金田一春彦氏は,父親の故・京助氏とともに,数多くの国語辞書にかかわったことで知られています。それ以外にも,平易な語り口で数多くの「日本語本」を発表し,テレビにもしばしば登場する(お昼の人気バラエティー番組でレギュラーを勤めたこともあります)など,最も知名度の高い国語学者といってよいでしょう。そういった活動を通して,国民一般の日本語に対する興味を喚起した功績は大きいといえます。しかし,そのような一般向けの活動の根底には,戦前からの長年にわたる学術的研究の積み重ねがありました。この著作集は,一般向けの「日本語本」と,研究者向けの学術書との両方を収めています。2003年11月に隔月で刊行を開始し,2004年は奇数月に計6巻が刊行されましたが,第4回配本が刊行された5月,氏は91歳で帰らぬ人となりました。