この分野の本は以前から少なからず出ていましたが,近年の多さは,「パソコンの普及により手で文章を書くことが少なくなり,その結果漢字を忘れてしまいがちになった」と感じる人が多くなっていることと関係があると思われます。やや古いデータですが,2002年1月に読売新聞社が行った調査によると,パソコン・ワープロの影響として「漢字を忘れるようになった」を挙げた人が全体では52%,これらの機器を使うことが「よくある」人では70%に上っています(『読売新聞』同年1月31日付)。ただこの因果関係については,「パソコンなどない時代でも,漢字の度忘れはよくあった」とする否定的な見解(阿辻哲次「パソコンと漢字の「度忘れ」」,『しにか』14-9,2003年9月)もあります。