伝統的な言葉を扱った三田英彬監修『忘れていた日本の懐かし言葉』(サンガ,6月),藤岡和賀夫『懐かしい日本の言葉ミニ辞典 続』(宣伝会議,9月。正編は2003年12月刊)などに対し,大迫秀樹編著・テリー伊藤監修『消えゆく日本の俗語・流行語辞典』(東邦出版,8月)は書名の通りの内容です。これらには語釈だけではなく,使われていた当時の世相や著者の思い出なども記されています。
平成になってすでに15年以上が過ぎ,もはや戦前・戦後を問わず昭和全体を「懐かし」む対象とする傾向が見られること,伝統的な言葉と俗語・流行語との両方において,知っている言葉についての世代間の断絶が大きく(ある世代なら大部分の人が知っている言葉を別の世代はほとんどの人が知らない),そして細かく(同じ世代内でも,何歳か違うともう知らない言葉がある)なる,という傾向が進んでいることが背景にありそうです。