TOEIC(Test of English for International Communicationの略称。英語によるコミュニケーション能力を幅広く評価する世界共通のテストであり,世界約60か国で実施されています)の2003年度の受験者は142万3000人を記録しました。また,英語で数学や理科などの一般教科を教える授業や,英語で論文を書き,議論できる力を育成を図る授業などが広がりを見せました。そして,文部科学省が重点財政支援を行う現代教育プログラムの中に「仕事で英語が使える日本人の育成」が含まれるなど,英語の教育,学習についての関心は依然として高いものがあります。その一方で,中学・高校の教育現場では,英語担当なのに英会話ができないなど,教師の指導力不足が指摘されたり,ALT(外国語指導助手)の活用について財政難で見直しが行われるなど,課題もあります。
英語の早期教育も活発化し,新聞社等の調査では,小学校の英語教育について賛成意見が多数を占める結果が示されました。文部科学省の調査によれば,総合的な学習の時間などを利用して,公立小の88%が英語活動を行っています。また,「外国語特区」制度を利用し,小学校から「英語漬け」の一貫教育を行う計画も登場しました。
2004年には中央教育審議会が小学校の英語教育必修化について検討を始めることになり,英語教育関係者や識者の意見記事や,読者からの投稿など,それぞれの視点から様々な意見が示されました。例えば,英語教育政策の枠組みの再構築が必要だとして小学校からの一貫教育を提言したり,児童の学習負担や他教科との関連,価値観形成などに十分配慮し,内容や指導法を検討する必要があるとして,小学校で教える内容は,発音や聞き取りなどに徹するべきだという意見などです。また,国語教育の充実をこそ要望する意見も多く見られました。
小学校の英語必修化についての議論は本格的に始まったばかりであり,今後どのように進んでいくのか注目されます。