師か親か これが本物の教育再生会議だ カリスマ教育者3人が論じ尽くす (陰山英男;斎藤孝;藤原和博) 文芸春秋 84-17 2006-12 pp.130-144 文芸春秋
- 2006392
- 特集;教育は再生するか 子供を強くする8つのアイデア 古典に学ぶ日本人の信仰心 (山折哲雄) Voice 347 2006-11 pp.84-85 PHP研究所
- 2006393
- 特集;「教育再生」やるなら,この手しかない ザけんなヨ!「文科省&日教組」の言いなりにやったからこうなった! 小中学生にはもっと古文・漢文を (岡崎久彦) 諸君! 38-12 2006-12 pp.145-146 文芸春秋
- 2006396
- 特集;教育は再生するか 大学教育は工場でもできる (渡部昇一) Voice 347 2006-11 pp.72-77 PHP研究所
- 2006505
- 特集;「教育再生」やるなら,この手しかない ザけんなヨ!「文科省&日教組」の言いなりにやったからこうなった! 英語以外は切り捨ての「外国語教育」は× (薬師院仁志) 諸君! 38-12 2006-12 pp.148-149 文芸春秋
- 2006523
- 特集;教育は再生するか 子供を強くする8つのアイデア 「ことば科」で感性を伸ばそう (金田一秀穂) Voice 347 2006-11 pp.92-93 PHP研究所
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