「方言ブーム」の行方
2005年には各メディアが,東京とその近辺の女子高生・女子大生を中心とした若い世代の間で,全国各地の方言を会話やメールに織り込むことが流行するという「方言ブーム」が起こっていると伝えました。
総合雑誌では,2005年にはこの「方言ブーム」に関する記事は見られませんでしたが,2006年にはこのことに触れている記事がありました。
「特集;現代人必携 推薦図書リスト付き 日本の常識44 方言ブーム」の中で,金田一秀穂氏は,この方言ブームがいつまで続くものなのかと疑問を呈し,方言はいずれなくなるだろうと予測されており,「方言ブーム」はその流れに対しての単なる停滞なのだろう,という見解を示しています。
一方で,「方言はいずれなくなるだろう」との予測には異論も強く,方言の活力を示す例として,若い世代に向けて使用者が多くなりつつある非共通語形で,使用者自身も方言扱いしているという「新方言」も,各地で報告されています(飛田良文ほか編『日本語学研究事典』(2007年,明治書院)の「新方言」の項(井上史雄執筆)参照)。
この若い世代の「方言ブーム」に関する記事は,2006年下半期には見られなくなりました。しかし,かつては方言というものを蔑視するような風潮がありましたが,近年では例えば,生活に根ざしたあたたかみのある貴重な言葉などとして評価され,人々の関心を集めるようになってきています。
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