藤原正彦氏の国語論
2006年は,前年刊行された藤原正彦氏の『国家の品格』がベストセラーとなりました。『国家の品格』の中には,国語の大切さに触れている箇所があります。ベストセラーになった理由については,著者自身が以下のように分析しています。
- やはり社会に漂う閉塞感でしょう。(中略)国民も,何かおかしい,改革すなわち改善だとだまされてきたのではないかと心の中では思っていた。しかしそれを言語化できずにいた。そんな時に私がはっきりと『おかしい』と言ったから,みなさんが共感したんじゃないでしょうか。(「<インタビュー> 著者・藤原正彦氏に聞く ベストセラー『国家の品格』への質問」藤原正彦;薬師寺克行/聞き手 論座 132 2006年5月)
総合雑誌では,たびたびこの藤原氏がインタビューを受けたり,対談に登場したりしました。著作の書評も各誌で見られました。特に,国語教育関連の記事が目立っており,読書が重要である,小学校においてまず重要なのは国語である,といった主張がなされています。
- 教育しかないと思います。そして,初等教育で大事なのは一にも二にも国語。三,四がなくて五に数学が来るぐらいです。小学校から英語やパソコンを教えるより,国語をしっかり教えることが大事なんです。今の若い人たちは,本や新聞を読まない。活字離れですね。でも,情緒や形や教養を育てるのは読書の力に負うところが大きい。(<読書の時間 Book Lesson>藤原正彦著『国家の品格』 藤原正彦;喜多由浩/聞き手正論 408 2006年3月)
また,藤原氏関連の記事以外でも,タイトルに「品格」という語が散見されました。
関連文献情報
藤原正彦氏の国語論
- 文献番号
- 記事標題 (著者) 誌名 巻号 発行年月 ページ 発行所
- 2006005
- <読書の時間 Book Lesson> 藤原正彦著『国家の品格』 (藤原正彦@喜多由浩/聞き手) 正論 408 2006-3 pp.356-359 産経新聞社
- 2006019
- <インタビュー> 著者・藤原正彦氏に聞く ベストセラー『国家の品格』への質問 (藤原正彦@薬師寺克行/聞き手) 論座 132 2006-5 pp.28-37 朝日新聞社
- 2006139
- 連載;流行語辞典 ブックカフェ;国家の品格;デートDV;市民記者;待ち組;ポケモン遊園地 (亀井肇) 潮 567 2006-5 p.178 潮出版社
- 2006333
- 特集;次代に伝えたい日本語 テレビに品格を生む,話し方の基本 (鈴木健二) 中央公論 121-6 2006-6 pp.60-61 中央公論新社
- 2006351
- テレビの品格を問う みのもんたから亀田兄弟まで (永六輔;黒柳徹子;久米宏) 文芸春秋 84-13 2006-10 pp.196-206 文芸春秋
- 2006355
- 特集;教育再建 <対談> 秀才殺しの教育はもうやめよ 学校に任せず,家庭で鍛えろ (藤原正彦;桜井よしこ) 中央公論 121-1 2006-1 pp.40-49 中央公論新社
- 2006361
- 特集;日本の教育を糺す <対談> 起死回生のカギはエリート教育にあり 人間とケダモノの違いは本を読むか読まないかだ! (藤原正彦;曽野綾子) 諸君! 38-5 2006-5 pp.130-141 文芸春秋
- 2006367
- 特集;国語再建 <対談> 「日本人の誇り」は国語教育から (藤原正彦;斎藤孝) 文学界 60-7 2006-7 pp.106-120 文芸春秋
- 2006381
- 特集;教育の力を取り戻す <特別対談> 品格ある日本人を育てるには (阿川弘之;藤原正彦) 文芸春秋〈特別版/臨時増刊号〉 84-15 2006-11 pp.190-202 文芸春秋
- 2006513
- <読まずにすませるベストセラー> 藤原正彦著『国家の品格』 論理以前の情緒で祖国と日本人を作り直せ! (紅林一馬) 新潮45 25-2 2006-2 pp.181-182 新潮社
- 2006514
- 世にも楽しい 安野光雅・藤原正彦著『世にも美しい日本語入門』 (南伸坊) ちくま 419 2006-2 pp.10-11 筑摩書房
- 2006516
- 連載;ベストセラー温故知新 藤原正彦著『国家の品格』 (岡崎武志) 中央公論 121-4 2006-4 pp.354-355 中央公論新社
- 2006520
- <Book Street 企業家の一冊> 藤原正彦著『国家の品格』 (鈴木英夫) Voice 344 2006-8 pp.180-181 PHP研究所
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